日本最大級のミュージアム情報サイト「アイエム」、2025年のミュージアム利用動向を発表
〜物価高で見えた、ミュージアムファンの「脱・遠征、近場を重視」という潮流―ファン層別の⾏動を分析〜
日本最大級のミュージアム情報サイト「アイエム」を運営する株式会社丹青社(本社:東京都港区、代表取締役社長 小林 統)は、2025年12月23日(火)にミュージアム利用動向調査を発表しました。※今回調査対象となるミュージアムは、博物館、美術館、科学館、動物園、水族館、植物園など、「知識の体系」があり展示手法が「学ぶ」ことを主体にしている施設のことを指します。
■調査の⽬的
本調査は、人々の価値観や余暇の過ごし方が変化し続ける中で、現在のミュージアム利用における最新の動向と意識を把握することを目的に実施しています。
昨今の物価高騰に伴うコスト意識の高まりは、利用者の行動範囲を限定させる一方で、限られた時間と費用で最大限の満足を得ようとする「タイパ(タイムパフォーマンス)」重視の傾向を加速させています。本調査では、こうした社会背景のもと、利用者が「近場」の施設を優先しながらも、どのような要素に「高付加価値」を見出し、訪問を決意しているのか、その心理と行動の相関を浮き彫りにします。
具体的には、ミュージアムの訪問へとつながる情報収集の実態を多角的に分析することで、現代の利用者が求めるミュージアムの在り方を考察し、今後の施設運営や、ターゲットのライフスタイルに即した効果的な情報発信の指針となる基礎資料を得ることを狙いとしています。
■調査結果サマリ
物価高によりファンの4分の1が訪問を減らす中、交通費を削り近隣の館を巡る「近場回帰」が潮流に 。情報源は「公式サイト」が全世代で過去最高の信頼を得る一方、20代は生成AIをきっかけにするなど新技術の兆しも。効率と質を両立する「タイパ」重視の傾向が鮮明となっている。
すべての調査結果を記載したページは下記になります。
調査結果ページ:https://www.museum.or.jp/static/museumfanresearch2025
1)物価高によるミュージアムの訪問頻度への影響
・昨今の物価高(生活費や交通費の上昇など)は、あなたのミュージアムへの訪問頻度にどの程度影響していますか。
| 【解説】 ●昨今の物価高はミュージアムの訪問頻度にも影響を与えており、「非常に減った」「やや減った」を合わせると26.0%に上る。これは、ファンの4分の1強が実際に訪問回数を抑制している実態を示している。 ●一方、支出額別で見ると「金額が下がった層」の61.0%が訪問頻度を減らしているのに対し、「金額が上がった・変わらない層」では22.6%に留まった。お金を使わない人は行かなくなり、使う人は動じないという、物価高による「節約層」と「ファン層」への二極化が進んでいる。 |
2)支出の変化と節約行動の関係について
・費用を抑えるため、ミュージアムの訪問に関して以前と比べて意識的に変えた行動はありますか?(全体)
・節約行動と訪問機会との比較
| 【解説】 ●費用を抑えるための意識的な行動は、1位が「ショップでの購入抑制(58.0%)」、2位が「飲食利用の抑制(39.7%)」となった。鑑賞そのものよりも、付随するサービスへの支出をまず削る傾向が顕著である。 ●訪問頻度別で見ると、「遠方への訪問を控える」という回答は、頻度が激減した層(1位)だけでなく、頻度が激増した層(2位)でも高い。 ●予算が厳しい層は交通費をカットして訪問自体を減らす一方、活動的な層は1回あたりの遠征費を削り、その分を近隣施設の訪問に充てるという、戦略的な「近場回帰(ローカルシフト)」を選択している。 ●結果として、どちらの層も「移動コストを削り、近隣で楽しむ」という鑑賞スタイルに収斂しているといえる。 |
3)生成AIとミュージアム訪問の関連について
・同、年代別の比較
| 【解説】 ●生成AIの利用が訪問に繋がった経験については、「ない」が84.2%を占め、現状では直接的な影響はほとんど見られない。 ●しかし年代別では、他世代が1〜2%台に留まる中、20代以下のみ5.6%と突出している。全体ではまだ少数派だが、他世代の約5倍という数値は、若年層において検索手段が従来型からAI対話型へとシフトしつつある小さな予兆(サイン)といえる。 |
4)ミュージアムに行くきっかけとなるメディアについて
・生成AIの利用がミュージアム訪問に繋がったことはありますか?(全体)
・同、年代別の比較
・同、経年での比較(2022年~2025年)
| 【解説】 ●来館動機のトップ3は「館の公式サイト(19.7%)」「公式以外の情報サイト(17.5%)」「館内ポスター・チラシ(16.9%)」であり、これらが主要な窓口となっている。 ●年代別ではSNSやテレビ・ポスターの利用に偏りが見られるが、「館の公式サイト」だけは全世代で17〜25%の高い利用率を維持している。どの年代にとっても、公式サイトが「最も信頼できる情報源」として機能していることが分かる。 ●過去4年の経年変化でも「館の公式サイト」は右肩上がりで拡大しており、2025年には過去最高を記録した。デジタル時代において、公式サイトこそが最も強力な来館動機となっている。 |
【全体解説】
今年は注目を集めた大型展覧会がいくつか開催され、美術館の前に長い行列ができる光景が見られるなど、多くの人々がミュージアムに大きな期待を寄せていることを改めて実感する一年でした。一方で、入場料や図録の価格が上昇しているため、以前のように気軽に訪れるレジャーとしての側面は薄れてきているのも事実です。そうしたこともあり、来館者はネットで事前に調べ、ある程度の情報を得た上でミュージアムに足を運ぶ動きが強まっているのかもしれません。ミュージアム側も訪問者のニーズを的確に把握し、より効果的な情報発信を行う必要があるといえるでしょう。
■解説者プロフィール
1966年愛媛県生まれ。1990年 株式会社丹青社入社。本社デザインセンター、(株)JDNなどで空間デザイン、オウンドメディアの立ち上げ・運用等に従事。2011年より現職。年間約200カ所のミュージアム取材を継続中。「ぜひ会員登録をして、アイエムをより深くお楽しみください!」
<調査概要>
調査期間:2024/11/27~2024/12/10
調査対象:アイエム会員
有効回答数:1056名
調査方法:インターネット調査
<引用・転載時のクレジット記載のお願い>
本リリース内容の転載にあたりましては、「アイエム」の表記をお使いいただきますようお願いいたします。
■『アイエム』とは
アイエム:https://www.museum.or.jp/
| ■ 丹青社について 「こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル」として、店舗などの商業空間、博物館などの文化空間、展示会などのイベント空間等、人が行き交うさまざまな社会交流空間づくりの課題解決をおこなっています。調査・企画から、デザイン・設計、制作・施工、デジタル技術を活かした空間演出や運営まで、空間づくりのプロセスを一貫してサポートしています。 社名 : 株式会社丹青社 所在地: 東京都港区港南1-2-70品川シーズンテラス19F 〒108-8220(本社) 創業 : 1946年10月 資本金: 40億2,675万657円(2025年1月31日現在) 上場 : 東京証券取引所プライム市場 (証券コード:9743/業種名:サービス業) URL : https://www.tanseisha.co.jp |
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