NEDO「浮体式洋上風力発電低コスト化技術開発調査研究」の開始について
脱炭素化社会の実現に向け、欧州を中心に導入が広がる洋上風力発電は、より高いエネルギー効率を得るため沿岸部での設置からより風の強い沖合に向かっており、広い領海を有する日本でも従来の着床式に加え浮体式洋上風力発電が注目されています。
今回の調査研究では、洋上風力発電の浮体の係留方式として国内外で実証が進む緩係留方式ではなく、緊張係留方式(Tension Leg Platform式(以下、「TLP」))の浮体・係留システムを採用し低コスト化を図ります[図1、図2参照]。本調査研究では、TLPの浮体の優れた動揺特性を活かし実事業で想定される10MW超級の大型風車を搭載する浮体として必要な構造信頼性を確保すると共に動揺が少ないことによる、風力発電設備と海底送電システムの耐久性向上による低コストな次世代浮体システム及び海底送電線システムの開発を行います。また、緩係留方式に比べて、係留索による海域占用面積を大幅に削減できるため、漁業や船舶運航への影響を抑えて、優れた社会受容性を発揮することができます。
本事業は2022年3月までの2ヶ年で、三井海洋開発が浮体・係留システム、東洋建設が係留基礎の設計及び海上工事、古河電工が送電システムの分野を担い、技術開発とコスト低減の評価を行います。
当社は、100年以上に亘り国内外で2000km超に及ぶ豊富な海底ケーブルの納入実績を有しているほか、経済産業省による福島浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業や、欧州の発電事業者と海底ケーブルメーカによる共同開発スキームJoint Industry Project(JIP)であるCarbon Trustの浮体式洋上風力発電用海底送電システムの開発調査にも参加してきました。本調査研究においては、低コストかつ耐久性の高い海底ケーブルを開発し、浮体式洋上風力発電による再生エネルギーの導入に貢献することで、脱炭素社会の実現に寄与いたします。
「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。」を基本理念に掲げ、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を常に念頭に、三井海洋開発ならびに東洋建設ほか、関係省庁、発電事業者、地域社会や日本版JIPと共に低炭素社会実現に向けた「共創」に取り組んで参ります。
[図1] (提供: 三井海洋開発(株))
■古河電工グループのSDGsへの取り組み
■本研究に関するお問い合わせ先
営業統括本部 インフラ営業統括部新エネルギー推進室
室長 益田
TEL:03-3286-3652(直通)