コラーゲンを産生する肌細胞を増やす鉄分+ビタミンC+ベニバナの組み合わせ効果を発見!
イメージ図 鉄分+ビタミンC+ベニバナの肌への影響
大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、肌に対する鉄分の役割について研究を進めるなかで、鉄分+ビタミンC+ベニバナの組み合わせが肌のコラーゲン産生細胞をより増殖させ、コラーゲン産生に効果的であることを見出しました。
【研究の背景】
体内に存在する微量成分である鉄分は、酸素の運搬を始めとした重要な役割を果たしているため、健康で美しい肌のために大切な成分です。当社はこれまでも、肌における鉄分の役割を研究し、鉄分がコラーゲンと肌細胞の糖化を抑制することを見出しております
※1。さらに、肌の鉄代謝に着目した研究では、血の巡りを良くし月経痛など女性特有の疾患に用いられるベニバナが、鉄代謝異常を改善することで表皮細胞のターンオーバーを促進する可能性を見出しました
※2。
※1 2022年11月17日発表リリース
『鉄分がコラーゲンと肌細胞の糖化を抑制することを発見』
URL:https://www.taisho.co.jp/company/news/2022/20221117001154.html
※2 2020年12月17日発表リリース
『シミにおけるターンオーバーと鉄代謝の関係を発見』
URL:https://www.taisho.co.jp/company/news/2020/20201217000709.html
【研究内容】
今までの研究成果により、鉄分やベニバナが肌に良い働きを及ぼすと考え、肌にハリを与えるコラーゲンとの関係性を明らかにするために研究を進めました。肌のコラーゲンは、真皮に存在する線維芽細胞によって産生されます。コラーゲンの構造が形成されるためには、鉄分やビタミンCが必要なことはすでに分かっていました。そこで本研究では、コラーゲン産生細胞(線維芽細胞)を用いて、鉄分がコラーゲン産生に与える影響や、その変化を引き起こす原因を検討しました。さらに、鉄分+ビタミンC+ベニバナの組み合わせがコラーゲン産生細胞に作用することで、健康で美しい肌を導く可能性を探求しました。
イメージ図 美しい肌のコラーゲン産生に必要な鉄分とビタミンC
【研究成果】
1.鉄欠乏状態において、コラーゲン産生細胞の増殖が抑制されることでコラーゲンが減少することを確認
鉄分と結合することによりその働きを妨害する薬剤(鉄キレート剤)をコラーゲン産生細胞に添加し、鉄欠乏状態を模した条件にしたところ、コラーゲン産生が減少しました(図1上)。この原因を探るため、コラーゲン産生細胞の数を評価したところ、鉄欠乏状態において細胞の増殖が抑制されることが示されました(図1下)。すなわち、鉄分が不足するとコラーゲン産生細胞の増殖が抑制され、コラーゲンが減少することが確認されました。
コラーゲン産生細胞である線維芽細胞を用いた検討上:コラーゲンの免疫染色像、下:鉄欠乏なしの値を100とした細胞増殖率(%)
n=3, mean ± SD, ***:p<0.001 vs 鉄欠乏なし (Student's t-test)
図1 鉄欠乏によるコラーゲン産生細胞の増殖抑制とコラーゲンの減少
2. コラーゲン産生細胞の増殖を促進する鉄分+ビタミンC+ベニバナの組み合わせ効果を発見
次に、鉄分を補充することによる影響をコラーゲン産生細胞の細胞数とコラーゲンの染色により検討しました(図2)。鉄欠乏条件下で、医薬品や食品に使用される鉄分を添加することで、コラーゲン産生細胞の数とコラーゲン産生の回復が認められました。さらに鉄分に、ビタミンCとベニバナの抽出物を組み合わせることで、コラーゲン産生細胞の増殖がより促進されることを見出しました。これにより、鉄分の補充が、鉄不足によるコラーゲン産生細胞の増殖抑制を元の状態に回復させることに加え、鉄分にビタミンCとベニバナを組み合わせることで、コラーゲン産生細胞がより増殖することが明らかとなりました。
コラーゲン産生細胞である線維芽細胞を用いた検討
上:コラーゲンの免疫染色像、 下:鉄欠乏なしの値を100とした細胞増殖率(%)
n=3, mean ± SD, ***:p<0.001, ###:p<0.001 (Student's t-test)
図2 鉄分+ビタミンC+ベニバナの組み合わせ効果
【今後の展望】
鉄分+ビタミンC+ベニバナの組み合わせによってコラーゲン産生細胞の増殖がより促進することが明らかとなり、これらの成分を最適に補充することができれば、健康で美しい肌に導くことができると考えられます。
当社は、鉄分が美と健康にとって重要な働きを持つと考え、鉄分に関する研究を進めております。今後も研究を継続し、最新の研究成果を皆さまにお届けしてまいります。