Aruba、最新のグローバル調査の結果を発表 ~適切なテクノロジーの活用がデジタルワークプレイス(働き方・オフィス改革)の可能性を拡大~

日本ヒューレット・パッカード株式会社

テクノロジーの活用により、生産性向上など様々なメリットが示されると同時に、データセキュリティリスクへの備えが急務と判明

Aruba, a Hewlett Packard Enterprise company(NYSE: HPE、米国カリフォルニア州サンタクララ、以下「Aruba」)は、最新のグローバル調査(日本含む)の結果を発表しました。これによると、デジタル化の進んだオフィス環境(以下、デジタルワークプレイス)で働く従業員は、生産性が高いだけでなく、より意欲的で仕事に対する満足度も高く、またデジタル化の進んでいない職場の従業員よりも、全般的な幸福感が強いと回答した従業員の割合が高いことがわかりました。
 
「Digital Revolutionaries Unlock the Potential of the Digital Workplace(デジタル革新者がデジタルワークプレイスの可能性を解き放つ)」と題されたこの調査レポートでは、働き方・オフィス改革においてデジタル化をより重視したオフィス環境がどのような恩恵をもたらしているのか明らかにしています。また、デジタル革新者と呼ばれる、デジタルに精通した従業員ほど、セキュリティに関してより大きなリスクを冒しがちであると留意しています。
(以下、本文内小文字の脚注は、対応する日本のデータを補足したものです)


 
■調査の概要と主な調査結果■ 
世界15カ国、7,000人[1]を対象にした調査(調査手法)の結果、高度にデジタル化されたオフィス環境(デジタルワークプレイス)で働く従業員と、そうでないオフィス環境で働く従業員とを比較した場合、仕事の成果や意識の面で明確な隔たりがあることが明らかになりました。主な調査結果は以下の通りです[2]

 
[1]  18歳以上の就労者を対象に実施(男女比はグローバルで同数。日本からの回答者は350名(女性31%、男性69%)
[2]  以下、自分が勤務する職場のデジタルテクノロジー活用の進展度合を尋ね、(1)「完全にデジタル化されている」(=本文中「高度先進グループ」として表記)(2)「ほぼデジタル化されている」(3)「一部デジタル化されている」(4)「ほとんど又は全くデジタル化されていない」(=本文中、「後発グループ」)として表記(5)「わからない」の5グループに分け、それぞれの回答を比較したもの。各グループの構成比は、
世界平均   (1)17% (2)39% (3)31%  (4)10% (5)3%
日本では    (1) 7% (2)33% (3)37% (4)15% (5)8%
 
デジタルツールは生産性以外にも多くのメリットを従業員にもたらしている 


職場に最新のテクノロジーが導入され、幅広く利用されている「デジタルワークプレイス」で働く従業員(以下、「(デジタル)高度先進グループ」は、そうでない職場の従業員(以下、「(デジタル)後発グループ」)に比べ、仕事に対する満足度が51%高く[3]、ワークライフバランス[4]について肯定的な回答者の割合が43%高くなりました。「高度先進グループ」の従業員は仕事に対する意欲についても「後発グループ」の従業員に比べて56%高く[5]、自分が勤務する会社のビジョンを高く評価する従業員の割合も83%高く[6]なっていました。

 
[3]  現在の仕事に「(1)大変満足」「(2)満足」「(3)どちらともいえない」「(4)不満」「(5)極めて不満」の5段階のうち、(1)と(2)を足した割合で比較。「先進組」が74%に対し、後発組は49%に留まる。日本の回答者に限ると、「高度先進組」は49%、「後発組」は19%。
[4]  自らのワークライフバランスが(1)大変良好(2)良好と回答した人の割合は、「高度先進組」で69%(特に、「極めて良好」が30%と非常に高い)、「後発組」では49%。日本の回答者では「高度先進組」30%に対し、「後発組」22%。
[5]  自らの仕事への意欲(motivation)が(1)極めて高い(2)高いと回答した割合が、「高度先進組」で69%、「後発組」で44%。 日本の回答者では、「高度先進組」で47%に対し、「後発組」で15%。
[6]  同様に、自社のビジョンや戦略を高評価する回答者の割合は、「高度先進組」73%に対し、「後発組」で39%。 日本の回答者では「高度先進組」18%に対し、「後発組」で9%。(注:傾向は同じものの、そもそも自社のビジョンや戦略を高評価するワーカーの割合が、他国と比較して圧倒的に低い傾向。世界平均58%に対して日本の17%は、他の国を大きく引き離して最小の割合)

