国内企業でも『ジョブ型』採用の動き
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新型コロナの感染拡大は、働き方を見直す契機となりました。感染防止のために、多くの企業では在宅勤務に切り替え、今後も長引く影響を見据えて在宅勤務を主体とするテレワークの恒久化に踏み切った国内企業も少なくありません。こうした働き方の変化に伴い、欧米では一般的に採用されている職務内容を明確にして成果で処遇する『ジョブ型』雇用を検討、あるいは採用する企業が国内でも出始めています。
【ポイント1】雇用形態には『ジョブ型』と「メンバーシップ型」
■日本の働き方は、終身雇用を前提に、長期間会社に所属して、仕事の内容や勤務先など職務を明確に定めずどんな業務も担います。企業の一員になるという意味合いから「メンバーシップ型」と呼ばれます。一方、欧米では一般的な『ジョブ型』はジョブディスクリプション(職務記述書)に基づき、あらかじめ仕事の内容や報酬を明確にしたうえで契約を交わします。コロナ禍による在宅勤務の拡大や海外の優秀な人材を獲得するなどの観点から国内でも『ジョブ型』を採用する企業が出始めています。
【ポイント2】国内企業にも『ジョブ型』採用の動き
■日立製作所は今年5月に国内約31,000人を対象に『ジョブ型』を本格導入すると発表しました。同社が『ジョブ型』への移行を探り始めたのは、2008年のリーマン・ショック直後で、グローバル人材の獲得には日本型雇用からの脱皮が必要との判断によります。グループ管理職の約50,000人のポジションを同じ尺度で評価・処遇する体制を整えてきましたが、2021年度からは『ジョブ型』雇用を本格化し、社員の仕事内容や必要な能力を明確化する方針です。
■富士通は今年4月より、『ジョブ型』の人事制度を管理職15,000人を対象に導入しました。グローバルに統一された基準により「ジョブ」(職責)の大きさや重要性を格付けし、報酬に反映します。今後はその制度を一般社員にも順次、広げる計画です。
【今後の展開】『ジョブ型』の採用企業は増加の方向
■国内では過去リーマンショックなど危機が起きるたびに成果主義への転換などが叫ばれましたが、なかなか人事制度の変更は進みませんでした。今回のコロナ禍は『ジョブ型』の採用を促しました。上司の指示の下で働く「メンバーシップ型」は在宅勤務に適さないからです。『ジョブ型』への移行は簡単ではありませんが、在宅勤務に加え、労働力人口が減少し、デジタル化やグローバル化が進むなか、『ジョブ型』を採用する企業は増加していくとみられます。
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