独立電源型無線中継器による野生動物の検出データ送信に成功

古河電気工業株式会社

~地方自治体が抱える獣害対策などの課題解決に貢献~

● 実証実験にて、電波不感地帯での野生動物の検出と富山市センサーネットワークへのデータ送信に成功
● 野生動物を検出・識別できるAI機能搭載カメラシステムの開発とデータ送信の検証を継続
● 長年培ってきた技術で地域課題に取り組み、安全・安心・快適な社会の実現に貢献

 古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一)は「令和2年度 富山市センサーネットワークを利活用した実証実験」に参画し、3月10日に中間報告を発表しました。
 本実証実験においては、農作物被害で問題となっている野生動物をカメラで捉え、富山市のプラットフォームにて検出データを確認することに成功しました。将来的には、AI機能を搭載したカメラによって野生動物の検出と識別を行えるよう開発を行い、その検出データを地域住民の皆さんに通知する仕組みを構築することで、農作物被害などの獣害対策に貢献してまいります。

■背景
 富山市は、ICTを活⽤した都市機能やサービスを効率化・⾼度化するスマートシティの実現に向け、省電⼒広域エリア無線通信技術(以下、LoRaWAN※1)によるプラットフォームを構築し、利活用する実証実験を2019年度より行っています。
 野生動物による農作物被害が深刻な地域は、電波の届かない場所や商用電源の利用が困難な場所であることが多く、無線中継器による不感地帯対策やソーラー電源等の電源を確保する必要性があります。また、野生動物の生息域を把握するために、イノシシやクマといった対象となる野生動物を識別できるAI機能を搭載したカメラの開発も必要です。当社は初年度より参加し、この2点について検証を行ってきました。


古河電工の獣害対策に向けた取り組み

■内容
 当社は、電波不感地帯において野生動物のイノシシをカメラで捉えて検出したデータを、無線中継器を介して富山市センサーネットワークに送信することに成功しました。これにより、野生動物が生息する地域から離れていても、状況を把握することができるようになります。

本実証実験のイメージ

低消費電力による電波不感地帯への無線中継とカメラ検出データの送信に成功
 LoRaWANの電波圏内にソーラー電源と無線中継器を搭載した独立電源型LED街灯(スマコミライト(R)※2)を設置し、そこから約5km離れたLoRaWANの電波圏外の休耕地との間で、電波による通信を可能にしました。これにより、商用電源を用いずに電波不感地帯への無線中継を実現しました。
 また、この休耕地にLoRaデバイス(※3)とソーラー電源を搭載したカメラシステムを設置し、無線中継器を介して野生動物を検出したデータを富山市センサーネットワークに送信し、ダッシュボード上で確認しました。

AI機能搭載カメラシステムの開発とデータ送信の検証を継続
 野生動物の生息範囲や出没頻度を把握するためには、カメラで撮影する際に、雨や草木の揺れといった目的外の対象を検知しないようにする必要があります。当社では、野生動物とその他の事物を識別できるAI機能搭載カメラを開発し、その識別結果を富山市センサーネットワークに無線送信できるよう今後も検証を進めます。また、将来的にはその検出データを地域住民の皆さんに通知するシステムを構築することにより、獣害対策に貢献してまいります。

参考:AI搭載カメラの検証のために撮影したイノシシの映像

令和2年度富山市センサーネットワーク実証実験 概要
●実験名:独立電源型LED街灯を活用した野生動物検出システム実験
●期間:2020年9月28日~2021年度末
●実施地域:富山市内 山田地区
●参加企業:
古河電気工業株式会社、
株式会社岡野エレクトロニクス、
株式会社インテック、
北陸電気工業株式会社


■用語解説
※1 LoRaWAN(Long Range Wide Area Network):省電⼒広域エリア無線通信技術。LoRA allianceで規格化が進められている低消費電力の広域ネットワークプロトコル。低消費電力の広域ネットワークであるLPWA(Low Power Wide Area)通信方式の1つであり、富山市は無線通信ネットワークとして「LoRaWAN」を採用。
※2 『スマコミライト』は株式会社岡野エレクトロニクスの登録商標。
※3 LoRa(Long Range)デバイス:LoRa(Long Range)通信方式を用いた通信端末。

■関連ニュースリリース(獣害対策に向けた当社の取り組み)
古河電工と島根県美郷町 包括的連携に関する協定を締結
https://www.furukawa.co.jp/release/2020/kei_20201125.html

■古河電工グループのSDGsへの取り組み
当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念に掲げて、4つのコア技術(メタル・ポリマー・フォトニクス・高周波)を軸に、事業活動をしています。さらに、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を念頭に置き、当社グループの事業領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」を策定し、「地球環境を守り、安全・安心・快適な生活を実現するため、情報/エネルギー/モビリティが融合した社会基盤を創る。」に向けた取り組みを進めています。

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