AMED「 ウイルス等感染症対策技術開発事業 」に採択 CT搭載車を用いた新型コロナウイルス肺炎の早期診断の有用性に関する実証研究を行います
本事業で は、 新型コロナウイルス感染症( COVID 19 )の代表的な疾患である、新型コロナウイルス肺炎への包括的な対策において、CT 搭載車(CT検診車)を活用することを目的としています。
今後は 、感染対策装備や遠隔画像診断装置の実装など、車両の最終的な整備を行い 、8月初旬から運用を開始する予定です 。
CT搭載車イメージ
研究課題
事業名: 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)
令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業
(プログラム名:実証・改良研究支援)
「ウイルス等感染症対策に資する医療機器・システム等の実証研究支援」
課題名:「遠隔画像診断・非曝露撮影機能を実装する CT 検診車を用いた院外療
養中の感染者における新型コロナウイルス肺炎の早期診断の有用性に関 する実証研究」
研究体制
代表機関 : 公立大学法人 横浜市立大学
研究開発代表者 : 山城 恒雄(横浜市立大学 大学院医学研究科 放射線診断学 准教授)
研究開発分担者 : 竹内 一郎(横浜市立大学 大学院医学研究科 救急医学 教授)
宇都宮 大輔(横浜市立大学 大学院医学研究科 放射線診断学 教授)
後藤 隆久(横浜市立大学 大学院医学研究科 麻酔科学 教授、
横浜市立大学附属病院 病院長)
高木 俊介(横浜市立大学 附属病院 集中治療部 准教授)
実施期間
令和2年8月初旬(予定)から令和3年3月31 日まで
研究開発の概要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、様々な臓器に障害が発生することが知られていますが、最も頻度が高いものが肺炎です(いわゆる新型コロナウイルス肺炎、COVID-19 肺炎)。新型コロナウイルスに感染しても、健康な若年者であればごく軽度の症状のみで自然に治癒することが多いとされますが、一方で高齢者や何らかの基礎疾患を有する方では、しばしば肺炎を起こし、重症の肺炎になった場合はその致死率は決して低くありません。
新型コロナウイルス肺炎に対して、現時点で特効薬は存在しないものの、肺炎およびその他の合併症に対処するために、本邦では様々な治療が組み合わされて行われており、それらの積極的な治療にはかなりの効果があるものと考えられています。
新型コロナウイルス肺炎は、初期の段階では通常の胸部レントゲン検査(X 線撮影)ではほぼ検出できず、胸部CT のみで診断可能です。しかし新型コロナウイルス肺炎に対する胸部CT の診断精度は、「感度は高いが特異度が低い(すなわち、新型コロナウイルス肺炎を発症していればCT でおおむね特定できるが、他の原因による肺炎とCT 上は区別することが難しい)」という課題もあり、放射線被ばく
を考慮すると、むやみに行われるべき検査ではありません。
一方、PCR 検査等で新型コロナウイルスの感染が判明している人や、周囲の状況等から感染が強く疑われる人が、肺炎を疑う症状をすでに訴えている場合、新型コロナウイルス肺炎の有無や重症度をCTで速やかに評価することは、早期に適切な治療へつなげるという観点から大きな意味があるものと考えます。
今回、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)による補助事業として、種々の感染対策(医療用の空気清浄装置含む)を施した新型コロナウイルス肺炎の画像診断に特化したCT 搭載車(CT検診車)を横浜市立大学が主導して構築します。この検診車は最先端かつ低被曝のCT スキャナーと、迅速な画像診断が可能な遠隔画像診断装置を搭載しており、様々な局面で「有効な使い方」があると想
定されます。地方自治体等と連携しながらその「有効な使い方」を模索し「With コロナ」時代を迎えた日本社会にどのように貢献できるのか、積極的に探索を進めていきます。
※本研究は、キヤノンメディカルシステムズ株式会社と株式会社フリールの協力を得て実施します。
<参考>
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)「令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業」(実証・改良研究支援)について
ウイルス等感染症対策技術開発事業では、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受け、顕在化している緊急性の高いニーズに対応するために、感染症対策の課題解決につながる研究開発や、感染症対策の現場ニーズに対応した機器・システムの開発・実証等を支援します。