デジタルワークプレイスは専門的能力の向上にも貢献 
「高度先進グループ」の65%が、デジタルテクノロジーの活用を通じて専門的能力が開発・成長したと回答しているのに対し、「後発グループ」従業員ではこの割合が31%に留まりました[7]。「高度先進グループ」の従業員の72%がデジタルワークプレイスによって仕事に関する新たなスキルを身に付ける能力が高くなったと回答しているのに対し、「後発グループ」の従業員は58%になっています[8]

 
[7] 日本の回答者では「高度先進組」43%に対し,「後発組」13%と、 特に後発組の低い割合が顕著
[8] 日本の回答者:「高度先進組」60%に対し、「後発組」も62%

数字で示されたデジタルテクノロジーによる生産性向上
「高度先進グループ」の73%は「生産性にプラスに働いている」と回答[9]し、70%が「デジタルテクノロジーのおかげでコラボレーションが強化された」[10]と答えているのに対し、「後発グループ」ではこの割合は55%になっています。

 
[9] 「デジタル技術は生産性(効率)向上に効果的である」と応えた日本の回答者は、「高度先進組」90%、「後発組」69%
[10] 「デジタル技術は他者とのコラボレーション強化に効果的である」と答えた日本の回答者の割合はかなり特徴的。「高度先進組」で「効果的だ」とした日本の回答者は40%に留まる(グローバルは72%)一方、「逆効果」(=コラボレーションを阻害する)と回答した割合も40%(グローバル13%)と同率で世界的に極めて高かった。逆に、日本の「デジタル後発組」の回答者では60%がコラボレーションに有効であると回答し、逆効果と答えた8%を大きく引き離している。

デジタルテクノロジーや継続的な自動化の進化が職務環境全体の向上につながる
自動化は職の安定を脅かす存在として捉えられる可能性もある中、今回の調査では、こうした自動化の進展が幅広い範囲で強く望まれるようになっていることが明らかになりました。回答者の71%が「今後5~10年で職場が完全に自動化され、よりスマートで効果的な職場環境を実現できるようになることを歓迎する」と答えています。[11]

[11]
 設問は、「将来の職場は完全に自動化されるべきか?(例:室温設定、照明など)」というものでしたが、これに対する日本の回答者の回答も特徴的でした。グローバル平均で71%が「強く賛同(24)」「賛同(46)」と応え、「反対(19)」[強く反対(4)]の23%を大きく上回ったのに対し、日本の回答者では賛成派42% (強く賛同9%, 賛同33%)を、反対派50%(反対42%, 強く反対8%)が上回る結果となりました。
 
Herman Miller社のワークプレイス戦略、デザインおよび管理担当ディレクター、ジョセフ・ホワイト(Joseph White)氏は次のように述べています。「業界を問わず、従業員が望む働き方について、その期待の内容は急速に変化しており、人を中心とした職場に変えて行こうという動きが見られるようになってきています。こうした動きはオフィス什器も含めてさまざまなテクノロジーの進化に依るところが大きく、認知科学も新しい働き方に取り組む上で大いに役立っています。これは単に一人ひとりにとって体験の質が高まるだけでなく、組織としても優れた人材の採用や引き留めの機会を広げることを意味しています」
 
