称えられないヒーローが必要? -- 「協力社会を陰で支える社会規範」を立正大学の山本仁志教授らが解明
http://dx.doi.org/10.1038/srep44146
■山本仁志(やまもと ひとし)
立正大学経営学部教授
http://www.ris.ac.jp/keiei/info/faculty/yamamoto.html
■立正大学(りっしょうだいがく)
・学長:齊藤昇(さいとう のぼる)
・開校144年を迎えた8学部15学科、7研究科、9研究所の総合大学。
・品川キャンパス: 東京都品川区大崎4-2-16
仏教学部/文学部/経済学部/経営学部/法学部/心理学部
文学研究科/経済研究科/法学研究科/経営研究科/心理学研究科
・熊谷キャンパス:埼玉県熊谷市万吉1700
社会福祉学部/地球環境科学部
社会福祉学研究科/地球環境科学研究科
・日蓮聖人の「立正安国論」をその校名の由来とする立正大学の建学の精神は、下記の三つである。
一、真実を求め至誠を捧げよう
一、正義を尊び邪悪を除こう
一、和平を願い人類に尽そう
▼取材に関する問い合わせ先
立正大学 http://www.ris.ac.jp/
学長室広報課
東京都品川区大崎4-2-16
TEL: 03-3492-5250
FAX: 03-3493-9068
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【お詫びと訂正】 リード文中、「その成果は3月10日に」とあったのは「3月9日」の誤りでした。ここにお詫びして訂正いたします。(大学通信 2017/3/10 15:59)
【リリース発信元】 大学プレスセンター http://www.u-presscenter.jp/
立正大学(東京都品川区/学長:齊藤昇)経営学部の山本仁志教授を中心とする研究チームが、協力社会の進化プロセスにおける社会規範の役割について最新の研究成果を発表した。今回の研究は創価大学経営学部の岡田勇准教授、倫理研究所の内田智士研究員、ウィーン大学の佐々木達矢研究員と協働で行われたもので、その成果は3月9日に英国Nature Publishing Groupのオンライン学術誌Scientific Reportsに掲載された。
「情けは人のためならず」ということわざが示すように、ヒトは直接的な見返りが期待できない他者に自分がコストを払って協力をすることがしばしばある。このような協力が安定して成立するためには、非協力的な人だけが得をしないように、良いヒトと悪いヒトと判断する評価ルール(規範)が必要であり、有効な規範の精緻な分析が進められてきた。しかし社会的多様性のもと、さまざまな規範が混在する中からどのような過程を経てどのような規範が社会で受け入れられるのかは未解明の課題であった。
今回研究グループは、利他行動が進化する過程で協力を生み出す役割と協力を維持する役割は異なる規範が担っており、協力が進化するためには陰で協力の進化を支える規範が必要であることを明らかにしたと発表した。具体的には、規範ノックアウト手法(Norm Knockout Method)という新たな分析手法を提案し、これにより、「良いヒトへの協力することただその場合のみが良い」という厳格な規範が社会に存在しない場合と、「相手が誰でも、協力行動なら良く非協力行動なら悪い」という単純な規範が社会に存在しない場合では、協力は進化し得ないことが分かった。注目すべき特徴は、これら二つの規範は協力が安定した後の社会では絶滅、または極めて少数派となってしまうことである。研究チームはこのような「協力進化の途上では必須だが協力が達成された後は淘汰される規範」を影の英雄規範(Unsung Hero Norms)と名付けた。
※より詳細な情報はpdfをご覧ください。
▽Scientific Reportsの論文全文
Yamamoto H, Okada I, Uchida S, Sasaki T. 2017. A norm knockout method on indirect reciprocity to reveal indispensable norms. Scientific Reports 7:44146.