山形県内高齢者施設における「eスポーツによる健康効果の増進実証事業」の開始について
※eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略でコンピュータゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技としてとらえる際の名称です。
1.実験の背景と目的
eスポーツ活動は、海外では高齢者の健康増進または認知機能の維持・改善に効果が期待され、様々な研究が行われております。一方で、日本では様々な検証等が実施されているものの、現時点では具体的な効果に関する報告例は限定的です。
そこで本実証では、eスポーツの健康維持・増進に関する簡易トライアル・効果分析を実施し、高齢者の健康増進または認知機能などへの影響を評価するための手法の有効性および検証を行うためのエビデンス収集ならびに取り組みの効果検証を実施することを目的といたします。
また、高齢者福祉施設の現場の声として、現行のレクリエーションがマンネリ化していること、特にコロナ禍において外部との直接の接触機会が限られていることが、課題として挙げられております。
そこで本実証では、eスポーツをレクリエーションの1つとして、また、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用したコミュニケーション手段として高齢者の健康増進やコミュニケーション機会の増加等の社会参加のきっかけづくりの観点で利用してもらうとともに、介護現場への普及を目指し、施設職員に負荷のない運用方法やeスポーツの継続的な取り組みの実現性の観点についても検証を実施いたします。
2.実施概要
<実証内容>
STEP1:環境整備として、機器設置などと説明会の実施、対象者の選定
⇒eスポーツ機材・機器を設置するとともに、施設職員に操作方法説明会を実施。
施設職員主導で通所されている高齢者に自由にゲームに触れてもらう。
STEP2:介護レク内で機器を使って触れてもらう、対戦する
⇒介護レクの中で触れてもらったeスポーツを使い、対戦会等を楽しんでもらう。
(開催は2か月間の期間内に週1~2回程度)
STEP3:効果測定
⇒セルフ健康チェック質問表(認知機能・社会参加・精神的健康・満足度等の評価を中心とした問診項
目)で取得した回答結果、eスポーツの参加頻度/回数/時間等の定量的データをもとに、eスポーツが
「健康や認知機能の維持・増進に与える効果」「個人のコミュニケーション機会の増加等の健康面以外
に与える効果」等について分析などを実施。
分析結果は、東北福祉大学の監修のうえ、成果としてとりまとめを実施。
3.実施日程・場所
日程:2022年2月7日(月)~3月31日(木)
場所:山形県内の社会福祉法人通所施設 2施設
対象者:通所施設を利用している高齢者(主要なターゲット:要支援1・2、要介護1)
想定参加人数:延べ160人を想定(1回の参加想定人数5人×16回×2施設)
4.今後の展開
今年度中に行う本実証は、簡易トライアルと位置づけ、健康増進効果への検証手法の有効性確認および検証結果を分析・取りまとめ、高齢者向けのeスポーツ・ICTを活用したコミュニケーション機会の創出の取り組み継続に向けた課題の抽出・整理を行います。次年度以降は、継続性を加味した運用方法を確立し、山形県内自治体への本格展開をめざします。eスポーツの取り組みへの参加自治体が増えることで、健康効果などに係るエビデンス収集が加速し、その有効性を明確にすることができると期待され、将来的なeスポーツの、普及・定着の実現に寄与すると考えられます。