城西大学(埼玉県坂戸市)理学部化学科の環境生命化学研究室(石黒直哉教授)が、地元の自然保護活動を行う住民グループ「ホトケドジョウ調査会」に協力。近隣の越辺川や高麗川流域で絶滅が危惧されるホトケドジョウの生育状況を調査しました。川の水からDNAを検出して生息の有無を調べる「環境DNA」を用いた調査によってホトケドジョウの生息を確認しました。
ホトケドジョウはフクドジョウ科の日本固有種で、青森県を除く東北から近畿地方に生息。体長3~7㌢でずんぐりとしていて、湧水がある緩やかな流れや田んぼ脇の水路などで見られます。しかし、都市化による環境変化の影響を受けやすく、開発に伴い多くの生息地が消滅しています。埼玉県のレッドデータブックでは、絶滅危惧IA(2018年)に指定されています。
調査会は2021年5月から2023年4月にかけて、同県の坂戸市や日高市、飯能市、東松山市など各市町の93カ所を調査しました。捕獲調査や川の水からDNAを検出して生息の有無を調べる「環境DNA」を用いた調査の結果、32カ所からホトケドジョウが見つかりました。同会では9月に坂戸市や日高市などにホトケドジョウの保護をうたった条例の制定を求める要望書を提出しました。
環境生命化学研究室では、魚類や甲殻類をはじめとする水圏生物の進化の過程を明らかにするためにミトコンドリアゲノム解析を行うとともに水圏生物の保全遺伝学的研究によって河川の生態系を守るための基礎データの蓄積なども手掛けています。
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