Deloitte社のマネージングディレクター、フランシスコ・アコバ(Francisco Acoba)氏は次のように述べています。「“ワークプレイス(職場)”という言葉そのものの意味も変わろうとしており、企業はスペースを有効に活用するには体験を重視し、さまざまな世代や異なるタイプの個性を持った従業員に対応する必要があることに気づき始めています。これによって、ITソリューションやビルシステム、什器調度を人とうまく調和させた空間を作り出していくという、新たなプロセスが出現しています。企業それぞれの事情に関わらず、スペースがユーザー体験において積極的な役割を演じるようになれば、利益の面でもメリットがあります。結局、自分が快適だと感じるスペースで働く人は、きちんとした仕事ができるということです。そうした場所がなければ、最終的に従業員はもっと魅力的な選択肢へ移っていくことになるでしょう」
 
■新たに生じるリスク■
今回の調査では、従業員は新しいテクノロジーを強く望んでおり、雇用主がもっと多くを提供してくれることを願っているという結果も明らかになりました。アジア太平洋地域全体を通じ、ほぼすべて(98%)の回答者が、「テクノロジーの活用によって職場は改善される」と考えており、70%の回答者は、「もし新たなテクノロジーが導入されなければ自分の会社は競争から取り残されることになる」と回答しています。ほぼ同数(67%)の回答者が「従来型のオフィスはテクノロジーの進化によって、確実に姿を消していく」と考えています。 

  • アジア太平洋地域では75%が、「自分の会社が過去1年間にデジタルワークプレイス関連のツールに投資を行った」と回答[12]しており、ツールとしては「室温調整や照明を自動で行うスマートビルツール」(14%)、「音声駆動型やワイヤレスのAVテクノロジー」(16%)、「カスタムの企業モバイルアプリ」(11%)など、新世代のテクノロジーに対する関心[13]が高まっていました。
 
  • デジタルテクノロジーが今後の職場環境にもたらす大きなメリットは何かという設問に対しては、「効率の向上」(63%)が最も多く挙げられ、次いで「コラボレーションの向上」(53%)、「職場の魅力の向上」(52%)となっています。
         
[12] 日本では44%(直近1年間でIT投資は何に対して行われたか、を問う設問に、何も投資していない20%+わからない36%と回答した割合を除く数字。注)グローバル平均より,投資していない、不明と回答した率がいずれも倍近い)
[13] 1年以内に投資された本文中の新世代テクノロジーの導入状況の世界、(アジア太平洋(APJ)、日本の比較)
 「スマートビルツール」(世界12%, APJ 14%、日本4%);「音声駆動型やワイヤレスのAVテクノロジー」(世界12%, APJ 16% 日本6%);「カスタムの企業モバイルアプリ」(世界11% , APJ 11%, 日本6%) 
日本で直近1年で投資されたITツールの上位3つは、WiFi/インターネット接続機器、会社支給のモバイル機器、サーバーセキュリティ・ソフトウェア(いずれも22-23%)

 
デジタルワークプレイスには多岐にわたる利点がある一方で、雇用主にとってサイバーセキュリティが課題であることも調査で明らかになりました。
  • 従業員のサイバーセキュリティに対する意識は高まっているものの(56%が頻繁に、もしくは日常的に「セキュリティについて考えている」と回答)、会社のデータやデバイスに関してより多くのリスクを冒していることも認めており、73%が「パスワードやデバイスの共有など、リスクを伴う行為をしたことがある」と回答[14]しています。
  • 従業員の4分の1(25%)は過去1年間に安全ではない可能性のあるオープンなWi-Fiに接続したことがあり、20%が複数のアプリケーションやアカウントにまたがって同じパスワードを使用していると回答しています。また、17%がパスワードを忘れないようにメモしていることを認めています[15]
[14] 日本の回答者では55%と低い。列挙されたセキュリティリスクを生じさせやすい事項にあたる行為を行ったことがない、と回答した割合が45%と世界で最も高い(次いでドイツ)
[15] 日本の回答者の同一項目への回答(過去1年間)は、順次、「パブリックWiFi」15%、「同一パスワードの流用」10%、パスワードのメモ16%といずれも世界平均より低く、セキュリティ意識の高さが窺えます。


