2020年度「英検2020 2 days S-Interview」についてのお知らせ

公益財団法人日本英語検定協会

― CBT方式では受験できない、合理的配慮が必要な障がいのある受験者様に受験いただきます ―



 

公益財団法人 日本英語検定協会(理事長:松川孝一、所在地:東京都新宿区、以下、「英検協会」)は、このたび、「大学入試英語成績提供システム」に対応する、実用英語技能検定(以下、「英検」)の新方式の一つであります、「英検2020 2 days S-Interview」(以下、「S-Interview」)の2020年度の実施につきまして、以下のとおり決定いたしました。まずは、その決定事項と、その決定に至った英検協会の考えをお知らせ申し上げます。

なお本事案につきましては、既に5月下旬には決定しており、英検協会としましては、受験者様、その保護者様、そして高校の先生方や大学の入試関連のご担当者様をはじめとする関係各位に、以下、S-Interviewの2020年度の実施方法につきます英検協会の考え方はご報告させていただきたいところでありましたが、「大学入試英語成績提供システム」に関わる試験ですので、まずは6月5日、独立行政法人 大学入試センター(以下「センター」)様にこの決定事項をご報告申し上げました。同日、同センター様から、大学入試英語成績提供システム運営委員会にて正式な判断が下される、との回答を頂戴した為、その結果はいつまでに弊会に届くのかをお伺いしたところ、残念ながら、月末の現時点におきましてもその期日はご回答いただけておりません。

このように時間だけが経過し、関係各位にご案内が遅延するご迷惑を顧み、本リリースにおきまして、まずは英検協会としての2020年度のS-Interviewの実施の考え方と現状の状況につきましてお知らせ申し上げる次第です。
以上のとおり、同センター様からの結果の報告いかんによっては実施できない可能性もありますことをここにご報告申し上げ、その際は、その結果とその理由も含めまして速やかに関係各位にご報告させていただきます。

【決定事項】
  • 2020年度、英検の新方式は、CBT方式(「英検CBT」・「英検2020 1 day S-CBT」(以下、「1 day」))を中心に実施し、「S-Interview」につきましては、CBT方式では対応することのできない、吃音者を含む、点字やテロップ、筆談等の合理的配慮が必要な障がいのある受験者様(高3生・既卒生)を対象に実施させていただきます。
     
  • したがいまして健常者の皆様、また、英検協会が「S-Interview」での受験を認めた以外※1の合理的配慮が必要な受験者様につきましては、「英検CBT」、もしくは「1 day」のどちらかのCBT方式で受験いただきます。
     
  • 「S-Interview」は、従来型の英検と同様、約400の全国の公開会場の中の、特別措置に適した会場で実施いたします。なお地域等、申込状況によっては別会場を新設し、そこで実施することも検討しています。
     
  • 試験日は、従来型の英検と同様の日程とします。※2020年度の実施日程につきましては、今暫くお待ち願います。
     
  • 「S-Interview」につきましては、インフルエンザや感染症の発症等、やむを得ない事情で試験日に受験できなかった受験者様におかれましては、センター試験同様、特定の場所(未定)で、別日程で再試験を実施する予定です。
       ※詳細につきましては、決定次第、速やかにご案内申し上げますので、今暫くお待ち願います。

これにより、合理的配慮が必要な障がい等のある全国の受験者様につきましては、CBT方式(「英検CBT」・「1 day」)での特別措置対応で、またCBT方式では、形式上受験が叶わない受験者様には、「S-Interview」で受験いただくことで、全国のほぼ全ての皆様に網羅的に受験いただけるようになります。
    
なお※1:障がいの区分によりましても、CBT方式で受験いただくか、「S-Interview」で受験いただくか変わってまいります。その線引きは一概に判断することが難しいところでありますので、お申し込みの際に受験者様に診断書等をご用意いただき、それをもとに英検協会が提携している合理的配慮に造詣の深い有識者の先生方のご意見も伺いながら、受験者様と協議の上で決定させていただきたく存じます。これらの詳細も募集要項を決定しましたら、速やかにお知らせ申し上げます。

<決定に至った理由>

(前提)-「大学入試英語成績提供システム」に対する英検協会の姿勢-
  • 英検協会は、「大学入試英語成績提供システム」で採用された、英検の新方式につきまして、これまで長きに渡り(従来型の)英検の実施運営で培ってまいりました経験とノウハウを生かし、全国の受験者様にできる限り公平で厳正なる試験をご提供させていただくことを目指します。
     
