台風による太陽電池発電所での電気事故 3件に1件は第三者の物件への被害が発生

独立行政法人製品評価技術基盤機構

~敷地外へのパネル飛散や土砂流出に注意!~

 
 独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所: 東京都渋谷区西原]は、台風による太陽電池発電所での電気事故※1について注意喚起し、事故リスクを低減するポイントについてお知らせします。
 太陽電池発電設備は屋外に設置されるため、自然災害による事故が多く発生しています。このうち、台風による電気事故では、3件に1件は第三者の物件に被害を与える事故となっており、発電所の敷地外(以下「敷地外」という。)へのパネル飛散や高台からの土砂流出といった第三者被害が発生しております。
 台風の発生状況や規模は正確な予測が難しく、局所的に大きな被害が発生する場合もあるため、日頃から対策をしっかり行うことが重要です。台風による電気事故のリスクを低減するためには、台風接近前や台風通過後に設備の点検・確認等を行うことが重要であり、本文では様々な観点から対策ポイントを紹介しています。
 電気主任技術者等の管理者※2や設置者の皆様におかれましては、継続的な対策の実施をお願いします。

※1 感電または物損による死傷事故・破損事故・物損事故(電気工作物の破損等により第三者の物件に被害を与えた事故)・波及事故など。
※2電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者 


1. 太陽電池発電所での電気事故発生状況(分析結果)

 全国の自家用電気工作物における、自然災害に起因した電気事故は、2020年度から2025年度の6年間で332件報告されています(事故件数は2026年5月時点の報告数であり、今後変動する可能性があります。)。 電気工作物別に事故件数を見ると、太陽電池発電所での事故が261件と突出して多く発生していることがわかります(図1)。太陽電池発電設備は設置場所が屋外であり、 設置面積が広いことから、天候の影響を受けやすく、自然災害に起因した事故が発生しやすいことが考えられます。
 
[図1] 電気工作物別 自然災害事故の発生件数(2020~2025年度)

 太陽電池発電所での電気事故について、自然災害の要因で分類し、地震以外の件数を月別に事故発生状況で示します(図2)。この結果から、全体に占める台風事故の割合はそれほど高くないものの、9月は台風に起因した事故が最も多い時期であることがわかります。9月については特に台風への被害に警戒しましょう。
[図2]太陽電池発電所における自然災害事故の月別発生状況(2020~2025年度)
図2では、自然災害のうち季節性が明確でない「地震」以外の243件が対象。 台風により発生した雷、風雨、水害、山崩れの電気事故は「台風」として集計した

 次に、太陽電池発電所における電気事故のうち、第三者の物件に被害を与えた事故の 割合を示します(図3)。 台風に起因した電気事故のうち、3件に1件以上(36.0%)が敷地外へのパネル飛散や高台からの土砂流出などにより、第三者の物件に被害を与えたことがわかります。一方で、台風を含む自然災害に起因した電気事故全体で見ると、第三者の物件に被害を与えたのは10件に1件以下(約7%)となっており、台風では第三者の 物件に被害を与える割合が高いという傾向が見られます。
[図3]太陽電池発電所における電気事故のうち、第三者の物件に被害を与えた事故の割 合及び太陽電池発電所の事故に占める物損等事故の割合(2020-2025年度)
※電気関係報告規則第三条で3号に該当するような事故。構外へのパネル飛散や土砂流出など、第三者の物件に被害を与えた事故を指す。
 
 また、参考として図4に、太陽電池発電所における台風事故発生件数の年度推移を示します。台風の発生状況や規模は年によって異なり、予測できないものですので油断せず、日頃から対策をしっかり行うことが重要です。
[図4]太陽電池発電所における台風事故件数の年度推移(2020~2025年度)



2.太陽電池発電所における近年の台風事故事例

 台風により発生した太陽電池発電所での具体的な事故事例と、被害状況・事故原因 について紹介します。

事例1 小売施設の屋上に設置された太陽電池パネルの損壊 
【事故発生年月】2025年9月
被害状況】台風に伴う強風のため、太陽電池パネルの外れ、割れ、ケーブル断線の被害が発生した。
事故原因】定例点検で目視による検査は行っていたが、台風に伴う想定を超える強風により損壊に至ったと推定される。

事例2 竜巻による太陽電池パネル及び架台の飛散・破損事故
【事故発生年月】2024年8月
【被害状況】台風接近時の竜巻などの突風により、太陽電池パネル及び架台が破損した。
【事故原因】台風接近時の竜巻などの突風により太陽電池パネル及び架台が飛散し、飛散物が落下・衝突したため、破損事故になったと推定され る。

