シエンプレ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:佐々木 寿郎)は、一般社団法人 デジタル・クライシス総合研究所(住所:東京都渋谷区、所長:佐々木 寿郎)と共同で、調査対象期間に発生したネット炎上についての件数と、その内訳の分析結果を公開しました。
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資料ダウンロードページ
https://www.siemple.co.jp/document/enjou_report_202405/
■調査背景
2024年1月31日、デジタル・クライシス総合研究所はソーシャルメディアを中心とした各種媒体とデジタル上のクライシスの特性、傾向と論調を把握するために「デジタル・クライシス白書2024」(調査対象期間:2023年1月1日~2023年12月31日)を公開しました。
継続調査の結果報告として、今回の調査対象期間に発生した炎上事案を、新たに分析しています。
○「デジタル・クライシス白書2024」は以下のURLからダウンロードが可能です。
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2024/
■調査の概要
調査期間:2024年5月1日~5月31日
調査対象:X(旧Twitter)、Facebook、Yahoo!ニュース、Amebaブログ、FC2ブログ、Yahoo!知恵袋、5ちゃんねる など、SNS媒体と炎上拡大の要因になりやすいとデジタル・クライシス総合研究所が判断した媒体への投稿。
調査方法:デジタル・クライシス総合研究所ソーシャルリスニングツールを使用
「炎上」というキーワードを含む投稿から下記の基準により「炎上」と判断した事案を抽出(※)。
炎上の原因となった問題行動の主体、問題行動の内容、炎上を起こした企業の業種など、さまざまな切り口から傾向を分析しました。
※デジタル・クライシス総合研究所では「炎上」の定義を、「企業や団体、個人が発言した内容、行為がSNSやWebメディア上に掲載・拡散され、それに言及した批判や非難の投稿が100件を超えた場合」としています。(投稿数についてはオリジナル投稿のみを計上。コメントのない再投稿は含みません)
各グラフにおける割合については、全て小数点以下第2位を四捨五入しました。
分析対象投稿数:1,765件
うち炎上事案数:84件
■調査結果
1.炎上主体別 発生件数
1-1.炎上主体別 発生件数と割合(前月比)
5月の炎上事案は84件でした。前月に比べ、57件減少しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」37件(44.0%)、「一般人」13件(15.5%)、「メディア以外の法人」31件(36.9%)、「メディア」3件(3.6%)という結果でした。
割合については下図のとおり、前月と比較し、「著名人」が8.5ポイントの増加、「一般人」が20.7ポイントの減少、「メディア以外の法人」が11.4ポイントの増加、「メディア」が0.8ポイントの増加という結果でした。
1-2.炎上主体別 発生件数と割合(前年平均比)
前年平均比では、炎上事案は48件減少しています。
炎上主体別の内訳では、「著名人」が6件の減少、「一般人」が31件の減少、「メディア以外の法人」が3件の減少、「メディア」が8件の減少という結果でした。
割合については下図のとおり、前年平均と比較すると、「著名人」が11.4ポイントの増加、「一般人」が17.8ポイントの減少、「メディア以外の法人」が11.1ポイントの増加、「メディア」が4.7ポイントの減少という結果でした。
1-3.炎上主体別 発生件数と割合(前年同月比)
前年同月比では、炎上事案は24件減少しています。
炎上主体別の内訳は、「著名人」が1件の減少、「一般人」が16件の減少、「メディア以外の法人」が4件の増加、「メディア」が11件の減少という結果でした。
割合については下図のとおり、前年同月と比較し、「著名人」が8.8ポイントの増加、「一般人」が11.4ポイントの減少、「メディア以外の法人」が11.9ポイントの増加、「メディア」が9.4ポイントの減少という結果でした。
2.炎上の内容別 発生件数
2-1.炎上の内容別 発生件数と割合(月次推移)
炎上内容別の内訳では、「情報漏洩」が1件(1.2%)、「規範に反した行為」が9件(10.7%)、「サービス・商品不備」が9件(10.7%)、「特定の層を不快にさせる行為(※)」が65件(77.4%)という結果でした。
