ESG四半期レポート:2024年第2四半期

シュローダーでは、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みを掲載したサステナブル・インベストメント・レポートを四半期毎に作成しています。本レポートでは、2024年第2四半期のサステナブル・インベストメント・レポートを構成する内容の一部をご紹介します。今回のテーマは、気候変動について業界のイニシアチブへのアプローチと、現代奴隷制へのアプローチについてです。



Andy Howard
サステナブル投資グローバル・ヘッド


気候変動について業界のイニシアチブへのアプローチ

気候変動に焦点を当てた投資業界の取り組みと、そうした団体のメンバーとしての弊社のアプローチについてご説明します。


私たちはかねてから、気候変動は経済、産業、投資ポートフォリオを混乱させる、回避できない課題であり、機会でもあると主張してきました。気候変動はシステミック・リスクであり、大きな注意を払う必要があります。世界経済の約90%を占める国々と、世界の株式市場の代表的な株価指数であるMSCI ACWIの企業価値の約半分を占める企業は、今後数十年でネットゼロを達成することを約束しています。

同時に、気候変動に焦点を当てた投資業界のイニシアチブの数も会員数も近年増加しており、この問題は投資における議題の主流に定着しつつあります。

一方で、足元、これらの業界団体は新たな監視下に置かれています。2017年に発足したイニシアチブであるClimate Action 100+(CA100+)のウェブサイトを見ると、2023年末時点では資産運用業界全体の約3分の2に相当する約68兆ドル(1)に責任を持つ700のメンバーに達していたものの、直近、複数の大手金融機関が脱退または限定的な参加となっています。

1 Total asset management industry AUM from BCG, 2023.



シュローダーはCA100+のメンバーであり、脱退する予定はありません。一般的に、私たちは参加するイニシアチブを決定する際に、シンプルな原則を適用しています。
  • 投資に対する見方は、業界イニシアチブへの参加やそのメンバーであり続けることを含め、私たちがとる行動の原動力となります。これらのイニシアチブが、私たちの見解や行動を決定することはなく、外部のイニシアチブのために投資を犠牲にすることはありません。
  • 私たちは、イニシアチブの目的や行動が、私たちの受託者責任や、お客様から委託された資産を最も効果的に運用する方法についての見解と一致する場合、また、メンバーであることがお客様の長期的な財務目標を達成する私たちの能力を適切に高めると考える場合に、イニシアチブに参加します。
  • イニシアチブの優先事項が私たちの目標と矛盾するようになった場合、当社は加盟を再考します。
私たちは、優れた財務リターンと気候変動へのコミットメントの達成は両立できると信じています。弊社の気候変動移行計画(2)は、お客様の長期的価値の最大化を追求し、世界経済の大半がコミットしているネットゼロ社会に向けて、弊社の事業と運用ポートフォリオを整合させるための道筋を描いています。

私たちは全社的にエンゲージメントにコミットしており、投資先企業や資産による移行を支援・促進し、顧客が利益を得られるようにすることに重点を置いています。私たちは、排出量を最も迅速に削減できる企業が、過去5年間でアウトパフォームしていることを発見しました(3)。そして、物理的な脅威がますます目に見えるようになり、行動への圧力が高まっていることを背景に、こうした移行への原動力が変わると考えています。

私たち自身のエンゲージメントが効果的なものであることは証明されている(4)一方で、業界のイニシアチブに参画することで、政策の進展、より広範な社会的期待、気候変動に伴う物理的リスクや経済的コストについて検討し、お客様の利益に貢献できると考えています。CA100+のような多様性のある組織では避けられないことですが、私たちは、すべての問題や、期待するエンゲージメント結果が得られない場合にとるべき適切な措置について、他のメンバーと意見が一致するわけではありません。このような場合、私たちは独自に行動を決定します。

要件を満たさないグループへの参加を拒否しているものの、同様の原則は、私たちがメンバーとなっている他のイニシアチブにも当てはまります。

2 Schroders Climate Transition Action Plan.
3 過去5年間、セクターの上位5分位で炭素集約度を削減した企業は、下位5分位の企業よりも高いパフォーマンスを示しています。
4 Schroders Climate Report。これには、MSCI ACWI IMI指数の構成銘柄で2021年以降にエンゲージメントを実施した企業は、気候に関するトピックについてエンゲージメントしなかった企業と比較して、新たな排出量目標を設定する可能性が2倍高く、排出量を2倍迅速に削減し、毎年4%のアウトパフォームを達成していることが実証されたことを含む、弊社のエンゲージメントに関する分析が含まれています。