事例3 太陽電池パネルの敷地外への飛散
【事故発生年月】2023年8月
【被害状況】台風の強風により、太陽電池パネル2枚が飛散し、うち1枚が敷地外の河川へ飛散した。
【事故原因】太陽電池パネルは、メーカの取扱説明書に従ってボルト締めで施工されていたが、アルミフレームの接合部に強風の負圧荷重がかかったことで軸応力が集中し、変形・破断し、飛散したと推定される。

事例4 河川氾濫によるパワーコンディショナ(PCS)の水没・出火 
【事故発生年月】
2022年9月
【被害状況】台風に伴う想定外の大雨のため、発電所最下段に設置されている PCS と太陽電池パネルが水没。後日、PCSが出火した。
【事故原因】台風に伴う想定外の大雨のため、付近を流れる河川が氾濫するとともに近隣一帯が浸水して、発電所最下段に設置されているPCSと太 陽電池パネルが水没し、後日、太陽電池パネルの発電によりPCS内部で異常電流が流れ、加熱、出火に至ったと推定される。

3. 太陽電池発電所への立入検査の結果について

 NITEでは2021年度より太陽電池発電所などを中心に電気事業法に基づく立入検査を実施しています。2021年度は17事業場、2022年度は59事業場、2023年度は50事業場、2024年度は58事業場、2025年度は40事業場の延べ224事業場の太陽電池発電所への立入検査を実施しました。ここでは、台風被害が発生するリスクが懸念される指摘事例について紹介します。

立入検査での指摘事例
 立入検査において、法令に違反するため設置者の対応が必須とされた指摘事項の中で、台風への備えに関連する事例は以下のとおりです。
  • 太陽電池パネルと固定金具の隙間が多数確認された(発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令(以下、「太技省令」という。) 第4条)。
  • ナットの脱落及びボルトのゆるみが確認された(太技省令 第4条)。
  • 横材(パネル受け材)の一部に損傷およびパネル押さえ金具の一部に脱落が確認されたため、物件に損傷を与えるおそれがないように施設されているか確認できな い。(太技省令 第4条)。
    →太陽電池パネルを固定する金具や、架台の接合部のボルトが緩んでいないか点検し、ボルトの増し締めを適宜行うことで、パネルの飛散や架台の破損等の事故リスクを低減できます。
  • 保安規程に定める防災体制が整備されていなかった(電気事業法 第42条第4項)。
    →事故に備え、事前に非常時の設備の運用方法や連絡体制を整備しましょう。

 特に太陽電池パネルを固定する金具や架台の接合部のボルトなどに異常があると、 事故の原因になるおそれがあるため注意してください(図5)。
[図5] 太陽電池の架台のボルトの緩み例(イメージ図)

4. 台風事故リスクを低減するための対応ポイント

 台風による太陽電池発電所での被害を軽減するためには、気象情報の収集や連絡体制の整備、設備の点検実施など、様々な観点で対策いただくことが大切です。
  以下に、台風の接近に備えてあらかじめ講じておくべき対策と、実際に台風が通過した後の対応について、基本的なポイントをまとめていますので、ぜひご活用ください。

■ 台風接近への事前対策
気象情報の確認
・ 気象情報の確認 ・ 気象庁・自治体・防災機関等から最新の気象情報を入手し、現地の状況把握に努めてください。
連絡体制の整備・確認
・ 災害時の緊急連絡体制を事前に整備してください。
・ 非常時における設備の運用方法等を事前に定めてください。
排水経路の確認
・ 大雨被害が想定される場合、電気設備の水没、浸水や土砂流出等のリスクを低減するため、構内及び周辺の側溝や排水口の掃除を行い、落ち葉や土砂などを除去して水はけを良くしてください。
設備の飛散対策
・ 屋外に飛散が懸念される設備・部品・資材等がないか確認し、屋内への移動や撤去、移動できない場合は固定するなどの飛散防止措置を行ってください。
設備の破損状況の点検
・  太陽電池パネル・架台・PCS・受変電設備など、屋外の電気設備を点検し、破損や部品の外れがないようにしてください。
設備の固定状況の点検
・ 強風被害が想定される場合、太陽電池パネルの固定金具や架台接合部のボルトが緩んでいないか点検し、ボルトの増し締めなどを行ってください。
  また、架台を固定する杭の周辺地盤が風雨等により削られ、杭が以前より露出している 場合は補強を行ってください。
・ 自らの設備が設計時に想定した耐風性能及び地盤安定性を確保しているか、構造計算書等をもとにあらためて確認してください。
土砂流出・地盤崩壊リスクの確認
・  「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令」の第5条のとおり、「支持物を土地に自立して施設する場合には、施設による土砂流出又は地盤の崩壊を防止する措置」を講じてください。
   具体的には電気設備の周辺にある崖や法面が豪雨によって土砂流出するおそれがある場合は、補強工事や防護壁の設置、追加の排水ルートの確保などを検討してください。
  崩壊の兆候が見られる場合には、土地所有者・管理者・自治体へ通報してください。


