アストラゼネカ COPD患者を対象に実施した3剤配合剤PT010の第III相KRONOS試験のトップライン結果を発表

アストラゼネカ株式会社

PT010は2剤配合剤との比較で主要評価項目7項目のうち6項目において
有意な呼吸機能改善効果を示す

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は1月26日、PT010(Aerosphere薬剤送達技術を用いた加圧噴霧式定量吸入器[pMDI]によるブデソニド[吸入ステロイド薬、ICS]・グリコピロニウム[長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬、LAMA]・ホルモテロールフマル酸[長時間作用性β2刺激薬、LABA]の配合剤320/14.4/9.6μg*)の、中等症から最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんを対象に実施した第III相試験(KRONOS試験)のトップライン結果を発表しました。PT010は、2剤配合剤との比較で、1秒量(FEV1)で評価した呼吸機能の主要評価項目7項目のうち6項目において、統計学的に有意な改善を示しました。KRONOS試験全体では、対照薬PT009を評価する非劣性評価項目2項目を含む主要評価項目9項目のうち8項目を達成しました。

KRONOS試験は、PT010の有効性と安全性を評価する、多施設無作為化二重盲検並行群間比較24週持続投与試験です。本試験は、PT010とBevespi Aerosphere (pMDIによるグリコピロニウムとホルモテロールフマル酸14.4/9.6μg*の配合剤)、シムビコートタービュヘイラー(ブデソニドとホルモテロールフマル酸400/12μg**の配合剤、以下、シムビコート)およびPT009(Aerosphere薬物送達技術を用いたpMDIによるブデソニドとホルモテロールフマル酸320/9.6μg*の配合剤、PT010の臨床試験において対照薬として使用している薬剤)と比較しました。患者さんはPT010、PT009、Bevespi Aerosphere、シムビコートのいずれかの1回2吸入を1日2回吸入しました。

本試験で認められたPT010の安全性あるいは忍容性に関するデータにおいて、想定外のものはありませんでした。

試験結果概要


アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは、「KRONOS試験結果によってPT010がCOPD患者さんの呼吸機能を改善することが証明され、自信を深めることができました。2019年に予定しているCOPDの増悪に対する抑制効果を検証するETHOS試験の結果が、本剤のCOPD患者さんの治療における役割をさらに明確していくことを期待しています」と述べました。

KRONOS試験の国際治験調整医師で、独キール大学の呼吸器病学教授、Clinic Grosshansdorf呼吸器科長のKlaus Rabe氏は、「KRONOS試験により、COPDに対する3剤配合剤としてのPT010の可能性が認められました。3剤配合剤による治療は、現在治療が不十分なCOPD患者さんや、複数の吸入器による3剤併用療法を受けているCOPD患者さんなど多くの患者さんのニーズに応え、ますます重要な役割を担うことになるでしょう」と述べました。

KRONOS試験の結果は今後学会等で発表されます。アストラゼネカは、最初の薬事承認申請を2018年下半期に日本および中国で実施し、その後2019年に米国と欧州において薬事承認申請を行う予定です。

*1回(2吸入)あたりの吸入量
**国内のシムビコートタービュヘイラーdelivered dose 360/9μgに相当
以上
 
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
COPD は主に喫煙、大気汚染、または職業上の曝露と関連する進行性疾患で、肺の気流閉塞を引き起こし、消耗性の息切れ症状を呈するようになります。
COPDは世界中で推定3億2,900 万人に影響を与え、2020年までに死因の第3位になると予測されています。呼吸機能の改善や増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することがCOPD治療において重要です。現在、欧州および米国の患者さんの約25%が3剤併用療法(吸入ステロイド[ICS]、長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬[LAMA]、および長時間作用性β2刺激薬 [LABA])を処方されていますが、複数の吸入器によって投与されています。
日本においてCOPDは健康面、経済面、社会面、心理面すべてにおいて重大な負担となっており、男性の死因の第8位※1です。中国においては40歳以上の人の10人に1人※2はCOPDに罹患しており、その有病率は増加中※3で、COPDは慢性疾患の中で死因の第3位※4です。

※1 厚生労働省 平成28年(2016)人口動態統計(確定数)の概況:
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei16/dl/10_h6.pdf
※2 Chinese nutrition and chronic disease report (2015), China National Health and Family Planning Commission.
※3 Bao Heling, et al. Chinese Journal of Epidemiology. 2016,37 (1): 119-124.
※4 Yang GH, et al. Lancet. 2013;381(9882):1987-2015.

PT010およびAerosphereポートフォリオについて
PT010はICSであるブデソニドとLAMAであるグリコピロニウム、LABAであるホルモテロールフマル酸の定量3剤配合剤を1つの吸入器で吸入します。本剤はアストラゼネカのAerosphere 薬剤送達技術を採用し現在開発中です。また、Aerosphere薬剤送達技術は、Bevespi Aerosphere(グリコピロニウムとホルモテロールフマル酸 の配合剤)の基盤ともなっている技術です。なお、Bevespi Aerosphereは、本邦において未承認です。

ATHENA臨床試験プログラムについて
ATHENAは、PT010に関するアストラゼネカの第III相臨床試験プログラムで、全世界で11の試験に1万5,500例を超える患者さんを組み入れています。ETHOS、KRONOS、 TELOSおよびSOPHOSが主な試験です。ETHOS試験はPT010、TELOS試験はPT009に関する試験で、それぞれ吸入ステロイド(ICS)低用量と高用量の剤型を含み、好酸球レベルによって患者さんを層別化して無作為割付しています。

シムビコートについて
シムビコートはICSのブデソニドとLABAのホルモテロールを1つの吸入器に配合した吸入剤です。シムビコートは、シムビコートタービュヘイラーもしくはシムビコートpMDIの剤型でCOPD治療薬として世界約120カ国において承認されています。日本で販売されているシムビコートタービュヘイラーは、1吸入あたり160/4.5μgのDelivered dose(容器から放出される薬物量)で記載していますが、本文においてはMetered dose(容器内で量りとられる量)である、1吸入あたり200/6μg相当で記載しています。

アストラゼネカの呼吸器疾患領域について
呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、製品ポートフォリオは年々成長し、2017年には世界中の1,800万人以上の患者さんに当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびにAerosphere 薬物送達技術などに及びます。また、当社の生物学的製剤には、現在米国、EU、日本で承認を取得し他国では薬事承認審査中のファセンラ(抗好酸球、抗IL-5受容体α抗体)、および第IIb相試験の主要評価項目と副次評価項目の達成に成功し第III相PATHFINDER臨床試験プログラムを開始した tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、疾患発症機序を解明する研究を行っています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、自己免疫疾患、ニューロサイエンスおよび感染症の領域における一部の疾患に関する活動も行っています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com  または、ツイッター @AstraZeneca (英語のみ)をご覧ください。

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