近赤外線波長域における地球大気吸収線の精密補正を可能に -- 京都産業大学

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京都産業大学神山天文台の鮫島研究員らは、波長1μm付近に見られる地球大気による無数の吸収線を極めて正確に取り除くための手法を確立した。本研究の成果は『Publications of the Astronomical Society of the Pacific』誌に公開されている。  現代の天文学では、さまざまな波長で観測を行い、天体の物理状態を明らかにしている。特に星間空間に存在するガスや塵に隠された誕生後間もない天体、また、比較的進化した低温度の天体などを観測するために、赤外線波長域は非常に重要である。現在、神山天文台では近赤外線波長で観測可能な高効率・高分散分光器 WINERED(波長範囲:0.9-1.3μm、波長分解能:70000(max))を開発し、南米・チリ共和国のラ・シヤ天文台の口径3.6m-NTT望遠鏡に取り付けて観測・研究を行っている。しかし、この波長域には地球大気中に含まれる水蒸気(H2O)や酸素分子(O2)などによる無数の吸収線が存在しており、天体のスペクトルを精密に調べるためには、これらの吸収線を正確に取り除くことが必要である(図1)。  今回、神山天文台の鮫島研究員らは、波長1μm付近に見られる地球大気による無数の吸収線を極めて正確に取り除くための手法を確立した。WINEREDを用いると天体のスペクトルを非常に高い精度(S/N比)で観測できるが、その特徴を活かすためには、極めて正確に地球大気吸収線を除去する必要がある。従来は、理論的に計算した地球大気吸収線のスペクトルを用いて補正を行っていたが、この方法ではWINEREDの持つポテンシャルを最大限に引き出せなかった(図2)。今回の論文で鮫島研究員らは、固有の吸収線が比較的少ない恒星を観測することで地球大気の吸収スペクトルを精密に決定し、これを用いた補正を行うことで、極めて高いS/N比を最終的に達成できることを示した。こうした緻密なデータ処理手法を確立することで、WINEREDの持つポテンシャルを最大限に引き出すことができ、高S/N比のスペクトルを用いたサイエンス(天体における微量成分の化学組成決定など)を進めることが期待される。   むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学 ※図1:地球大気吸収線の補正前・補正後の比較  WINEREDで観測した各種恒星のスペクトル例。左は地球大気吸収線の補正無し・右は補正済み。多数の地球大気吸収線を補正することで、天体本来の吸収線が詳細に分析可能となる。 ※図2:従来方法との比較  一番上が地球大気吸収線の補正無し、真ん中は従来手法による補正、下段が新しい補正方法による結果。従来方法に比べて細かい補正まで可能となったため、より詳細な分析が可能となっている。 関連リンク ・「赤外線高分散ラボ」のホームページ  http://merlot.kyoto-su.ac.jp/LIH/index.html ・WINEREDが南天へ!ヨーロッパ南天天文台と神山天文台の間で研究協力に関する覚書  https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20170110_859_eso.html ・京都産業大学神山天文台 世界初!「ぼやけた星間線」の観測に成功  https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20160525_859_news02.html ▼本件に関する問い合わせ先 京都産業大学 広報部 住所:〒603-8555 京都市北区上賀茂本山 TEL:075-705-1411 FAX:075-705-1987 メール:kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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