AI技術を活用した次世代のマーケティングリサーチ手法『リサーチ4.0』において、「有名人をモデルにしたデジタルクローン」の開発に成功
~株式会社オルツとの共同開発で茂木 健一郎氏のデジタルクローンを生成~
株式会社ビデオリサーチ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:望月 渡、以下「ビデオリサーチ」)は、 P.A.I.(パーソナル人工知能)※1を開発する株式会社オルツ(本社:東京都港区、代表取締役:米倉 千貴、以下「オルツ社」)と共同でデジタルクローン開発を進めており、この度「高度な専門知識を持つ有名人をモデルにしたデジタルクローン」の開発に成功したことをお知らせいたします。ビデオリサーチは、2021年1月にオルツ社とパートナーシップを締結し、AI技術を活用した次世代のマーケティングリサーチ手法『リサーチ4.0※2』の実証実験を進めています。
今回実施した取り組みでは、高度な専門知識を持つ有名人・知識人をモデルとしたデジタルクローン化の可能性を検証することを目的に、脳科学者 茂木 健一郎氏に協力いただきました。茂木氏のデジタルクローンを開発し、様々な問いかけをする実験を行った結果、同氏が持つ専門知識を基にした回答をデジタルクローンから得られることに加え、専門知識の領域にとどまらず、同氏の価値観を土台とした広範囲な返答を得ることができました。これにより、現在進めている「デジタルクローン・アンケートシステム」の精度検証に貢献し、従来の調査手法における課題解決が可能となり、既存の技術とは異なる次世代型の「リサーチ技術」の実現へ近づきます。
<デジタルクローンとの対話イメージ>
https://youtu.be/rtcSq9ti188
■「有名人・知識人をモデルにしたデジタルクローン」 生成の流れ
本デジタルクローンは、「デジタルクローン生成手法第1種」というクローンの元となる実在する個人の価値観を多く含むデータを学習素材として用い、生成しています。「平均モデル」という膨大な人々の思考を統合した巨大なデータの集合体に、デジタルクローンの対象となる個人の個性が反映された比較的少量のデータを合わせることで、人間としての基礎的な思考を保ちながら、個人が持つ価値観・性格を反映した「個性モデル」を生成することができます。本実験では、茂木氏の許諾のもと、同氏の著作やSNSへの投稿などを学習素材として使用し、「オルツ・クローンモデリング・エンジン」により「個性モデル」を生成しました。現在は茂木氏とともに、同氏のデジタルクローンの対話を通じた検証を進めています。
個性モデルを生成することで、オルツ社の開発した「Nulltitude(ナルティテュード)※3」を利用し、「デジタルクローン生成手法第2種」で開発している「デジタルクローン・アンケートシステム」をさらに深化させるうえで、重要な知見を得ることができます。「オルツ・クローンモデリング・エンジン」による「デジタルクローン生成手法第1種」は、実在する人間の思考データを学習素材として用いるのに対し、「デジタルクローン生成手法第2種」はデータ自体には個人の価値観を反映させず、個人の大規模な定量データを用いてデジタルクローンを生成する違いがあります。従来の調査及びマーケティング活用などの目的で実施した顧客アンケート調査によって、収集された定量データ(各種属性など)を用い、第2種の手法を活用することでデジタルクローン生成が可能となります。第1種の手法により生成した茂木氏のデジタルクローンの結果と第2種の結果を、質問の問い方、回答・判定の方法など総合的に検証することで、精度の向上や活用方針の策定に生かすことができます。
なお、ビデオリサーチは2021年2月よりオルツ社と同社が開発した「デジタルクローン・アンケートシステム Nulltitude※3」の実証実験を共同で進めており、その成果として同年11月に実際の調査回答者を再現したデジタルクローンを生成することに成功し、さらに研究を進めています。
*参考:2021年11月18日プレスリリース(https://www.videor.co.jp/press/2021/211118.html)
<デジタルクローン生成手法 第1種:個人の価値観を多く含むデータから生成のイメージ>
<デジタルクローン生成手法 第2種:大規模定量データからの生成のイメージ>
ビデオリサーチでは、得られた実証実験の結果をオルツ社と共に深く分析・研究し、改善を施したうえで、引き続き研究開発を進めてまいります。
※1 P.A.I.(パーソナル人工知能)
「P.A.I.(パーソナル人工知能)」とは、私たち自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAIです。(「P.A.I」はオルツ社の登録商標です。)
※2 リサーチ4.0
AIによるデジタルクローンに代表される、新たな技術による次世代型のマーケティング技術、リサーチ技術。ビデオリサーチでは、「リサーチ1.0」=「人的対面調査」、「リサーチ2.0」=「PCインターネット調査」、「リサーチ3.0」=「ログ、センシングデータ」と位置付けています。
※3 Nulltitude(ナルティテュード)
Nulltitudeは、人間個人のAIクローンの群がアンケート調査に回答するAIクローンアンケートシステムです。オルツ社の開発した、「Alt Clone Modeling Engine(オルツ・クローン・モデリング・エンジン)」は、実在する人間のライフログを学習素材として、人間の思考や個性の特徴を抽出してクローンを生成します。ここで生成されたAIクローンに対してアンケートを実施すると、その元となった人間の思考を反映した回答を得られます。これを複数のAIクローンに実施し、集計を取ります。
公式サイト:https://nulltitude.ai
【株式会社ビデオリサーチ】
株式会社ビデオリサーチは、日本国内で唯一テレビ視聴率データを提供する調査機関として1962年に設立されました。以来、日本国内におけるテレビ視聴率調査やラジオ聴取率調査をはじめとする各種メディアデータやマーケティングデータなど最先端のデータを提供し、企業のマーケティング課題に対するトータルサポートを行っています。
【株式会社オルツ】
デジタルクローン技術によるP.A.I.(パーソナル人工知能)『Alt(オルツ)』の研究開発を通じ、私たちが日々生きること自体を永続的な価値を生み続ける資産となし、自己を自身の評価によって律する人類史上初の自律社会の創出実現を目指す企業です。