前月と比較すると、「情報漏洩」は1件の増加、「規範に反した行為」は3件の減少、「サービス・商品不備」は2件の増加、「特定の層を不快にさせる行為」は57件の減少という結果でした。
※特定の層を不快にさせる行為:法令や社会規範に反する行為ではないものの、他者を不快にさせる行為(問題行動、問題発言、差別、偏見、SNS運用関連など)
割合については下図のとおり、「情報漏洩」が1.2ポイントの増加、「規範に反した行為」が2.2ポイントの増加、「サービス・商品不備」が5.7ポイントの増加、「特定の層を不快にさせる行為」が9.1ポイントの減少という結果でした。
2-2.炎上の内容別 発生件数と割合(前年平均比)
前年の平均発生件数と比較すると、「情報漏洩」が同数、 「規範に反した行為」が4件減少、「サービス・商品不備」が8件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が36件減少しました。
前年平均の割合と比較すると、「情報漏洩」が0.4ポイントの増加、「規範に反した行為」が0.9ポイントの増加、「サービス・商品不備」 が2.2ポイントの減少、「特定の層を不快にさせる行為」が0.9ポイント増加しました。
2-3.炎上の内容別 発生件数と割合(前年同月比)
前年同月の件数と比較すると、「情報漏洩」が1件増加、「規範に反した行為」が5件減少、「サービス・商品不備」が10件減少、「特定の層を不快にさせる行為」が10件減少しました。
前年同月の割合と比較すると、「情報漏洩」が1.2ポイント増加、「規範に反した行為」が2.3ポイントの減少 、「サービス・商品不備」が6.9ポイントの減少、「特定の層を不快にさせる行為」が8.0ポイント増加しました。
3.炎上内容の詳細区分別 発生件数
炎上内容の詳細を分析したところ、「問題発言」に関する炎上事案が28件と最も多く、次いで「迷惑行為」に関する炎上事案が10件でした。
4.法人等の業界別発生件数
4-1.法人等の業界別発生件数と割合(炎上の内容別)
炎上主体のうち、「法人等」に該当する炎上34件について、業界ごとに分類しました。炎上事案が最も多かった業界は「娯楽・レジャー」業界で9件(26.5%)という結果でした。
業界別の炎上種別を割合で見た場合、結果は下図のとおりです。
5.企業規模別の炎上発生件数と割合
炎上の主体が「法人等」の場合について、上場企業か否か、また、それぞれの従業員数について調査しました。
なお「法人等」に該当する炎上事案は、日本国内に所在する企業のみを対象としています。
また、公共団体や政党、企業概要や従業員数等の情報が公開されていない団体、国外に所在する企業等は調査対象から除外しています。
調査対象の総数は26件です。
5-1.炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前月比)
上場区分に関して「上場企業」が主体となった事例が8件(30.8%)、「非上場企業」が主体となった事例が18件(69.2%)という結果でした。
前月と比較すると、「上場企業」の件数は2件減少、「非上場企業」の件数は1件増加しました。
割合を比較すると、「上場企業」の割合は6.2ポイント減少しました。
5-2.炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年平均比)
前年平均と比較すると、「上場企業」の件数は3件増加、「非上場企業」の件数は5件減少しました。
割合を比較すると「上場企業」の割合は12.9ポイント増加しました。
5-3. 炎上主体における上場企業・非上場企業の件数と割合(前年同月比)
前年同月と比較すると、「上場企業」の件数は5件増加、「非上場企業」の件数は4件減少しました。
割合を比較すると、炎上した企業のうち、「上場企業」の割合は18.8ポイント増加しました。
5-4.炎上の対象となった従業員数と年商の散布図
従業員数2,000人未満、売上高1000億円未満の企業規模で炎上事案が多く発生しました。
一方で従業員数約5,000人の企業であっても炎上事案が発生していることから、どのような従業員数や企業規模であっても、炎上は発生する可能性があるといえます。
また下図のグラフには記述がありませんが、売上高約2.7兆円、従業員数約17万人といった大企業の炎上事案も確認されました。
■
分析コメント
