日本TI、BAW共振器テクノロジに関する最新技術記事を公開
https://www.youtube.com/watch?time_continue=11&v=BVN0WIedFQA&feature=emb_title%3FHQS%3Depd-con-null-baw-pr-v-reson-jp
振動や衝撃を測る2つの重要なパラメータは、IoT接続されたデバイスにかかる加速力と振動周波数です。振動の発生源は、走行中の車や機器の冷却ファンの内部、あるいは携帯型ワイヤレス・デバイスなど、あらゆるところに存在します。そのため、加速力、振動、衝撃に対して強い耐性を持つ安定したクロックをクロック・ソリューションが供給することが重要になります。これにより、プロセスや温度に変動があっても製品ライフ・サイクルを通して安定性が保証されるからです。
振動と機械的衝撃は、ノイズや周波数ドリフトを引き起こすことで共振器に影響し、時間とともにシステム性能を低下させます。基準発振器では、振動と衝撃は、位相ノイズやジッタ、周波数シフトやスパイクを増加させる一般的な原因であり、共振器とそのパッケージに物理的な損傷を与えることすらあります。一般に、外部じょう乱がパッケージを通ってマイクロ共振器に結合すると、クロック性能全般が悪化します。
どのワイヤレス・デバイスでも最重要の性能指標の1つが、トランスミッタとレシーバの間のリンクを維持し、データの損失を防止することです。水晶が不要になることで、BAWテクノロジは、厳しい環境で運用されるIoT製品に大きなメリットをもたらします。BAWテクノロジのおかげで安定してデータを伝送できるので、有線または無線の通信でのデータ同期の精度が向上し、切れ目なく伝送することが可能になります。つまり、迅速でシームレスなデータ処理により、効率を最大化することができるのです。
高水準の業界標準を使ってBAWテクノロジを評価
多くのマイコンが、工場や自動車など、衝撃や振動にさらされやすい環境で動作することから、TIでは、適切な軍用規格でCC2652RBの試験を徹底的に行ってきました。MIL-STD-883H、メソッド2002は、水晶発振器の耐性を試験するために作られた軍用規格です。この規格では、手荒な扱い、輸送、あるいは現場での運用による突発的な衝撃や急激な動きの変化から生じる中程度または重度の機械的衝撃(最大加速度が1500g)を、半導体デバイスに加えます。この種の衝撃は、衝撃波が繰り返される場合は特に、動作特性を乱すことや過度の振動によるものと似た損傷を与えます。
図1は、MIL-STD-883Hに対する機械的衝撃試験の構成です。図2では、CC2652RBの周波数変動を、外付け水晶振動子使用のソリューションと比較しています。この図から、2,440GHzの際に、水晶不要のソリューションの最大周波数変動が約2ppmである一方、外付け水晶振動子のソリューションでは約7ppmになることが分かります。
図1:機械的衝撃試験の構成と試験構成のブロック図
図2:BAWと水晶振動子デバイスに対する機械的衝撃によって生じる、高周波(2,440GHz)での
最大周波数変動(単位ppm)の比較
まとめ
医療分野で使われるデバイスのような、一部の重要なデバイスに必要となるスペースを削減し、頻繁な衝撃や振動が特徴的な場所でのIoT利用を実現するBAWテクノロジは、IoTの進化の中でも実質的な進歩を代表するものです。幅広い分野で、BAWテクノロジは未来のコネクテッド社会を促進する要素の1つになるでしょう。
機械的ストレスのある環境で行ったBAWテクノロジの試験について詳しくは、ホワイトペーパー「機械的衝撃や振動のある環境でのIoTワイヤレス接続を探求する」をご覧ください。
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コネクテッド・カーおよびインテリジェントホームから自己測定医療機器や自動化工場まで、テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、会長、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)の製品は、あらゆる種類のエレクトロニクス・システムに活用されています。TIは、30か国以上で事業を展開し、アナログICおよび組込みプロセッサの設計、製造、検証および販売を行っています。世界中で約3万人の当社の従業員は、誠実、革新、コミットメントをコア・バリューとし、テクノロジーの未来を形作るため日々の業務に取り組んでいます。当社の情報はホームページ(http://www.ti.com/ )をご参照ください。
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:サミュエル・ヴィーカリ、略称:日本TI)は、テキサス・インスツルメンツの子会社で日本市場における外資系半導体サプライヤです。当社に関する詳細はホームページ(http://www.tij.co.jp )をご参照ください。