Katie Frame
アクティブオーナーシップ・アナリスト


現代奴隷制へのアプローチ

2023年現代奴隷制度に関する声明の発表を受けて、弊社が管理する投資に関する現代奴隷制へのアプローチについてご説明します。


シュローダーには、雇用者として、商品やサービスの買い手として、金融サービスの提供者として、あるいは企業への投資家として、人権を尊重する責任があります。弊社の事業や投資先企業、資産に影響を与える規制の圧力がますます強まっており、さらに、弊社は国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)にコミットしており、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の署名機関でもあります。

私たちは、現代奴隷制が私たちの事業全体で発生する可能性があることを認識していますが、潜在的な最大のエクスポージャーは投資先企業に関連しています。アクティブ運用の投資家として、これは私たちの最も影響力のある分野でもあり、私たちは投資決定や投資先企業および私たちが管理する資産に与える影響力を通じて、現代奴隷制や人身売買と闘う役割を担っています。


インサイト:サステナビリティ・エクスポージャーの理解

一元化されたツールは、アナリストが、企業が環境への影響、労働基準、人権、腐敗防止リスクを管理するための方針を実施し、慣行を発展させている証拠を探すのに役立ちます。私たちは、特に基準や慣行が脆弱な業界や地域、紛争地域および⾼リスク地域(CAHRAs)のような組織的な人権侵害のリスクが高い地域において、人権と現代奴隷制を、多くの企業を分析する際の重要な要素と考えています。多くの国で事業を展開する企業は、人権侵害を直接、またはサプライチェーンを通じて管理する上で、規制や法的要件の強化に直面しており、人権リスクを特定し、軽減するための取り組みは、投資リスクの評価においてますます重要になっています。


弊社独自のモデルとデータ

2023年、弊社のサステナブル投資チームは、人権を含むサステナビリティ・テーマ全体の最新のマテリアリティ・マップを作成しました。このマテリアリティ・マップは、業界横断的な様々な人権指標に依拠したデータ主導のアプローチで作成されました。サステナブル投資チームは、投資家がマテリアリティ・マップの人権部分で強調されている分野を分析するのに役立つよう、CONTEXT™、SustainEx™、Sovereign SustainEx™といった弊社独自のツールで関連する指標を特定しました。マテリアリティと指標のマッピングは、運用チームが的を絞った分析に磨きをかけるのに役立ちます。


影響力:アクティブ・オーナーシップにおける人権

当社のエンゲージメント戦略は、人権リスクが最も大きい企業を特定することを目的としています。私たちは投資先企業と協力し、人権に対する包括的なアプローチを理解し、UNGPsを実施するよう促します。これは、企業が人権を尊重することを正式に約束し、効果的な人権デューデリジェンスを実施し、人権侵害の被害者に効果的な救済へのアクセスを提供することを意味すると考えています。

企業が国際的な原則に沿ったビジネスと人権に対する強力なアプローチを有していることを確認するためのエンゲージメントだけでなく、エンゲージメントにおいて特に注意を払う特定のステークホルダー・グループもあります。

1. 労働者
2. コミュニティ
3. 顧客および消費者

2023年、サステナブル投資チームは、人権に関する評価を含め、社会的課題へのエンゲージメントを行う企業を積極的に特定し、優先順位をつけるための方法論とプロセスを確立しました。エンゲージメントの対象となる企業を特定し、優先順位をつけるための主な検討事項には、社会的要因の重要性と顕著性、社会的課題に関する企業のパフォーマンスの定量的評価、および弊社のオーナーシップを通じた企業へのエクスポージャーの検討が含まれます。



【本資料に関するご留意事項】
  • 本資料は、情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネージメント・リミテッド(以下、「作成者」といいます。)が作成した資料を、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本資料の内容に相違がある場合には、原文が優先します。
  • 本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。
  • 本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。
  • 本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
  • 本資料中に個別銘柄についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。
  • 本資料に記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本資料使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。
  • 本資料中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本資料の作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。
  • シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。
  • 本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。

この企業の関連リリース

この企業の情報

組織名
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
ホームページ
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/
代表者
黒瀬 憲昭
資本金
49,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号丸の内トラストタワー本館21 階
連絡先
03-5293-1500

検索

人気の記事

カテゴリ

アクセスランキング

  • 週間
  • 月間
  • 機能と特徴
  • Twitter
  • Facebook
  • デジタルPR研究所