  • また英検協会としましては、大学入試の本質とは、受験者様各人が、将来を見据えて志望大学を決定し、その志望大学の入試要件と、得意・不得意、検定料、それに会場エリア等、保護者様とご相談の上で総合的にご判断なさり、受験すべき試験を受験様ご自身で決定するものと考えます。したがいまして、高等学校(またはその先生方)にそのご選択を委ねるものではないものと考えます。こうした考えに基づき、英検協会としましては、高等学校(またはその先生方)に、英検の各新方式の受験者様の受験意向の調査を事前にお願いすることはいたしません。実施運営団体としての責任のもとに、高等学校(またはその先生方)にできる限り責任やご負担を強いることのないように尽力してまいります。
以上の前提となる考えのもと、以下の理由から本事項の決定に至りました。なお先の5月14日付にリリースいたしました、CBT方式の決定事項※7につきましても同様に、以上の考えのもとでありますことを、改めてここでお伝えさせていただきます。
※7:【プレスリリース】2020年度 英検新方式 実施会場における決定事項のお知らせ
(https://www.eiken.or.jp/eiken/info/2019/pdf/20190514_pressrelease_2020testcenter.pdf )


【CBT方式(「英検CBT」・「1 day」)を柱とする理由】
「大学入試英語成績提供システム」に対応する英検新方式の中の「S-Interview」のスピーキングは、面接官が、受験者と対面で行う面接試験です。平成29年11月1日付、大学入試センター理事長裁定の「大学入試英語成績提供システムの参加要件」、第4.9(2)におきまして、採点の公平性・公正性を確保するため、受検生の所属高等学校等の教職員が採点に関わらないこと、との記載がございます。

英検協会としましては、先の前提のとおり、「全国の受験者様にできる限り公平で厳正なる試験実施をご提供申し上げる」ことを一義に掲げ、「大学入試英語成績提供システム」で採用された、各種、英検の新方式の最適な実施運用を検討してまいりましたが、この考えと要件とを照らし合わせますと、要件を満たしても、人を介する試験である、「S-Interview」は、面接官が前任校で受験者の先生だったこともあり得、過去に遡れば両者がどこかで面識がある可能性もあり、その有無は特定できません。したがいまして、公平性、厳正性で優位なCBT方式(「英検CBT」・「1 day」)の試験を「大学入試英語成績提供システム」の柱に据えることを決定いたしました。

さらに、昨今、教育分野におきまして、文部科学省の主導のもと、教育のICT化※8が急ピッチで推進されています。こうした背景を受け、英検協会としましては、「大学入試英語成績提供システム」での英検は、CBT方式を積極的に展開していくことで、公益財団法人として、我が国が推進する、教育のICT化の実現に貢献したく存じます。
※8:第3期教育振興基本計画(抜粋)
(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/07/20/1407394_1_1.pdf )


「S-Interview」を特別措置対応とする理由】
一方で、CBT方式の試験は、健常者の受験者様に対しましては公平性、厳正性の担保はできますが、吃音者を含む、点字やテロップ、筆談等での受験が必要な受験者様には、CBT方式では対応しきれない限界があり、英検協会としましては、試験の公平性、厳正性の観点で、CBT方式だけで試験を行うことに課題を見出し、CBT方式でカバーしきれない受験者様への対応についての検討を進めてまいりました。

そこで、これまで長きに渡り試験運営をおこなってまいりました、従来型の英検における特別措置対応の知見とノウハウを生かし、「S-Interview」は、リーディン・リスニング・ライティングの不合格者も別日のスピーキングの面接試験に進め、それ以外は、従来型の英検と違いがないことから、従来型の英検で既に実施している、吃音者を含む、点字、テロップ、筆談等を要する受験者様には、「S-Interview」で受験いただくことにいたしました。

それにより、合理的配慮が必要な障がい等のある、おおよその受験者様は、英検の新方式(「英検CBT」・「1 day」・「S-Interview」)のいずれかで受験いただけるようになります。また「S-Interview」の受験者様には、従来型の英検と同じ実施日で、約400の全国の公開会場の中の特別措置に適した会場で受験いただけます。なお地域等、申込状況によっては別会場を新設し、そこで実施することも検討しています。

以上、合理的配慮が必要とされる障がい等のある受験者様に、できる限り、「受験免除」の対応ではなく、一人でも多く受験いただける機会の創出をおこなう必要性を見出し、「S-Interview」は、CBT方式では対応しきれない、吃音者を含む、点字、テロップ、筆談等の合理的配慮が必要な受験者様に受験いただくことにいたしました。

【「S-Interview」の課題への対応につきまして】
前述のとおり、人が介在する試験である、「S-Interview」は、面接官と受験者との面識の有無の特定が難しい課題がございます。そのため、採点の公平性の担保ができません。したがいまして、その課題を解決すべく、英検協会としましては、「S-Interview」で受験いただく受験者様の採点は、先のとおり、大学入試センター理事長裁定の「大学入試英語成績提供システムの参加要件」に従い、まず面接官は受験者様の現在所属の高等学校等の教職員を避け、さらに万全を期し、TEAPと同様、その面接官だけではなく複数の採点者も採点することといたします。

