産学連携で「笑い」の測定方法を開発 「笑い」が身体・心理的に与える影響を医学的に検証

近畿大学

近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)内科学教室(心療内科部門)教授の小山敦子らの研究グループは、吉本興業株式会社(大阪府大阪市)、オムロン株式会社(京都府京都市)、西日本電信電話株式会社(大阪府大阪市、以下NTT西日本)と「笑い」を医学的に検証する共同研究を実施し、「笑い」の測定方法を開発するとともに、「笑い」がもたらす身体的及び心理的影響を解析しました。 1. 本件のポイント ● 表情をスコア化することで「笑い」を測定することに成功、「笑い」の医学的検証が可能に ● 笑うことによって、「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」のスコアが改善 ● 今後は人が「笑い」を必要とするシチュエーションでの「笑い」の効果を検証予定 2. 本件の内容 「笑い」は、人間にとって日常的な動作であるにも関わらずその定義が曖昧であり、表情の評価も難しいことから、その研究は難しいとされてきました。本研究では、「笑い」を「コメディアンが参加者を笑わせることができる状況を作り出して、参加者が笑ったこと」と定義した上で、表情をスコア化する方法を用いて笑顔を数値化し、笑顔と身体的・精神的指標がどのように変化するかを調査しました。なお、参加者の「笑い」を引き出す方法として、吉本興業が吉本新喜劇と漫才・落語を提供。参加者の表情データの測定をオムロンが、また心拍数と呼吸のバイタルデータの測定をNTT西日本が担当しました。研究グループがデータを解析し、「緊張・不安」「抑うつ」「怒り・敵意」「活気」「疲労」「混乱」という6つの尺度で参加者の気分・感情を測定した結果、「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」の3スコアで、笑うことによる改善が認められました。 3. 実験概要 期間:平成29年(2017年)2月15日~3月15日 場  所:吉本なんばグランド花月(大阪府大阪市中央区難波千日前11−6) 対象者:一般から募集した20人 測定方法:計3回、2週間間隔で吉本興業提供による吉本新喜劇と漫才・落語を鑑賞し、鑑賞前後で、心理検査とアンケート調査を実施 また、観賞中に表情データ及びバイタルデータを測定 4. 実験詳細 笑顔を数値化するため、オムロン社製のHVC(Human Vision Components B5T-007001)を用いて計3回、2週間間隔で表情データを収集しました。HVCは、人の表情について「真顔」「喜び」「驚き」「怒り」「悲しみ」の5分類の変化を捉えることができます。本研究では、笑顔を測定するため、このうちの「喜び」「驚き」に注目してデータを収集しました。同時に、バイタルデータも測定し、全体・性別・笑いの度合いの3グループに分けて解析を実施。その結果、笑いが「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」のスコアを改善することが認められました。 グループ別にみると、男性グループでは、「緊張・不安」「怒り・敵意」のスコアの改善が、女性グループでは、「混乱」のスコアの改善が認められました。性別でユーモアの解釈が異なることがあるため、結果に違いが見られた可能性があると考えられます。また、「笑い」の度合いが高いグループでは、「緊張・不安」「抑うつ」「怒り・敵意」で改善が認められました。これによって、心から「笑い」を楽しめた参加者は、より「笑い」の効果が見られる傾向であることが判明しました。 5. HVC(Human Vision Components BST-007001)について HVCは、人の表情や性別、年齢、視線、目つむりなどの状態を認識する独自の画像センシング技術「OKAO(R)Vision」とカメラモジュールを一体化したオムロン社製の画像センシングコンポ。「OKAO(R) Vision」は、世界で5億ライセンス以上の出荷実績を持つ人理解画像センシング技術で、今回使用したHVCでは、人の表情について、「真顔」「喜び」「驚き」「怒り」「悲しみ」の5分類の変化を捉えることが可能です。 6. 今後の研究 本研究によって、「笑い」による心理的スコアの改善が見られたことから、今後は被験者のタイミングやシチュエーションによって効果に違いが出るかを検証する予定です。まずは、吉本興業の公演の観客を対象に、笑いを必要とするシチュエーション(ex.就職活動中、悩みがあるとき)をアンケート調査し、その上位となったシチュエーションに該当する被験者を集めて、「笑い」の効果を検証することを計画しています。 7. 近畿大学と吉本興業の包括連携協定について 「実学教育」を建学の精神に掲げる近畿大学と、「笑い」を中心としたエンタテインメントによる社会貢献や、「誰もが、いつでも笑顔や笑い声をもてる社会」の実現をめざす吉本興業。大阪で生まれた両者は、互いの理念に共感し、大阪らしい「おもろい」価値を創出するため、平成28年(2016年)12月15日に包括連携協定を締結しました。 ▼本件に関する問い合わせ先 総務部広報室 住所:〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1 TEL:06‐4307‐3007 FAX:06‐6727‐5288 メール:koho@kindai.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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