【昭和医科大学】パーキンソン病の排尿の悩みに新たな選択肢― 薬や手術以外の治療法で尿もれ改善の可能性を示唆 ―

昭和医科大学

昭和医科大学(東京都品川区/学長:上條由美)の大塚裕之講師(保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)らの研究グループは、パーキンソン病に伴う排尿の悩みに対し、リハビリテーションを含む薬や手術以外の治療法(骨盤底筋訓練や経皮的脛骨神経電気刺激)の効果を、世界の研究をもとに検証しました。その結果、尿もれの回数が他の方法と比べて1日あたり約1回少ない傾向が示されました。 本成果は、泌尿器科学分野の国際学術誌『European Urology Open Science』に掲載されました。 ■研究の背景と目的  パーキンソン病では、脳や神経の働きの変化が膀胱のコントロールに影響し、トイレが近い、急に行きたくなる、夜間に何度も起きる、尿もれといった排尿の悩み(下部尿路症状*¹)がみられることがあります。これらの症状は、約6割にみられる可能性が示されています。排尿の悩みは、睡眠や外出、仕事・家事など日常生活に影響し、生活の質(QOL *²)を下げる要因にもなります。  一方で、薬の副作用や手術の負担を避けたい患者も多く、リハビリテーションを含む薬や手術以外の治療法の重要性が高まっています。  本研究では、これらの方法の効果を、世界の研究をもとに検証しました。 ■研究の内容・結果  本研究は、パーキンソン病の成人を対象に、薬や手術以外の治療法(骨盤底筋訓練や経皮的脛骨神経電気刺激など) *³が排尿症状に与える影響を、複数のデータベースから収集した研究を用いて評価したものです。  対象となった研究は16件で、排尿日誌*⁴に記録される回数(排尿回数、尿失禁*⁵、尿意切迫*⁶など)や、質問票に基づく症状、症状のつらさ*⁷・QOLが評価されました。  その結果、尿失禁については、他の方法と比べて、1日あたり約1回少ない傾向が示されました。一方で、急な尿意切迫や、症状のつらさ、QOLについては、研究ごとに結果が異なり、効果ははっきりしませんでした。 ■研究の意義  本研究により、薬や手術以外の治療法が、特に尿もれに対して一定の効果を持つ可能性が示されました。一方で、すべての症状に同じように効果があるわけではなく、現時点では慎重な解釈が必要です。  これらの方法は、薬を増やしたくない人にとって、既存の治療に加える「追加の選択肢」となり得ることが示唆されました。  今後は、より多くの患者を対象とした質の高い研究が求められます。 ■研究者コメント(大塚裕之講師)  パーキンソン病の排尿の悩みは、見えにくく相談しにくい症状ですが、日常生活への影響は非常に大きいものです。今回の研究では、リハビリテーションを含む薬や手術以外の治療法が、特に尿もれに対して一定の効果を持つ可能性が示されました。ただし、効果の大きさや対象となる人には個人差があると考えられます。  今後は、「どのような人に、どの方法が有効なのか」に加えて、介入内容の標準化や、より効果的な方法の確立を進めていくことが重要だと考えています。 ■用語解説 *1 下部尿路症状(LUTS)  膀胱や尿道に関係する症状の総称です。「ためる時の症状(頻尿・夜間頻尿・急な尿意・尿もれなど)」「出す時の症状(出にくい・尿が残る感じなど)」「出した後の症状」に分けられます。 *2 生活の質(QOL)  健康状態が、日常生活(睡眠、外出、仕事・家事、気分など)にどの程度影響しているかを示す考え方です。 *3 薬や手術以外の治療法(骨盤底筋訓練や経皮的脛骨神経電気刺激など)  薬を使わず、手術も行わない治療法のことです。例えば、骨盤底筋訓練(尿もれを防ぐ筋肉を鍛える運動)や、足首付近の神経に弱い電気刺激を与える方法(経皮的脛骨神経電気刺激)などがあります。 *4 排尿日誌  排尿の回数や時間、尿もれの有無などを記録する方法で、排尿症状の評価に用いられます。 *5 尿失禁  自分の意思に関係なく尿が漏れてしまう状態(尿もれ)のことです。 *6 尿意切迫  急に強い尿意が起こり、我慢するのが難しい状態です。 *7 症状のつらさ(bother)  症状そのものの強さだけでなく、「どれくらい生活の中で困っているか」「どれくらい気になるか」といった主観的な負担の大きさを示す考え方です。 【論文情報】 タイトル: Effects of Nonpharmacological and Nonsurgical Intervention for Lower Urinary Tract Symptoms in Parkinson’s Disease: A Systematic Review and Meta-analysis(パーキンソン病の排尿の悩みに対する薬や手術以外の治療法の効果:システマティックレビューとメタ解析) 著者: Hiroyuki Ohtsuka, Mifuka Ouchi, Tomoko Otsuka, Takeya Kitta, Daisuke Yoneoka, Ryuji Sakakibara 掲載誌: European Urology Open Science オンライン公開日: 2026年4月9日 URL: https://doi.org/10.1016/j.euros.2026.03.009 ▼本件に関する問い合わせ先  昭和医科大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 講師  大塚 裕之(おおつか ひろゆき)  TEL: 045-985-6511  E-mail: ohtsuka@nr.showa-u.ac.jp ▼本件リリース元  学校法人 昭和医科大学 総務部 総務課 大学広報係  TEL: 03-3784-8059  TEL: 03-3784-8059 【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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