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メルシャン株式会社(社長 横山清)は、キリン株式会社(社長 磯崎功典)ワイン技術研究所と共同研究を行い、6月27日(月)~30日(木)にスイスで行われた、「ワイン、ブドウに関する国際学会(Macrowine 2016)」にて研究発表を行いました。
●研究の概要
発表タイトル:Cytochrome P450 CYP71BE5 from grapevine (Vitis vinifera) catalyzes the formation of the spicy aroma compound, (-)-rotundone (発表者:高瀬 秀樹)
・ワインに含まれる胡椒様のスパイス香を有する化合物、ロタンドンを生合成する酵素の遺伝子(CYP71BE5)を、世界で初めて発見し、その機能を解明しました。この化合物はフランスのローヌ地方を原産地とするブドウ品種、シラーから醸造されたワインで初めて発見され、シラーワインの特徴香の1つとされています。同じシラーワインのなかでもテロワールの違いによってその含有量に差があることが知られています。
・また、日本で栽培されたシラー(マリコヴィンヤード、長野県)にも多く含まれていることが確認されました。本発見は、なぜ他の品種と比べてシラーがスパイシーな特徴をもつのか、なぜテロワールによってスパイス香の強さが異なるのかを解明するための手掛かりとなります。
発表タイトル:Molecular cloning and characterization of UDP-glucose: furaneol glucosyltransferase gene from Japanese grapevine cultivar Muscat Bailey A (Vitis labrusca x V. vinifera) (発表者:佐々木 佳菜子)
・マスカット・ベーリーA (MBA) は日本を代表する赤ワイン醸造用ブドウ品種であり、2013年には国際ブドウ・ワイン機構(International Organisation of Vine and Wine)へワイン用ブドウ品種として正式登録されています。MBAワインは、イチゴ様の甘い香りを有することが特徴の一つであり、その香りに寄与する化合物としてフラネオールが報告されています。
・今回、MBAワインを特徴づける化合物であるフラネオールを代謝する酵素の遺伝子を世界で初めて発見し、その機能を解明しました。フラネオール代謝に関する一連の研究開発により、より品種の特徴香を引き出したワイン醸造が可能になりました。
●「Macrowine」について
「Macrowine」は、ワインやブドウに関わる高分子、二次代謝産物に関する国際会議で、2006年から2年毎に、ワインやブドウ研究の盛んなフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアなどの11カ国で活躍する著名な研究者らによって運営・開催されています。2016年はスイスで開催され、世界40カ国以上の研究者により、合計194の口頭あるいはポスターによる発表が行われました。