ギリアド・サイエンシズ、COVID-19の治療薬として開発中の抗ウイルス薬であるremdesivirによる2つの第III相試験を開始
米国食品医薬品局(FDA)は、COVID-19の治療薬としてremdesivirを検討するための臨床試験の治験届を受理
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は、2月26日、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)と診断された成人を対象としてremdesivirの安全性と有効性を評価することを目的とした2つの第III相臨床試験の開始を発表しました。これらの無作為化、非盲検、多施設共同試験には、3月以降、主にアジア諸国から、さらには診断例の多い世界各国の医療施設から、約1,000例が登録される予定です。これらの試験では、2つの投与期間を設定してremdesivirを静脈内投与した結果を評価することになります。これらの試験は、米国食品医薬品局(FDA)による迅速な審査とCOVID-19治療薬としてのギリアドのremdesivirの治験届(IND)の受理を受けて開始されます。新たに行う臨床試験は、中日友好医院主導で中国湖北省で行われている2つの臨床試験と米国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases, NIAID)主導で米国で開始された臨床試験を含む、現在実施中のremdesivirの研究を発展させるものです。ギリアドは、すでに実施中の試験に薬剤を寄付するとともに、科学的な情報提供を行っています。中国で行われている2試験については4月に結果が得られる予定です。
「ギリアドの最重要課題は、COVID-19に対する治療薬候補としてのremdesivirの安全性および有効性を迅速に評価することにあります。補完的に行われるこれらの一連の試験により、薬剤のプロファイルに関して短期間で世界各国から広範囲にわたるデータが得られることになります。今回の新型コロナウイルスの発生によりremdesivirが臨床開発へと迅速に進んだのは、治療選択肢に対する差し迫ったニーズに加え、最大限の緊急対応が必要な公衆衛生への脅威に対処しようとする産業界、政府、各国の保健機関、および医療関係者による共通の取り組みを反映したものです」と、マーダッド・パーシー(Merdad Parsey, MD, PhD, Chief Medical Officer)は述べています。
ギリアドの試験では、remdesivirの投与期間を2つ設定して評価を行います。1番目の試験では、重度のCOVID-19の臨床症状が認められる約400例の患者を、remdesivirを5日間投与する群と10日間投与する群のいずれかに割り付けます。2番目の試験では、中等度のCOVID-19の臨床症状が認められる約600例の患者を、remdesivirを5日間投与する群、10日間投与する群および標準治療のみを行う群に割り付けます。両試験の主要評価項目は、下記の試験についての説明の通り、臨床的改善です。
remdesivirは世界のいずれの国においても認可・承認されておらず、いずれの適応でもその安全性や有効性は確立されていません。ギリアドは、政府機関、非政府組織、および各国の規制当局と協力し、進行中の臨床試験外の緊急治療を目的とした未承認医薬品の人道的使用をベースとして、適格とされるCOVID-19患者にremdesivirを提供しています。
新型コロナウイルスの集団発生に対するギリアドの対応に関する詳細については、同社による専用ページをご覧ください:https://www.gilead.com/purpose/advancing-global-health/covid-19
remdesivirについて
remdesivirは、エボラウイルス、マールブルグウイルス、MERSウイルス、SARSウイルスを含む、複数のエマージングウイルス病原体に対し、in vitroと動物モデルを用いたin vivoの両方で広範な抗ウイルス活性を有する開発中の核酸アナログです。これまでに、健常ボランティアとエボラウイルス感染者を対象としたremdesivirの検討が行われています。COVID-19の治療薬としてのremdesivirの安全性および有効性を判断するには、未承認医薬品の人道的使用による個別症例だけでは十分ではありません。前向き臨床試験を行うことによってのみ、これが判断できるのです。
remdesivir臨床試験について
2試験のうち1番目の試験では、重度のCOVID-19症状が認められる患者を対象として、5日間および10日間の投与レジメンを用いてremdesivirを静脈内投与した場合の安全性および有効性を評価します。約400例の被験者を、Day 1にremdesivir 200 mgを投与した後、Day 5まで、またはDay 10までremdesivir 100 mgを標準治療に加え連日投与する群に1:1の割合で無作為に割り付けます。本試験の主目的は、発熱および酸素飽和度(SpO2)の正常化(腋窩温36.6 C未満、口腔温37.2 C未満、直腸温37.8 C未満;SpO2 94%超の状態がDay 14に少なくとも24時間持続すること)を指標に、remdesivirの効果を評価することです。
2番目の試験では、中等度のCOVID-19症状が認められる患者を対象として、5日間および10日間の投与レジメンを用いてremdesivirを静脈内投与した群と標準治療のみを受けた群とで、安全性および有効性を比較評価します。約600例の被験者を、Day 1にremdesivir 200 mgを投与した後、Day 5まで、またはDay 10までremdesivir 100 mgを標準治療に加え連日投与する群および標準治療のみを行う群に1:1:1の割合で無作為に割り付けます。本試験の主目的は、各群でDay 14までに退院した被験者の割合を指標に、remdesivirの効果を評価することにあります。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズ・インクは、医療ニーズがまだ十分に満たされない分野において、革新的な治療を創出、開発、製品化する、研究主体のバイオファーマ企業です。会社の使命は、生命を脅かす病を抱える世界中の患者さんのために医療を向上させることです。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35か国以上で事業を行っています。ギリアド・サイエンシズに関する詳細については、同社ウェブサイトhttps://www.gilead.com/をご覧ください。
ギリアドの将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995 年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスク、不確定要素、およびその他の要因を含む場合があります。これには、remdesivirによる臨床試験で好ましくない結果が得られる可能性、ギリアドが現在見込まれる日程内にこういった試験のうち1つ以上を完了できない、または試験自体ができない可能性などがあります。さらに、ギリアドがremdesivirの開発を中止するという戦略的判断を下す可能性もあり、その結果、remdesivirが製品化に至らない可能性もあります。歴史的事実以外の全ての記述は、将来予想に関する記述とみなしてください。これらのリスク、不確定要素、およびその他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。将来予想に関する記述のみに依拠することはお控えください。これらのリスクやその他のリスクについては、米国証券取引委員会に提出している、2019年12月31日を期末とするギリアド社年次報告書(フォーム10-K)で詳細に説明しています。将来予想に関する記述は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。