身体運動が体内の活性型コラーゲンオリゴペプチド代謝に及ぼす影響を解明 城西大学 2021年07月15日 08:05 城西大学薬学部医療栄養学科の真野博教授の研究グループは、活性型コラーゲンオリゴペプチド(ACOP)の健康機能に着目。城西大学薬学部・男子駅伝部、東京農業大学、順天堂大学、新田ゼラチン株式会社との産学協同研究を進め、活性型コラーゲンオリゴペプチド抗体を用いたELISA法によってコラーゲンペプチド摂取と身体活動がコラーゲンペプチド代謝に与える影響を解明しました。「ACOPを高感度に認識する抗体を用いた尿中ACOP濃度の測定法」を確立するとともに、「身体活動による尿中ACOP濃度の変動のモニタリング」への応用に成功しました。本研究論文は、「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」に掲載されました。 【本研究のポイント】 ・活性型コラーゲンオリゴペプチド(ACOP:エーコップ)を認識する抗体を開発、尿中濃度の測定法を確立 ・アスリートのランニング・トレーニングが、尿中ACOP濃度を低下させることを確認 ・体調や健康を把握・改善するための身体活動マーカーとして、今後のACOPの研究・活用に期待 【研究手法と成果】 本研究は、城西大学男子駅伝部の選手46名を対象としました。朝食前の早朝練習(平均走行距離13キロメートル、1時間のランニング)の前後に尿採取、尿中成分を分析しました。試験前日の夕食時のCP摂取状況を調査し、CP摂取群22名と非摂取群24名に分け、CP摂取と身体活動の影響を比較しました。その結果、両群ともに身体活動による尿中ACOP濃度の低下が認められました。また、運動前の尿中ACOP濃度はほぼ同様で、前日のCP摂取の影響は認められませんでした。これらの現象をもとに、体内ACOP量を推測すると、体内からのACOP供給量よりも身体活動によるACOP消費量が上回っていることが示唆されます。 【研究背景と目的】 活性型コラーゲンオリゴペプチド(ACOP)は、皮膚、骨、軟骨や筋肉などの損傷の予防や回復を促す効果が認められ、スポーツ栄養の分野で注目されています。ACOPは、体内のコラーゲン代謝過程で生成されますが、コラーゲンペプチド(CP)を摂取することにより、体内に効率良く補充できることがわかっています。一方、体内のACOPがどのような時に、どのくらい利用・排出されるかについては詳しくわかっていません。また、ACOPの研究によく登場する質量分析計は、高度な分析・研究を可能にする一方、導入・運用コスト面の都合で利用しにくい一面がありました。そこで、我々のグループは、近年開発された抗ACOP抗体を用いて、研究に導入しやすいELISA法による、尿中ACOP濃度の測定法の確立、CP摂取・身体活動時における尿中ACOP濃度のモニタリングに着手することにしました。 【今後の展開】 先行研究から、体内のACOP量は、性差、年齢、食事、健康状態、身体活動などに影響されることが予測されています。より幅広い対象者のACOPのモニタリングデータを収集・解析することで、アスリートを含め、多くの人たちの健康の維持・増進に貢献できる研究になると考えられます。ACOPの変動ファクターを明らかにしていくことで、CPの適切な摂取タイミングや摂取量がわかるようになり、一人ひとりにあわせたテーラーメイド型のCP補給も可能になることが期待されます。 【論文著者からのコメント】 コラーゲンペプチド/活性型コラーゲンオリゴペプチドは、「人生100年時代」を健康に生き抜くために必要な第7の栄養素として着目されています。本研究は、コラーゲンペプチド代謝の基礎研究の成果を報告したものであり、ACOPを活用した体調の管理改善や怪我の予防治療につながる取り組みができたと思います。アスリートの競技パフォーマンスの向上から高齢者の健康寿命の延伸など社会の課題解決に貢献できる研究者を目指していきたいと考えます。 (城西大学薬学部医療栄養学科 教授・真野博、助教・君羅好史、助手・大澤吉弘) 【用語説明】 ・ACOP(エーコップ): 活性型コラーゲンオリゴペプチド(ACOP)は、CPに含まれている、プロリンと水酸化プロリンから構成されているペプチドの総称です。特に、プロリルヒドロキシプロリンやヒドロキシプロリルグリシンは、体内ACOPにおける主要成分であり、多くの生理作用があることが報告されています。 ・CP(シーピー):コラーゲンペプチド(CP)は、食品からコラーゲンを抽出、消化分解、粉末化することで、水に溶けやすく普段の食事で使いやすくなった健康食品です。そのまま食品からコラーゲンを摂取するよりも、手軽に、たくさん摂取することができ、低分子化されているので、消化吸収速度が優れていることが特徴です。 ・ELISA法(エライザ法):特定の抗原に抗体を結合させ(抗原抗体反応)、その抗体を酵素で標識し、酵素と基質の反応量(発色や発光の強さ)を指標とすることで、抗原を検出・定量する測定する方法です。 ▼本研究に関するお問い合わせ先 〒350-0295 埼玉県坂戸市けやき台1-1 城西大学薬学部医療栄養学科教授 真野博(まのひろし) TEL: 049-271-7246 E-mail: h-mano@josai.ac.jp ▼広報に関するお問い合わせ先 城西大学広報課 TEL: 049-271-7543 E-mail: koho@stf.josai.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/
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