10月の炎上分析データ公開!炎上件数、130件(調査対象期間:2024年10月1日~10月31日)
一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所による最新の炎上事案分析
シエンプレ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 寿郎)は、一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所(住所:東京都渋谷区、所長:佐々木 寿郎)と共同で、調査対象期間に発生したネット炎上についての件数と、その内訳、分析結果を公開しました。○資料ダウンロードページ
https://www.siemple.co.jp/document/enjou_report_202410/
■調査背景
2024年1月31日、デジタル・クライシス総合研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2024」(調査対象期間:2023年1月1日~2023年12月31日)を公開しました。
継続調査の結果報告として、今回は2024年10月1日〜2024年10月31日の調査対象期間に発生した炎上事案について、新たに分析しています。
○「デジタル・クライシス白書2024」は以下のURLからダウンロードが可能です。
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2024/
■調査結果
1. 炎上主体別 発生件数
1-1. 炎上主体別 発生件数と割合(前月比)
10月の炎上事案は130件でした。前月に比べ、57件増加しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」69件(53.1%)、「一般人」17件(13.1%)、「メディア以外の法人」32件(24.6%)、「メディア」12件(9.2%)という結果でした。
1-2. 炎上主体別 発生件数と割合(前年平均比)
前年平均比では、炎上事案は2件減少しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」が26件の増加、「一般人」が27件の減少、「メディア以外の法人」が2件の減少、「メディア」が1件の増加という結果でした。
割合については下図のとおり、前年平均と比較すると、「著名人」が20.5ポイントの増加、「一般人」が20.2ポイントの減少、「メディア以外の法人」が1.2ポイントの減少、「メディア」が0.9ポイントの増加という結果でした。
1-3. 炎上主体別 発生件数と割合(前年同月比)
前年同月比では、炎上事案は29件増加しています。
炎上主体別の内訳は、「著名人」が34件の増加、「一般人」が10件の減少、「メディア以外の法人」が5件の増加、「メディア」が変動なしという結果でした。
割合については下図のとおり、前年同月と比較し、「著名人」が18.4ポイントの増加、「一般人」が13.6ポイントの減少、「メディア以外の法人」が2.1ポイントの減少、「メディア」が2.7ポイントの減少という結果でした。
2. 炎上の内容別 発生件数
2-1. 炎上の内容別 発生件数と割合(前月比)
炎上内容別の内訳では、「情報漏洩」が0件(0%)、「規範に反した行為」が6件(4.6%)、「サービス・商品不備」が2件(1.5%)、「特定の層を不快にさせる行為(※)」が122件(93.8%)という結果でした。
前月と比較すると、「情報漏洩」は変動なし、「規範に反した行為」は1件の減少、「サービス・商品不備」は6件の減少、「特定の層を不快にさせる行為」は64件の増加という結果でした。
※特定の層を不快にさせる行為:法令や社会規範に反する行為ではないものの、他者を不快にさせる行為(問題行動、問題発言、差別、偏見、SNS運用関連など)
割合については下図のとおり、「情報漏洩」が変動なし、「規範に反した行為」が5.0ポイントの減少、「サービス・商品不備」が9.5ポイントの減少、「特定の層を不快にさせる行為」が14.3ポイントの増加という結果でした。
2-2. 炎上の内容別 発生件数と割合(前年平均比)
前年の平均発生件数と比較すると、「情報漏洩」が1件減少、 「規範に反した行為」が7件減少、「サービス・商品不備」が15件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が21件増加しました。
前年平均の割合と比較すると、「情報漏洩」が0.8ポイントの減少、「規範に反した行為」が5.2ポイントの減少、「サービス・商品不備」 が11.4ポイントの減少、「特定の層を不快にさせる行為」が17.3ポイント増加しました。
2-3. 炎上の内容別 発生件数と割合(前年同月比)
前年同月の件数と比較すると、「情報漏洩」が変動なし、「規範に反した行為」が4件減少、「サービス・商品不備」が7件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が40件増加しました。
前年同月の割合と比較すると、「情報漏洩」が変動なし、「規範に反した行為」が5.3ポイントの減少 、「サービス・商品不備」が7.4ポイントの減少、「特定の層を不快にさせる行為」が12.6ポイント増加しました。
3. 炎上内容の詳細区分別 発生件数
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が56件と最も多く、次いで「非常識な行動(モラルのなさ)」に関する炎上事案が33件でした。
