データからご当地おせちを厳選 江上料理学院にて再現「47都道府県 ご当地おせちマップ」を公開
膨大なデータから見えてくる豊かな正月風景
アンケート形式の正月の準備や過ごし方、おせち料理に関する生活者の調査「紀文正月調査」は1979年から始まりました。その後以下のような調査・分析・発表をしています。
1992年から2008年に募集した「我が家の正月食卓写真募集」では、5016枚の写真と寄せがきが集まりました。そこには伝統料理もあれば新しい料理もあり、正月の豊かな食風景をリアルに伝える貴重な資料を蓄積することできました。
また、2007年には「正月 伝統料理の生活者調査」、2011年と2022年には「正月 魚料理の生活者調査」を実施しました。
江上料理学院再現 全国の郷土のおせち
これらの長年の膨大なデータを分析していくと地域性が浮かびあがってきます。そこで、正月料理の地域性を可視化すべく、2010年、伝承料理研究家である奥村彪生先生に、データをご覧いただき正月料理の変遷をインタビューするとともに、全国の郷土のおせちを83点とその特徴をご教示いただき同年発表しました。
2024年、紀文ではその軌跡をカタチに残したいという想いから、その83点の中から現代でも再現可能な料理、召し上がっていただきたいものを江上料理学院の副学院長である江上佳奈美先生といっしょに厳選。各都道府県で代表的なものを再現するともに、日本地図を制作しました。
ご当地おせちマップ
■コンテンツページご案内 他
●「おせちマップ」ページ:
https://www.kibun.co.jp/knowledge/shogatsu/database/osechimap/
内容:「おせちマップ」の他、各都道府県のそれぞれの料理写真とその特徴を記載。
●「江上佳奈美 ご当地おせちを再現して」:
https://www.kibun.co.jp/knowledge/shogatsu/database/2024shougatsu/
内容:全国の伝統おせちを再現しての感想、次世代に受け継ぎたい正月に関する考察を記載。
奥村 彪夫(おくむら・あやお)さん:1937年~2023年。和歌山県生まれ。日本で唯一の伝承料理研究家。飛鳥万葉時代から昭和の戦後まで、全国の雑煮を始めとして、様ざまな料理を文献に基づいて再現された。世界の民族料理にも造詣が深い。
江上 佳奈美(えがみ・かなみ)さん:1959年~。東京都生まれ。「パリ コルドンブルー料理学校」卒業、1989年より江上料理学院副学院長をつとめ、祖母江上トミ、母江上栄子から受け継いだ伝統をふまえながらも、より現代的な料理を発表している。
注釈:ここに登場する料理は複数の都道府県に出現するもの、県内の全域ではなく一部地域に出現するものと様ざま。また料理名が地域独自の名前を持つものもある。
■ご当地おせちの一部を紹介
・氷頭なます(北海道)
氷頭と呼ばれるサケの頭の部分を大根と一緒になますに仕立てた料理。北海道ではルイベ、ちゃんちゃん焼などサケの料理が多い。
・コイのうま煮(山形県)
米沢市の名物料理。コイが貴重なたんぱく源として用いられ、祝いの席で食される。コイの臭みは酒とざらめを使って抑えるとよい。
・水ようかん(栃木県)
日光市にはようかん専門店が複数あり各家庭で好みの味があるそう。小豆は厄除けや魔除けとして食されてきた食べ物でもある。
・べっこう(富山県)
日光市にはようかん専門店が複数あり各家庭で好みの味があるそう。小豆は厄除けや魔除けとして食されてきた食べ物でもある。
・棒ダラの煮物(京都府)
関西地方の定番のおせち料理。真ダラの干したものを用い、京都府ではえびいもと一緒に炊くことも多い。
・アカガイ(サルボウ)の煮物(島根県)
アカガイより小ぶりなサルボウで作ることもあり、正月だけでなく祝い事には欠かせない。かつお節と昆布の出汁がおいしい。
・ブリの照焼き(福岡県)
成長につれて呼び名が変わっていく魚を「出世魚」と言い、西日本ではブリは年取り魚としておせち料理に欠かせない。