東京農工大学が蜂蜜のような高粘度液体を射出可能な装置を開発 -- 3Dプリンタなどの次世代インクジェット技術や医療分野への応用に期待

東京農工大学

国立大学法人東京農工大学大学院工学研究院先端機械システム部門の田川義之准教授と同大学院博士後期課程在籍の大貫甫氏、同大学院博士前期課程在籍の大井雄登氏は、蜂蜜のような非常に粘り気の強い液体を射出できる装置を新たに開発しました。この成果は3Dプリンタや金属配線などの次世代インクジェット技術をはじめ、無針注射や細胞印刷など幅広い分野での応用が期待されます。 本研究成果は、Physical Review Applied (IF=4.808)(1月31日付)に掲載されました。 URL:https://journals.aps.org/prapplied/abstract/10.1103/PhysRevApplied.9.014035 Physical Review AppliedのRecent Articlesでも紹介されています。 URL:https://journals.aps.org/prapplied/recent 【現状】  液体を射出する技術は、インクジェットプリンタを始めとした広い分野で利用されています。既存の手法では、液体を小さな穴から押し続けることで液体ジェットを射出していますが、水のような粘り気のない液体に限定されていました。また、液体塗布時の滲みや希釈インクによる発色性の悪化など品質の低下が非常に大きな問題となり、その解決方法が求められていました。東京農工大学では、この課題解決のため、蜂蜜のような粘り気の強い(粘度が高い)液体も射出可能な装置の開発および射出メカニズムの解明に取り組んできました。 【研究体制】  本研究は、東京農工大学大学院 田川義之准教授(工学研究院先端機械システム部門)、大貫甫氏(工学府博士後期課程在籍)、大井雄登氏(工学府博士前期課程在籍)により実施されました。また、JSPS科研費26709007、17H01246、17J06711の支援を受けて行われました。 【研究成果】  本研究では液体射出の駆動力として、液体容器に打撃を与える手法に着目しました。開発した装置ではこれに加え、液体の入った容器内に細管を挿入し、細管内部の液面を下げる工夫を施しました(図1(a)参照)。この工夫により、細管内の液体を非常に効率良く加速できることを発見しました。その結果、水の1,000倍の粘度を持つ液体やマニキュアのような特殊な液体の射出に成功しました(図1(b)参照)。さらに、開発した液体射出メカニズムを、高速度カメラを用いた実験および数値シミュレーションにより明らかにしました。これにより、高粘度液体の射出の様子も理論的に予測可能となりました。この成果は、従来のインクジェット技術の課題であった粘度の制限という壁を取り払うだけでなく、3次元ものづくりや生体印刷など次世代ものづくりの基盤になることが期待されます。 【今後の展開】  本研究で開発した装置は、3Dプリンタや金属配線などに用いられる液体樹脂や金属など非ニュートン流体と呼ばれる特殊な液体も射出できる見込みがあります。さらに生体液など小さな粒子を含んだ液体は医療分野で多く使われます。これら様々な液体の射出を行える本装置は、生体印刷や無針注射など医療分野の技術発展への貢献も期待できます。 ▼本件に関する問い合わせ先 東京農工大学大学院工学研究院 先端機械システム部門 准教授 田川 義之(たがわ よしゆき) TEL:042-388-7407 FAX:042-388-7407 【リリース発信元】 大学プレスセンター http://www.u-presscenter.jp/

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