MDRT、消費者調査から多様化する投資ポートフォリオの実態を公表
米国イリノイ州パークリッジ - コロナ禍による経済的な影響のもと多くのアメリカ人が家計を見直し、投資により厳しい目を向けるなど米国の消費者は金融に関する知識をかつてないほどに高めたいと考えています。ファイナンシャル・アドバイザーを持つ個人の64%が中級から上級レベルの金融知識を有しているのに対して、ファイナンシャル・アドバイザーを持ったことがない個人で同等の知識を持つ人は24%に過ぎないという調査結果になりました。消費者は、2022年の投資目標を立てるために必要な知見を得るためには、資格を持ったファイナンシャル・アドバイザーの協力を仰ぐことが役立つと考えるようになっています。本調査は、米国の成人3,000人以上を対象として、MDRTが委託したYouGovによって実施されました。
金融知識の格差
消費者が持つ金融や投資に関する専門知識は異なります。この格差を補う最大の方法として、ファイナンシャル・アドバイザーからの情報獲得と、知識の吸収があります。本調査の回答者のうち、自身のファイナンシャル・アドバイザーを持ったことがないと回答した49%は、投資や資産管理に関する現実的な知見がないという結果となりました。一方、ファイナンシャル・アドバイザーを持っている場合はわずか7%となり、違いが顕著となりました。この結果は、金融に関する専門的ノウハウを高めたい人にとっては、ファイナンシャル・アドバイザーの助言の有無が重要な要素になるということを示しています。ファイナンシャル・アドバイザーがいない人に金融の知識不足が見られる一方、女性とベビーブーム世代の両方で、教育による格差が広がっていることも明らかになりました。
本調査における注目すべき結果は、以下のとおりです。
実用的な金融知識を持っていないと回答した割合:
- 女性43%に対し男性29%
- ベビーブーム世代41%、X世代33%、ミレニアル世代32%
この回答者のうち、ファイナンシャル・アドバイザーのサービスを利用したことのない人の割合が最も高かったのは、女性とベビーブーム世代という結果になりました。
MDRTの会長であるランディ・スクリッチフィールド(Randy Scritchfield CFP、LUTCF)は、次のように述べています。「2022年を迎えるにあたり、米国人はコロナ禍によってもたらされた経済的ダメージから回復し、新たなスタートを切りたいと考えています。ファイナンシャル・アドバイザーは新規、既存のいずれの顧客に対しても、あらゆるレベルの金融知識を提供することで、将来に向けて確実に経済的な備えができるよう、支援する準備ができています」
経済的な不安の拡大
将来に目を向ける人がいる一方で、米国では依然として多くの人たちがコロナ禍による経済的な影響への対処に迫られています。本調査から、米国では今後数年間、個人的な経済状況に影響を及ぼす問題として、インフレの影響(68%)、サプライチェーンおよび物流の問題(61%)に対する不安が挙げられています。
こうした不安の程度は世代によって異なることも顕在化しました。
- 米国の成人のうち、ベビーブーム世代(1946~1964年誕生)で76%、X世代(1965~1980年誕生)では72%が、インフレの影響を心配していると回答しました。これに対して、ミレニアル世代(1981~1996年誕生)は59%、Z世代(1997~2012年誕生)では54%と、その割合は大幅に低くなりました。
- ベビーブーム世代では68%、X世代では66%がサプライチェーンや物流の問題が個人的経済状況に与える影響を懸念材料に挙げているのに対し、ミレニアル世代では57%、Z世代では42%と低下しています。
これらの結果についてスクリッチフィールドは、「ファイナンシャル・アドバイザーとして最も重要なことは、意識と経済的な安定性の両面から、消費者が確実に将来に備えられるようにすることです。ファイナンシャル・アドバイザーの協力を仰ぐことで、専門的な視点から経済的安定を求めることができ、安心感が得られるようになります」と述べています。
投資ポートフォリオの多様化
本調査でも、株式や債券等、主流と言える伝統的な投資が依然として高い人気であるという結果となりました。しかし、米国の消費者は投資の幅を広げたいという意向をもっていることから、従来型の投資だけでなく代替投資への関心が高いという結果が得られました。回答者のうち、ファイナンシャル・アドバイザーを持つ66%の回答者が株式や債券を所有していると回答しました。一方、ファイナンシャル・アドバイザーを持ったことがない人では22%と大きく低下しました。この結果から、消費者が自信を持ってさまざまな投資手段に取り組み、それぞれの経済目標の達成を目指す上で、ファイナンシャル・アドバイザーが手助けしていく余地があることが示されています。
代替投資として、消費者のうち暗号通貨を所有している人は12%となり、暗号通貨の所有に関心がある人は20%という結果となりました。ファイナンシャル・アドバイザーがいる人のうち暗号通貨を所有している(18%)に対し、アドバイザーを持たない人(11%)を大きく上回りました。この結果から、暗号通貨が持つ可能性とリスクの両方を熟知した上で、顧客に最善の助言を行うことのできるファイナンシャル・アドバイザーが必要であることを示唆しています。
投資ポートフォリオの多様化のために用いるもう1つの手段として不動産投資があります。現在所有(23%)という回答に対し、所有に関心がある(26%)という結果となりました。ファイナンシャル・アドバイザーがいる人の41%が不動産投資を行っているのに対して、ファイナンシャル・アドバイザーを持ったことがない人では15%に留まりました。ファイナンシャル・アドバイザーのいる人の方が経済の混乱から身を守るために、より多様な投資ポートフォリオを構築できる可能性が高いとも言えます。
金融知識のレベルや経済に関する新たな不安材料に対し世代などで異なりがあることから、投資手段にも違いが見られるものの、1つだけ確かなことがあります。米国人はコロナ禍において発生した経済的な困難を乗り越え、2022年には新たなスタートを切る用意ができているということです。また、経済的自由に至る道は数多くあると言えますが、ファイナンシャル・アドバイザーの手助けにより、消費者はそれぞれの経済目標に応じた最適な資産管理計画の構築の実現が可能になるということです。
調査方法
本調査は、MDRTがYouGovへの委託によって米国内で実施されたオンライン調査です。2021年9月30日~10月7日までの間、18 歳以上の米国の成人3,642名を対象としています。本調査は、母集団として、加重平均されています。
MDRTについて
グローバルな独立組織として世界70の国と地域に展開しているMillion Dollar Round Table(本部: 米国、MDRT)には、500社以上で活躍する生命保険ならびに金融サービスの専門家が会員として所属しています。MDRT会員はその厳しい倫理基準に沿って、個々の卓越した専門知識のもと優れた顧客サービスを提供していることから、生命保険および金融サービス業界の最高水準として世界に認知されています。詳細は米国本部ウェブサイト、https://www.mdrt.org/ja ご覧ください。https://twitter.com/mdrtweet のフォローもお願いいたします。
MDRTはインクルージョンかつダイバシティな当会員を称賛し、会員の誰もが公平に偏見や差別されることなくサービスを受けられる文化の醸成に尽力しています。MDRTはグローバルな組織として、会員個々の違いを尊重し受け入れます。MDRTはすべての会員および会員志望者、業界パートナー、金融サービス専門家の利益のために、多様性、公平性、インクルージョンを確保するための方針、制度および規定を積極的に確立し、推進していきます。