AI活用で“お客様の声”を家電製品・サービスに反映

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社

― 市場の声を拾うSNS分析は2週間→2日に短縮、ボイスボットで24時間お客様対応を実現 ―

パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社(以下、くらしアプライアンス社)は、AIを積極的にお客様データの分析に活用し、より価値ある商品をお客様に届け、質の良いサービスが提供できるよう取り組みを進めています。本レターでは、若手社員とベテラン社員が協力し合い、AI活用による大幅な業務効率化を達成した具体事例をご紹介します。
 
【2024年のAI活用TOPICS】
◆SNS報道分析の所要時間が自動化で2週間→2日、対象部門も5部門に拡大

◆リコール電話対応、25%はAIが24時間受付で迅速化、2025年には全件対応へ

◆若手社員のプログラミング知識×ベテランの豊富な経験でアウトプット精度が向上
 
◆SNS報道分析所要時間が自動化で2週間→2日、分析対象部門も5部門に拡大
CX事業開発室のメンバーたち
AIを活用しSNS分析の大幅スピードアップを達成したのは、顧客との接点・サービスの強化を図るCX事業開発室です。今年6月に新設された部署で、SNS上のXやインスタグラム、口コミなどの情報から、市場のトレンドや商品に対する反響や評価を分析し、商品開発にタイムリーに反映できるよう、商品企画やマーケティング部門と連携した活動を展開しています。
 
従来は、担当者が目視でSNS投稿情報を確認、繰り返し読み込み、頻出キーワード、ポジティブ・ネガティブの推移分析などのデータ処理を行っていました。今年3月からは、生成AIを活用してこれらの作業を自動化。これまで2週間を要していたSNS分析が、2日間で完了できるようになりました。スピードアップにより、分析対象部門が理美容商品の2部門から調理商品、家事商品など5部門に拡大することが可能となり、今後も増やす予定です。

SNS情報の分析結果の提供を受けている商品企画・マーケティングメンバーからは、「若い年代ほどレンジの“音”や“デザイン”に対して敏感であることなど、これまで気づかなかったインサイトが得られた」「他社商品の評判も含めて、市場のトレンドを把握できるようになってありがたい」などの声が上がり、商品開発への利用も始まっています。また、グループ内の他部署での導入も検討が始まっているほか、社外でもSNS情報の分析に使っているシステム「クラウド型データ活用プラットフォームDomo」を提供するドーモ株式会社主催のカンファレンスで先進的な取り組みとして評価され、「Leading Innovator Awardを受賞するなど、高く評価されています。

◆リコール対応、25%はAIが24時間受付で迅速化、2025年には全件対応へ
お客様からの問合せ対応を担うCSセンター 市場対策部では、くらしアプライアンス社が公表しているリコール案件を中心とした全47件に対し、9人のオペレーターが対応しています。年間の問い合わせ数は約17,000件にも達し、電話だけでの対応では、お客様をお待たせしてしまったり、営業時間外で対応できなかったりなど、お客様にご不便をおかけしていることが課題となっていました。

特に電気カーペットは、合計704品番ある商品のうち、95品番 116万台がリコール対象で、対象外の品番に関する問い合わせも多く、本来対応すべきお客様にスピーディーな対応ができないという課題がありました。この状況を解決するため、まずは電気カーペットから2022年にAIボイスボットを導入。音声から正しく品番をAIに判断させるために、「10」には「じゅう」「いちぜろ」など様々な発話パターンがあることなどを20人体制でAIに学習させ、精度を上げていきました。

2024年3月には、24時間365日稼働するAIボイスボットの導入に成功。問い合わせ電話の約25%を24時間AIボイスボットが音声でお客様にご案内しながら、リコールの対象品番か否かの判定を行う体制を整えました。これにより、対象品番に絞ってオペレーターに引き継ぐことが可能となったほか、業務時間外の問い合わせについても、お客様が折り返し電話の希望時間を予約することで、オペレーターによる対応が可能となりました。

懸念していたAI対応のお客様満足度調査については、現在回答期間中のため集計途中ではありますが、100点満点の評価で6割以上の人が80点以上と回答。オペレーター負担も軽減し、「リコール対象品番をお持ちのお客様の対応に集中できるようになった」との声がありました。今後更にAIに品番パターンを学習させるなど精度を高め、2025年3月には、全47件の24時間AI導入完了を目指しています。

AIボイスボットの取り組みはパナソニックグループ内からの反響も大きく、相談や問い合わせが増えています。
AIボイスボット対応フローチャート

◆若手社員のプログラミング知識×ベテランの豊富な経験でアウトプット精度が向上
これら2つのAI活用による成果は、若手社員の持つプログラミングなど情報系の知識と、ベテラン社員の豊富な経験に裏付けられたサポートによって実現しました。

【SNS分析:CX事業開発室 CS-DX推進部 堀口武志さん(27)、係長 堀田西五さん(57)】
分析では、新卒入社3年目の堀口さんが、学生時代に情報学の専攻で身に着けたIT系の知識をフル活用して、AIのアウトプット精度向上に貢献しています。プログラミングの知識を元に、AIに的確な指示を出すことで、分析スピードの大幅アップを実現させました。一方で、社歴が短いため、マーケティングや商品企画部がどのような情報を欲しているか、どのように他部署と連携していけばよいかなど、プロジェクトを進める上でわからないことも多くありました。そのような時は、上司である堀田さんが、同社勤務33年の経験を生かして的確にアドバイス。堀口さんは、「困った時は上司がサポートしてくれるので、自分の勉強してきたことが生かせている」。堀田さんは、「堀口さんのおかげで、AIから欲しい情報がアウトプットとして出てくるようになった。語学の強みもあるため、今後幅を広げて海外のSNS分析を進める際にも、堀口さんに活躍してもらいたい」と期待を寄せます。

【AIボイスボット:CSセンター市場対策部 北中 弘さん・森田佳子さん】
お客様対応のボイスボットでは、市場対策部の北中さんと森田さんが10年以上にわたるCS職能の経験を生かし、多様な年齢層の数字の読み方や発音に対応できるよう、一つの品番に対して様々なパターンを自分たちで発音しながらAIに学習させるなど、地道な取り組みを行いました。精度の向上により、AIで完結できる対応が問い合わせ電話の合計の25%にまで拡大させることができました。二人は、「この取り組みをするまでAIは何でもできるものだと思っていたが、正しく機能するまで、こんなに労力がかかると思わなかった。まだ人間の方が対応スピードは速く正確なので、これまで経験してきた多様なお客様の対応をAIに学ばせて、お客様に寄り添い、ご不安を迅速に解消できる体制を目指す。人間と同じ速度、またはそれ以上にしていきたい。オペレーターに負担がかかるカスハラやクレームなどもAIで対応できるようにしたい」と話します。

【パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社とは】
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社は、家電の開発・製造・リサイクルを中心に事業を展開しています。100年育んできたくらしに寄りそう力で、人と地球の未来に続く、感動の商品とサービスを創造することを目指しています。
そして、職場環境の整備と”誰もが輝く”新しい働き方の創造の両輪で、社員一人ひとりのウェルビーイングを実現する「人が生きる経営」を加速させていきます。 

 

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