TLP方式による浮体式洋上風力発電 低コスト化技術検証事業の採択について
2050 年カーボンニュートラルの実現のため、日本政府は2040年までに浮体式を含めた洋上風力の発電容量を30GW~45GWとする目標を掲げています。現在世界中で開発が進んでいる着床式洋上風力は、水深の浅いエリアに設置場所が限られていることから、国内においては、陸から離れた深い水深海域に設置可能な浮体式洋上風力の実用化が強く求められております。
TLP方式は、海底基礎との緊張係留による高い安定性により、今後の主流となりうる15MWクラスの大型ウインドタービンをコンパクトな浮体に搭載することが可能なため、発電コストの低減が期待されます。また、TLP方式の係留索は、100m水深を例とした場合、他の係留方式に比べて海面下での占有面積を1/1,000程度に抑えることができ、漁業や船舶運航など既存事業への影響をより小さくするため、優れた社会受容性が期待されます。
本事業は、2030年代初頭の浮体式によるウインドファームの実用化を念頭に、TLP方式による浮体・係留システム、及び海底送電システムの要素技術を確立していくものです。
4社は、NEDOから交付決定通知を受けた後、およそ2か年で要素技術開発を行います。JERAが実証予定地での観測を行い、発電設備の設計と環境条件の設定を行います。また、三井海洋開発が浮体・係留システム、東洋建設が係留基礎、古河電工が送電システムと、従前まで各社が検討してきた技術を、要素技術毎にシミュレーション、実証実験等を通じ検証するとともに、JERAにより提示される設計・環境条件を基に、15MWクラスの発電実証設備の基本設計を実施します。 また、発電実証後の商用プロジェクトの実現に向けて、量産化・低コスト化のためのサプライチェーンの検討も開始いたします。
古河電工は、浮体式洋上風力発電に関する本件事業への参画を通して、再生可能エネルギー事業の拡大へ向け技術開発をより一層促進してまいります。さらには、古河電工グループの経営上の重要課題(マテリアリティ)である「環境配慮事業の創出」および「気候変動に配慮したビジネス活動の展開」の取り組みを強化し、日本における2050年カーボンニュートラル実現とインフラの強靭化による高品質な電力の安定供給に貢献します。
*TLP(Tension Leg Platform『緊張係留』)方式の概略図(三井海洋開発株式会社提供)