一方、CBT方式で受験される皆様の中には、「S-Interview」で受験したいと希望される方々も多くいらっしゃるかと存じます。それにつきましては、英検協会としましても前向きに検討してまいりましたが、残念ながら、その場合は、前述のとおり採点の公平性を追求するため、面接官以外に複数の採点作業をおこなう人件費等の費用が増大し、「S-Interview」の検定料がTEAPの受験料(15,000円(税込))と同等、またはそれ以上に跳ね上がる恐れがございます。それは全国の受験者様に不利益を被る度合いが大きいと判断し、英検協会としましては、前述のとおり、CBT方式ならではの公平性と厳正性でのメリットと、CBT試験の推進により、我が国の教育のICT化実現に寄与することを最優先とし、それは認めないことといたしました。

【「S-Interview」の最上位級は1級、CBT方式(「英検CBT」・「1 day」)は準1級の違いにつきまして】
「S-Interview」は1級が受験でき、一方でCBT方式(「英検CBT」・「1 day」)の各試験は1級が受験できないことから、「S-Interview」の受験対象者である、吃音者を含む、点字、テロップ、筆談等を必要とする障がいのある受験者様と、健常者を含むCBT方式で受験される受験者様とでは、1級の受験可否による公平性に問題があるとのご指摘をなさる皆様も多くいらっしゃるかと存じます。

よって英検協会としましても、先のとおり、厳正さにおきまして人を介する試験より優位なCBT方式の試験で、当初は2020年度中に1級の導入も検討してまいりました。しかしながら、「大学入試英語成績提供システム」を採用する全国の国公立大学様の入試動向を確認いたしますと、1級に準ずるCEFRのC1、もしくはB2レベルを出願基準としている大学様は今のところないことから、1級を新たに導入し全国に会場を設置しても、受験者様は限りなく少ないものと思われます。

こうした状況下におきまして、「大学入試英語成績提供システム」に対応する試験で、英検1級に準ずるCEFRのC1、もしくはB2レベルの測定を望む受験者様には、2頁目の<表>のとおり、TEAPは、受験料が15,000円(税込)で、「S-Interview」の検定料の16,500円(税込)よりも安価なことから、こうした受験者様には、TEAPを受験いただくことを英検協会としてはお勧め申し上げ、2020年度につきましては、ひとまずCBT方式での1級の導入は見合わせることといたしました。なお2021年度、出願にC1、もしくはB2レベルを求める大学様が増えてまいりましたら、改めましてCBT方式の試験のいずれか、もしくはどちらの試験にも1級の導入を検討していきたく存じます。

一方、「S-Interview」は1級が受験できることから、本来はCBT方式で受験なさるべき受験者様の中で1級受験を希望される方につきましては、「S-Interview」で1級を受験させたらいいではないか、といったお考えもあるかと存じます。それにつきましても検討いたしました。「S-Interview」で受験したい、もしくはCBT方式で受験したい、こうした受験者様のご希望は様々であり、もしかしますと幼少期から慣れ親しんでいる従来型の英検と変わらない、「S-Interview」で受験したい、と思われる受験者様は多くいらっしゃるかもしれません。そう考えますと、1級に準ずるCEFRのC1、もしくはB2レベルを出願基準としている国公立大学様が今のところない状況で、CBT方式に1級がないという理由で、1級受験を希望される受験者様だけを「S-Interview」で受験することができるというのは、ほとんど希望者がいないことが予想できる中で、いかにもとってつけた対応といえ、英検協会としましては、これは全受験者様に公平であるとは言い難いものと判断いたしました。では、各級問わず、CBT方式で受験すべき対象の受験者様の中で、「S-Interview」での受験を希望なさる受験者様につきましては、全て「S-Interview」で受験いただいてもよいとすることも検討いたしました。これにつきましては、【「S-Interview」の課題への対応につきまして】の記載のとおりの対応を講じる必要があり、しかも「S-Interview」での受験を希望なさる受験様が多ければ多いほど、複数による採点に要する人件費は莫大で、それにより検定料の高騰に拍車をかける事態を招きかねず、それは受験者様にとっての最善策とは言い難いと判断いたしました。

さらに、「大学入試英語成績提供システム」に関係なく、英検1級の資格を取得したいという受験者様がおられましたら、従来型の英検は、全国の多数の私立大学様で入試用に既にご活用いただいており、しかも1級の検定料がより安価な9,500円(税込)であることから、こうした受験者様には、従来型の英検を受験いただきますことを英検協会としてはお勧め申し上げたく存じます。
以上、今後の決定事項につきましては、決定次第、順次 皆様に情報共有させていただく所存でございますので、それまで今しばらくお待ちいただきますよう、謹んでお願い申し上げます。

* <2020年 実施方法>および <英検(従来型)特別措置の概要>につきましては 
https://www.eiken.or.jp/eiken/info/2019/pdf/20190626_pressrelease_2020S-Interview.pdf
をご覧ください。



【本件の問い合わせ先】  
公益財団法人 日本英語検定協会 広報担当
TEL:03-3266-6840 FAX:03-3266-6570 
E-mail : kouhou21@eiken.or.jp
 

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