■今後の方向性について■
こうした調査結果は、企業は新しいデジタルワークプレイステクノロジーの利点を最大限に活用すると同時に、セキュリティリスクを最小限に抑えて行かなければならないことを示しています。Arubaでは企業に対して、次のような対策を取るようアドバイスしています。

根底からセキュリティを組み込む
デジタルワークプレイス構築にあたり、企業は設計の段階からセキュリティを不可欠な要素として組み込み、悪質な行為者だけでなくヒューマンエラーも考慮に入れておかなければなりません。変化に対応し、不測の事態にも対処できる最大限のセキュリティを実現するため、IT部門はネットワーキング、クラウドコンピューティング、AI、機械学習等の最新のテクノロジーを検討する必要があります。

デジタルワークプレイス戦略の策定
IT部門は事業部門のマネージャー、エンドユーザーをはじめとする他のステークホルダーと協力し、自社のデジタルワークプレイスの進化に向けたロードマップを明確に定義する必要があります。ここではすでに確立された技術にとどまらず、スマートセンサーやカスタマイズされたモバイルアプリなど、より個別化したワークプレイス体験を創造するための新たなツールの導入を進めていくことも含まれます。  

コラボレーション可能なデジタルワークプレイスの構築
企業はデジタルワークプレイスを本社以外にも拡大し、リモートワーカーやパートナー企業、顧客にも広げていく方法について考える必要があります。ITリーダーは境界のない仕事環境を構築するための計画を策定し、そのための投資を行っていく必要があります。
 
Aruba, a Hewlett Packard Enterprise companyのマーケティング責任者であるジャニス・リー(Janice Le)は次のように述べています。「職場におけるコンシューマライゼーションは非常に現実的な動きだと言えます。従業員は消費者であり、私たちは社内の消費者の期待するものを職場にもたらしています。職場はよりスマートになり、それに伴って従業員もよりスマートな働き方をするようになっています」
 
デジタルワークプレイスとスマートビルテクノロジーとの組み合わせによってスマートデジタルワークプレイスを形成していくという新しいパラダイムが始まっています。ここでは、人を中心に考えられたデザインとIoTやビルオートメーションとが出会います。スマートデジタルワークプレイスはコネクテッド家具やスマート照明など、ユーザーに合わせた個別のエクスペリエンスを実現することができます。従業員の行動パターンに基づいてダイナミックにエネルギー使用量を最適化することによって、ビルはより環境に配慮できるようになります。こうした新たな活用例は、単に従業員の生産性を向上させるだけではなく、人を中心に据えながらもより効率を向上させるものです。
 
リーはさらに、「今回のグローバル調査は、将来の働き方を定義しようとしている組織にとって、選択、個々の従業員のワークスタイルへの柔軟な対応、容易性とオートメーションが売上や利益の改善につながることを示唆しています。Arubaのワークプレイス自体がまさにスマートデジタルワークプレイスの生きた実験の場であり、人材採用までの期間の短縮や、オファーに対する受諾率の向上といった成果が実際に見られるようになっています。生産性の向上だけに留まらず、その効果は明らかです」
 
本レポートの全文は、こちらhttps://www.arubanetworks.com/worksmart(英語)でご覧いただけます。


 
調査の手法について
本調査は2018年4月~5月の間、合計7,000人の従業員に対して聞き取り調査形式で実施されました。回答者の勤務先は、工業、政府機関、小売、ヘルスケア、教育、金融、ITおよび電気通信の業種や業界を中心に官民のあらゆる規模の組織にわたっています。調査はマルチレベルの厳正なスクリーニングプロセスを経て、本調査の趣旨に沿って適格と判断した人のみを対象に、インターネットと電話の両方を通じて実施し、英国、ドイツ、フランス、オランダ、スペイン、UAE(アラブ首長国連邦)、日本、オーストラリア、インド、ブラジル、メキシコ、中国、韓国の各国から回答を得ました。 
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