4. 法人等の業界別発生件数
4-1. 法人等の業界別発生件数と割合(炎上の内容別)
炎上主体のうち、「法人等」に該当する炎上44件について、業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かった業界は「娯楽・レジャー」業界で、15件(34.1%)という結果でした。
5. 企業規模別の炎上発生件数と割合
炎上の標的が「法人等」の場合について、上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について調査しました。
なお「法人等」に該当する炎上事案は、日本国内に所在する企業のみを対象としています。
また、公共団体や政党、企業概要や従業員数等の情報が公開されていない団体は調査対象から除外しています。
調査対象の総数は33件です。
5-1. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前月比)
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が9件(27.3%)、「非上場企業」が主体となった事例が24件(72.7%)という結果でした。
前月と比較すると、「上場企業」の件数は4件増加、「非上場企業」の件数は14件増加しました。
割合を比較すると、「上場企業」の割合は6.0ポイント減少しました。
5-2. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年平均比)
前年平均と比較すると、「上場企業」の件数は4件増加、「非上場企業」の件数は1件増加しました。
割合を比較すると「上場企業」の割合は9.4ポイント増加しました。
5-3. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年同月比)
前年同月と比較すると、「上場企業」の件数は3件増加、「非上場企業」の件数は1件増加しました。
5-4. 炎上の対象となった従業員数と売上高の散布図
従業員数2,000人未満、売上高は1000億円未満、1000億~2500億円の企業で炎上事案が多く発生しました。
一方で、従業員数約2,000人以上の企業でも炎上事案が発生していることから、どのような従業員数や企業規模でも、炎上は発生する可能性があるといえます。
また下図のグラフにはありませんが、従業員数約3千人、売上高約1兆4000億円といった大企業の炎上事案も確認されました。
ブロガー 徳力基彦 氏
今年の炎上件数は5月から9月にかけて、昨年に比べると大幅に減少する傾向が続いていました。
これは炎上を拡散する告発系アカウントが、訴訟リスクがあがった結果、運営方針を転換したことが大きいと考えられていますが、10月は残念ながら9月に比べ57件増加の130件と、炎上件数が急増する結果になったようです。
実際の炎上の内訳としては著名人が中心のため、おそらくは衆議院選挙の影響を受けて選挙関連の炎上案件が増えたものと思われますが、これが一時的なものか、また昨年同様の炎上件数に戻るのかは注視が必要です。
特に最近は、企業の広報担当者の自社アピールがきっかけで大きな炎上騒動になるケースが続いています。
この背景には、「キラキラ広報」と呼ばれる広報担当者による自己宣伝へのアレルギーがネット上に鬱積していたことが影響していると考えられますが、直近は企業担当者によるSNS投稿への
揚げ足取りが強くなる傾向があると思いますので、より一層慎重な投稿を心がけてください。
■(参考)分類基準
1.分類基準(炎上の主体)
抽出したデータは以下の表1に基づき分類しました。
(表1)分類基準(炎上の主体)
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
公に情報を発信する機会の多いメディア関連の法人については、炎上に至る経緯に違いがあるため、他業種の法人と分けて集計しています。
2.分類基準(炎上の内容)
抽出したデータは以下の表2に基づき分類しました。
(表2)分類基準(炎上の内容)
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
3.分類基準(業界)
また、炎上の主体が「法人等」の場合、20の業界に分類しました。
なお、該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
参考:業界動向サーチ「ジャンル別業界一覧」https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm
炎上事案分析データ・炎上分析データの詳細、ご使用、ご質問につきましては、
お問い合わせ・ご相談フォームよりご連絡ください。
■一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 概要
研究所名 :一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
設立 :2023年1月20日
代表理事 :佐々木 寿郎
アドバイザー:山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田 知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日 :2023年1月20日
公式HP : https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社 :シエンプレ株式会社"