「ギャンブル等依存症対策」への有用性を検証 ~ボートレース場で、AIカメラの画像解析技術を用いた実証実験を開始~
【背景および目的】
我が国では、多くの人が競馬などの公営競技やぱちんこ等を健全に楽しんでいます。
その一方で、これらのギャンブル等にのめり込むことにより、本人及びその家族の日常生活に支障をきたすだけでなく、多重債務や犯罪等 重大な社会問題を生じさせる場合があります。
2021年度に独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターが実施した調査によると、「ギャンブル等の依存が疑われる者」の割合は成人の2.2%と推計されています。※1。
※1 出典:松下幸生, 新田千枝, 遠山朋海; 令和2年度 依存症に関する調査研究事業「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調
査」,2021年.
こうした問題を背景に2018年10月、「ギャンブル等依存症※2対策基本法(2018年法律第74号)」が施行され、全施協はこれまで「新たな入場管理方法の調査研究」等の課題に取り組んできました。
2019年11月には、全施協とNTT東日本が共同で、AIカメラを活用した人物検知の実証実験を開始しましたが、マスク着用時に検知精度が低下してしまうことが課題となっていました。
そこでこの度、その後のコロナ禍によるマスク着用の常態化も鑑み、マスク下での人物検知をも可能とするAIを用いた画像解析の有用性について検証することとなりました。
今回は、実際に声掛けの依頼があったギャンブル等依存症申告者ではなく、全施協やNTT東日本の従業員等関係者を被験者として実証実験を行います。また入場者数計測や場内混雑スポットの混雑状況の可視化、年齢や性別、入場回数といった属性の分析による入場者の利便性向上及びマーケティングへの活用についても、その有用性を検証します。※3
この取り組みを通じて、依存症への理解を深め「SDGs目標3_すべての人に健康と福祉を」に寄与してまいります。
※2 ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為)にのめり込むことにより日常生
活又は社会生活に支障が生じている状態
※3 実際の施設入場者を撮影対象として実証実験を実施します。個人を特定する利用については一切行いません。取得情報については実証実
験期間終了後に速やかに破棄し、個人が特定できない形で集計・保存致します。
【実証実験概要】
1.実証実験期間
2021年12月1日~2022年3月31日(予定)
2.実施場所
ボ―トレース戸田(埼玉県戸田市戸田公園8-22)
3.両者の主な役割
<全施協>
・実証実験実施場所や環境、物品等の準備
・関係者への実証実験内容の説明および検知の同意の取得
・AIカメラおよびクラウド型画像解析機能の運用
・NTT東日本への、実証実験で取得したデータの提供及び解析の委託
<NTT東日本>
・クラウド型AI画像解析機能の提供・導入支援
・実証実験取得データの解析・取りまとめ
4.その他(AIカメラによる取得情報について)
AIカメラに写った人物に対して、以下の情報を取得いたします。
・入場時の映像/スナップショット画像
・各投票所前の映像/スナップショット画像
・入場者の顔画像及び特徴量
・入場日時(画像内で顔が検出された日時)
・入場場所(顔が検出されたカメラの設置場所)
・属性(推定される性別・年齢)
・入場来訪者の再入場回数(特徴量の一致回数)
本実証の実施にあたっては、プライバシーに十分配慮し、「カメラ画像利活用ガイドブック」に基づい
た管理や運用を行うなど、個人情報保護法をはじめとした関係法令を遵守した対応を行います。
また、上記取得情報については実証実験期間終了後に速やかに破棄し、個人が特定できない形で集計・
保存致します。
【今後の展開】
全施協およびNTT東日本では 今回の実証実験結果を踏まえ、今後の更なる展開を目指し、取り組んで行きます。
参考①【実証実験実施イメージ】
※入場者を撮影対象としますが、個人を特定する利用については一切行いません。
※上記取得情報については、実証実験期間終了後速やかに破棄し、個人が特定できない形で集計・保存致します。
参考②【カメラ設置位置・撮影エリア】
※WINWINパーク戸田→ボートレース戸田内の外向販売所
※Mooovi→ボートレース戸田内の親子の遊び場