砂糖入り飲料はBMI上昇、ミルクは筋肉量と関連

学校法人藤田学園

― 本学職員を対象に清涼飲料水と体格の関係を調査 ―

藤田医科大学医学部臨床栄養学 飯塚勝美教授は、20~39歳男女(計76名)を対象に、清涼飲料水の摂取エネルギーと体格(BMI、骨格筋指数(SMI)、体脂肪率)、握力との関係を調べました。
その結果、砂糖入り飲料(SSB)を多く摂取するほどBMIが高くなることがわかりました。一方で、ミルク入り飲料については、適量の摂取であればSMIと正の関連がみられました。海外ではSSB摂取量と肥満との関係が数多く報告されていますが、日本人を対象とした報告はほとんどありません。海外のガイドラインでは添加糖の摂取量を総エネルギーの5%以内におさえ、SSBを水や低脂肪乳へ置き換えることが推奨されています。今回の研究結果は、このような考え方が日本人にも当てはまる可能性を示すものです。今後、より多くの人数、多様性のある日本人集団でSSBと体格の関係を調べる必要があります。 
本研究成果は、スイスの学術ジャーナル「Nutrients」(1月16日号)で発表され、併せてオンライン版が1月16日に公開されました。
論文URL : https://doi.org/10.3390/nu18020292


<研究成果のポイント>
  • 20~39歳の男女76人に対して、各種飲料(SSB、ミルク、アルコール)と体格や握力の関係を調べた。
  • 年齢、BMIで調整した場合、SSBを多く飲む人は総エネルギー、炭水化物摂取量が、ミルクを多く飲む人は総エネルギー、炭水化物、脂質、タンパク質の摂取量が多い傾向が見られた。しかしこの関連は年齢、BMI、エネルギーで調整すると消失した。
  • 年齢、BMIで調整した場合、SSBを多くとる人ほどBMI、SMIが、ミルクを多くとる人ほどSMIが高い傾向を示した。同じエネルギー摂取量の場合も、SSBはBMIと、ミルクはSMIが高いという関係が見られた。


<背 景>
肥満は、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの心血管リスク因子を特徴とし、日本では男性の30%、女性の20%が肥満と分類され、加齢とともに増加しています。20代・30代は体重増加が始まるライフステージであり、この年齢層での肥満予防は重要課題です。肥満の発症には、遺伝的素因、ホルモン変化、生活習慣要因、社会・文化的要因が関与しています。生活習慣要因では、SSBの過剰摂取と肥満との関連が示されています。SSBは添加糖の主要供給源で、高いグリセミックインデックスを持ち、血糖値上昇やホルモン刺激を通じて体重増加を促進する可能性があります。また、飲料は満腹感を得にくく、過剰なエネルギー摂取を助長します。SSB摂取と体組成、握力、栄養素摂取量との関連は十分解明されていません。世界各国でBMIとSSB摂取の関連研究が行われていますが、日本人集団での肥満発症率に関するエビデンスは乏しい状況です。牛乳は栄養価が高いものの、脂肪分が体重増加に関与する可能性が指摘されています。日本では、20代・30代の飲料摂取量データが乏しく、飲料摂取と健康指標との関連も不明確です。この年代は生活様式が変化する時期で、食行動が将来的な健康リスクに影響する可能性があります。本研究では、飲料摂取質問票(BEVQ-15)を用いて、20〜39歳の日本人を対象に、各種飲料の摂取量と、総エネルギー摂取量、栄養素摂取量、身体計測指標、握力との関連を検討することを目的としました。


<研究手法・研究成果>
本研究では、Brief Beverage Intake Questionnaire (BEVQ-15)という飲料摂取質問票を用いて、日本人成人(20~39歳)を対象に、飲料由来のエネルギー摂取量、体組成、栄養素摂取量の関連を包括的に検討しました。SSBを飲む人と飲まない人が大きく分かれるため、最小二乗法回帰を用いて解析しました。感度分析には分位点回帰および一般化加法モデルを使用し、非線形(曲線)の可能性を検討しました。総飲料由来エネルギー摂取量は、SSB由来エネルギー摂取量と強い相関が認められ、飲料由来エネルギーの多くがSSBに由来していることが示唆されました。年齢および性別で調整したモデルでは、SSB由来エネルギー摂取量は、総エネルギー摂取量および炭水化物摂取量と正の関連が認められました。ミルク飲料の摂取も、総エネルギー摂取量および炭水化物、脂質、たんぱく質の摂取量と正の関連がありましたが、総エネルギー摂取量で追加調整した後には消失しました。これらの結果は、飲料由来のカロリー含有量が全体的な食事由来エネルギー摂取量を大きく反映していることを示しています。
対照的に、飲料由来のエネルギーとBMIおよびSMIとの関連は、総エネルギー摂取量によるさらなる調整後も持続しており、飲料由来カロリーが体組成に寄与している可能性を示唆しています。一般化加法モデルでは、総飲料由来エネルギーおよびSSB由来エネルギーとBMIおよびSMIとの関連が直線的なパターンを示した一方で、牛乳はより多く摂取するほどSMIの上昇が頭打ちとなる非線形的なパターンを示しました。これらの結果を総合すると、特に20代や30代の若年成人においては、砂糖を添加した飲料の多量摂取が高い体重と関連している可能性があり、一方で牛乳飲料の適度な摂取は、BMIや体脂肪率の増加を伴わずにSMIの向上と関連している可能性が本研究で示唆されました。



<今後の展開>
今後の研究では、砂糖入り飲料が総エネルギー摂取量が多いという点だけでなく、どのような仕組みでBMI増に関わっているのか、そのメカニズムを明らかにする必要があります。例えば、血糖値や食欲関連ホルモンのレベル、食事時間や食べる速さなどの食行動について、摂取者と非摂取者の間で比較検証することが考えられます。さらに、日本人集団におけるエビデンスは依然として限られているため、経済的・社会的背景要因を組み込んだ大規模な疫学研究により、本研究の所見をさらに検証・拡充することが求められます。
 



<文献情報>
論文タイトル:
日本の大学に勤める20~39歳の従業員における清涼飲料水の摂取、食事、体格に関する予備的研究

著者:
伊藤美穂子1、出口香奈子1、垣内清美2、和田理紗子1、後田ちひろ1、成瀬寛之2、飯塚勝美1*

所属:
  1.  藤田医科大学 医学部 臨床栄養学
  2. 藤田学園 健康管理部
 *責任著者

DOI: https://doi.org/10.3390/nu18020292

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