■ 台風通過後の対応
安全確認
・ 安全確認 ・ 設備を点検する前に、まずは感電や土砂崩れ等の危険がないか確認し、自分の身の安全を確保してください。
・ 点検作業等の対応は、電気主任技術者等の太陽電池発電設備に十分知見のある方が行ってください。
臨時点検の実施
・  台風通過後は、速やかに設備の臨時点検を行い、異常の有無を確認してください。外観に異常が認められない場合であっても、設備内部で異常が発生している可能性があります。
  また、設備の電気的な絶縁についても異常がないか確認を行ってください。
・  太陽電池パネル・集電箱・PCSが水没・浸水した場合や、ケーブルが断線した場合には、漏電や感電の恐れがあります。
  その場合は、事業場の保安業務を行っている電気主任技術者等に太陽電池パネルと接続箱の切り離しについて相談してください。
・  電気関係報告規則に定める事故に該当する場合は、当該地域を管轄する産業保安監督部に事故の発生を知った時から24時間以内に報告してください。
  なお、 事故報告の要否の判断が難しい場合は、産業保安監督部へ相談してください。
迅速な応急処置の実施
・ 設備の被害が認められた場合は、できるだけ速やかに応急処置(破損した電気設備の撤去、銅線が露出した電線の保護など)を行ってください。
被害が生じた設備の修理・改修の実施
・ 被害が生じた設備は安全を確認したのち、適切に修理・改修を行ってください。
・ 改修に伴う対策としては、架台の補強、架台・設備をより高い位置に移設、排水ルートの改善等が考えられます。
二次被害の防止
・  破損・飛散した設備への接触による受傷、もしくは浸水した太陽電池パネル・ 集電箱・PCS・断線ケーブル等に接近すると感電する恐れがあります。
  そういった電気工作物によって、第三者(公衆)が感電、けが等の二次被害に遭わないように対策を講じてください。

5. 参考情報

■ 参考リンク

※「2026 年度夏季の自然災害に備えた電気設備の保安管理の徹底について」(経済産業 省)
 https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2026/05/20260521-2.html

※「建築物における電気設備の浸水対策」(経済産業省)
 https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/shinsuitaisaku.html

※「災害・防災関連情報」(経済産業省関東経済産業局)
https://www.kanto.meti.go.jp/saigai_kanren/index.html

※「台風接近に伴う対策のお願い」( 中部近畿産業保安監督部近畿支部)
https://www.safety-kinki.meti.go.jp/electric/syobun/2026/taihusekkin.html

※「破損・浸水した太陽電池発電設備による感電事故防止について(注意喚起)」(経済産業省)
https://www.https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2021/07/20210705.html

※「台風情報」(気象庁)
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#5/23.685/120.015/&elem=root&typhoon=all&contents=typhoon


■ 詳報公表システムについて
 詳報公表システムは、電気事業法に基づく電気工作物に関する全国の事故情報(詳報)が一元化された国内初のデータベースです。2020年度からの事故情報について順次公開を行っております。本システムは、電気事業者をはじめ、どなたでもご自由にお使いいただけます。事故情報を条件やキーワードで簡単に検索することができ、抽出されたデータはCSVファイルとしてダウンロードすることも可能です。

< 詳報公表システム >
 https://www.nite.go.jp/gcet/tso/kohyo.html
 
[図6] 詳報公表システム概要


■ NITE 電力安全センターについて
 NITE電力安全センターは、経済産業省(原子力発電設備等以外を所掌)からの要請を受け、電気保安行政(電気工作物の工事、維持および運用における安全を確保するため行政活動)を技術面から支援するために、2020年4月、電気保安業務の専従組織として発足しました。現在、NITEがこれまで培ってきた知識や経験を活用し、経済産業省や関係団体と連携しながら、電気保安の維持・向上に資する様々な業務に取り組んでいます。

< NITE電力安全センターの業務紹介 >
https://www.nite.go.jp/gcet/tso/index.html
 

その他のリリース

話題のリリース

機能と特徴

お知らせ