積水ハウス、家がまた誰かの家に生まれ変わる「循環する家(House to House)」 2050年までの実現へ向けた具体的なアクションを住宅業界ではじめて宣言
将来的な資源枯渇リスクなどの環境課題が顕在化する中、「Bottle to Bottle」や「Car to Car」など、リサイクルをはじめとした「サーキュラーエコノミー」移行への取り組みが、さまざまな業界で動き始めています。しかし、多数のサプライヤー様が関係する住宅業界において、当社だけでの「House to House」の実現は非常に難しく、相当広い範囲で部材ごとのリサイクル開発が行われなければ、実現が困難です。そのような状況の中、具体的なアクションとして「House to House」を宣言することで、サプライヤー様をはじめ、業界のさまざまな関係各所と協力しながら、「サーキュラーエコノミー」移行につなげます。
積水ハウスは「House to House」を通じて、住宅業界における「サーキュラーエコノミー」の取り組みをリードしていきます。
■「House to House」の実現に取り組む背景と意義
2020年に欧州で新たな「循環型経済行動計画」が発表され、日本でも同年経済産業省が「循環経済ビジョン2020」を公表するなど、将来的な資源枯渇リスク、顕在化する環境課題等を背景に、今社会全体でリサイクルをはじめとした、サーキュラーエコノミーへの移行が求められています。しかし、住宅においては、3万点以上の部材*1が使われていること、広範に及ぶ多数のサプライヤー様と関わること、さまざまな素材が組み合わさった複合材が多く使われていることなどから、マテリアルリサイクルを実現するにはこれらひとつひとつの部材をさらに分解・分別し、素材ごとに分けることが必要であるため、住宅業界における「House to House」実現は非常に難しいのが現状です。そのため、相当広い範囲で部材ごとのリサイクル開発を行い、サプライチェーンの全ての段階を通じて、多くの企業の皆様と共に取り組んでいくことが重要です。
本日の宣言を機に、さまざまな方法で当社の取り組みや構想を世の中に広く発信することで、さらに多くのサプライヤー様との協力体制を築き、住宅業界をあげての取り組みを当社がリードしてまいります。
■「House to House」の2050年までの実現へ向けて
リサイクル部材(リユース、リニューアブル等を含む)*2だけで構成された住宅商品の提供と、その持続可能な資源利用を目指し、サプライヤー様や大学などと共に、下記取り組みなどを始めております。
【新たなリサイクル部材開発のヒントとなる当社のノウハウをサプライヤー様に共有】
当社は独自の資源循環システムである「積水ハウスゼロエミッションシステム*3」により、新築施工およびアフターメンテナンスと改修時に排出される廃棄物を全国 21 箇所(2024年12月4日現在)ある自社施設「資源循環センター」に回収して全てリサイクルしております。このノウハウについて説明会*4や施設見学などを通じてサプライヤー様と共有し、建設現場での廃棄状況を把握することから課題を見つけるなど、資源循環に繋がるヒントとなっています。
上記などを通じて、10社以上のサプライヤー様と、建材の開発や改善等の具体的な検討を行っており、「株式会社ブリヂストン」*5や「大建工業株式会社」では既に実際の運用が始まっています。
「House to House」の実現に向けては、素材ごとの再利用状況や商品のリサイクル性に対するサプライヤー様の取り組みなど、現状分析が重要と考えております。
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 清家剛 教授は建築生産と環境について考える立場から、改修・解体技術やリサイクル技術、また環境に配慮するための設計・生産段階の意思決定プロセス等を研究されており、さまざまな知見がございます。
お互いの知見を活かした共同研究によって、「House to House」の実現に向けた現状分析を進めます。
・研究名称:「住宅分野におけるサーキュラーエコノミー移行に関する研究」
*1 当社工場出荷部材明細における品名単位(副資材を含む)で数量を合計。軽量鉄骨戸建て住宅2階建て(延床面積162㎡)の場合。
*2 リサイクル部材: 主要な構成材料にリサイクル原材料を含む部材。リサイクルの方法はクローズドループリサイクル、水平リサイクルに限定しない。
リユース部材:リユースを前提とした部材。
リニューアブル部材:主要な構成材料にバイオマスなど再生可能資源由来の原材料を含む部材。
*3 積水ハウスの施工現場で発生する廃棄物を広域認定制度に基づき自社施設「資源循環センター」に回収して分別したのち、100%リサイクルする仕組み。“ゼロエミッション”は産業廃棄物の単純焼却と埋め立て処分ゼロを内容としています。
*4 2023年12月、取引のあるサプライヤー様220社を対象に説明会を行いました。説明会の場では、「House to House」へ95%の共感、半数以上から連携希望の声が上がりました。
*5 ブリヂストンとの取り組みに関する共同リリース:https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/topics_2024/20241128_1/
~「House to House」を含む当社サーキュラーエコノミー移行に向けた取り組み~
「サーキュラーデザインプロジェクト」3つの領域
当社はサーキュラーエコノミーへの移行に向けて歩みを進めておりますが、上の図のように今までの取り組みを、「サーキュラーデザインプロジェクト」として新たに3つの領域に体系化しなおしました。
「住宅の長寿命化」は建物の長寿命化と長期利用に取り組む領域で、長期優良住宅*6やスムストック*7といった取り組みを行っております。
「自然資本の持続可能な利用」は住宅の資源を調達する際、その持続可能な利用に取り組む領域で、フェアウッド調達*8といった取り組みを行っております。
「住宅部材と原材料の循環利用」は住宅を新築・改修・解体する際に部材と原材料の循環利用に取り組む領域で、「House to House」はこの領域になります。これまでも廃棄物の発生抑制と循環利用を行ってきましたが、加えて、住宅に投入する部材や原材料の循環利用にも取り組み、サプライヤー様と共に持続可能な社会の実現を目指します。
*6 長期優良住宅:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000006.html
*7 スムストック:https://sumstock.jp/sumstock/
*8 フェアウッド調達:https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/spec/environment/wood-procurement/
■ゼロエミッションの達成など、当社におけるこれまでの環境課題への取り組み
~「サーキュラーデザインプロジェクト」移行に活かす~
積水ハウスは1999年に「環境未来計画」を発表して以降、事業を通じて地球環境への負荷低減に取り組んでまいりました。業界に先駆け2005年に新築施工現場のゼロエミッションを達成、現在までに工場、新築施工現場、リフォーム、アフターメンテナンスにおいてもゼロエミッションを達成しました。また、当社の資源循環センター*2では自社管理のもと全て再資源化を行っており、こうした、これまでの活動を通じて、資源の再利用につながるノウハウや課題、外部業者とのつながり、施設等、資源循環に関する知見を培っています。1999年に住宅1棟の建設で発生していた3.3tもの廃棄物は、現在1.6tにまで削減させることに成功し、廃棄物の100%リサイクルを実現しました。
※「循環する家(House to House )」特設サイト公開中
12月4日(水)より積水ハウスHP内に特設サイトを設置。取り組み概要のほか、コンセプトムービー「つくり方から、つくりなおそう。|『循環する家(House to House)』プロジェクト」を公開し、また、 住まいのサーキュラーエコノミ―への移行のための研究と実践の現場として、サプライヤー様や研究機関など多くの方の視察の受け入れを行っている、資源循環センターの見学申し込みを受付ています。今後も住宅関連業界のさまざまな関係者の方々との協働に向け、情報発信を予定しています。
「循環する家(House to House)」 特設サイト https://www.sekisuihouse.co.jp/special/cdp/housetohouse/
コンセプトムービー(積水ハウス公式YouTube内):https://youtu.be/vaWzq2LaDa8