ブロガー 徳力基彦 氏
5月の炎上件数は、4月に比べると大幅に減少する結果になったようです。
ただ、炎上件数減少の要因は一般人の炎上発生件数が4月の51件から5月の13件と大幅に減少した点にあり、企業の炎上件数は4月の36件から5月の31件とあまり変わっていない点には注意が必要です。
前年同月比と比較すると、企業の炎上件数は昨年の27件から今年は31件と増えていますし、まだ現時点ではネット環境が炎上しにくい構造に変わったとは考えない方がよいでしょう。
なお、5月にはX上において炎上を拡散する存在として影響力を増している滝沢ガレソ氏が、星野源さんの事務所であるアミューズから名指しで非難される出来事がありました。
根拠に基づかない憶測記事でネットメディアがアクセスを稼ぎ、それをさらに炎上系インフルエンサーが拡散し、それをまたネットメディアが記事化するという「負のスパイラル」が確立してしまっていますが、それに対抗するのは憶測記事や憶測の拡散に対して断固たる否定が必要であることが明らかになった事例でもあると言えます。
特にその後の星野源さんと新垣結衣さんによるラジオでの感情を込めた否定も含めて、今回の憶測報道への対処の仕方は、企業担当者の方々も、是非参考にして頂ければ幸いです。
■(参考)分類基準
1.分類基準(炎上の主体)
抽出したデータは以下の表1に基づき分類しました。
(表1)分類基準(炎上の主体)
個人 |
著名人 |
芸能人、政治家、アスリート、経営者
それ以外の職業の人物については、データ確認日時点でフォロワー(もしくはチャンネル登録者、読者登録者)数が100万人を超えている場合 |
一般人 |
著名人の条件にあたらない個人 |
法人等 |
メディア以外の法人 |
メディア以外の法人、社団法人、公益団体
法人の関係者(役員、従業員など) |
メディア |
テレビ局、新聞社、出版社、ネットメディアなど |
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
公に情報を発信する機会の多いメディア関連の法人については、炎上に至る経緯に違いがあるため、他業種の法人と分けて集計を行っております。
2.分類基準(炎上の内容)
抽出したデータは以下の表2に基づき分類しました。
(表2)分類基準(炎上の内容)
分類名 |
詳細 |
情報漏洩 |
機密情報や個人情報など、企業をはじめとする組織の内部に留めておくべき情報や重要なデータが、外部に漏れること |
規範に反した行為 |
法令等、規範に反した行為
暴力・暴言、著作権法違反、ハラスメントなど |
サービス・商品不備 |
サービス・商品の不備による炎上
異物混入、サービス・商品の瑕疵など |
特定の層を不快にさせる行為 |
法令等、規範に反した行為ではないものの、他者を不快にさせる行為
問題行動、問題発言、差別、偏見、SNS運用関連など |
参考:山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授):
『ネット炎上の研究「炎上の分類・事例と炎上参加者属性」』、 出版記念公開コロキウム用資料、2016
3.分類基準(業界)
また、炎上の主体が「法人等」の場合、20の業界に分類しました。
なお、該当しない業界に関しては「その他」としてデータを処理しました。
金融 |
サービス |
食品 |
政治 |
IT |
建設・不動産 |
生活関連 |
芸能 |
メディア |
物流・運送 |
衣料・装飾 |
教育 |
自動車・機械 |
エネルギー・資源 |
飲食 |
医療 |
小売・卸 |
電機・精密 |
娯楽・レジャー |
宗教団体 |
参考:業界動向サーチ「ジャンル別業界一覧」
https://gyokai-search.com/2nd-genre.htm
■一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 概要
名称 :一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所
代表理事 :佐々木 寿郎
アドバイザー:山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田 知之(西村あさひ法律事務所所属弁護士)
設立日 :2023年1月20日
公式HP :
https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社 :シエンプレ株式会社