香港 - Media OutReach - 2023年10月17 日 - 第36回東京国際映画祭(TIFF 2023)が10月23日に開幕します。先日主催者から発表があった通り、中国人映画監督 グー・シャオガン氏が今年度の黒澤明賞を受賞し、中国人女優 チャオ・タオ氏が国際コンペティション部門の審査員を務めることが決定しました。また今年は、『Dwelling by the West Lake(邦題:西湖畔に生きる)』、『Snow Leopard(邦題:雪豹)』、『A Long Shot(邦題:ロングショット)』、『Fly Me to the Moon(邦題:離れていても)』など、多数の中国映画の上映が予定されており、中国の映画や映画会社の存在感が近年著しく高まっているといえます。
アリババ・ピクチャーズ・グループ(以下、「アリババ・ピクチャーズ」または「当社」、HKEX: 1060)は、アリババ・デジタルメディア&エンターテインメント・グループ傘下にある中国の有力メディアで、ネット配信される映画やテレビ番組の製作などを手掛けています。映画製作のみならず、作品のプロモーションにおいても優れた実績を誇る当社は、これまで数々の日本映画のPRを効果的に支援し、中国の映画市場で目覚ましい成果を上げてきました。
TIFF 2023ではコンペティション部門への出品に加え、TIFF 2023主催の中国映画週間が開催されることになっており、映画ファンの期待が高まっています。このイベントで上映される映画にはアリババ・ピクチャーズが製作に携わった作品も名を連ね、今年中国で高い興行収入を記録し口コミでも非常に評価の高かった『Lost in the Stars(邦題:ロスト・イン・ザ・スターズ)』、『Chang An(邦題:長安三萬里~思い出の李白~)』、『One and Only(邦題:熱烈)』など、見逃せない作品が目白押しです。ワールド・フォーカス部門でも、アリババ・ピクチャーズが出資した映画『All Ears(邦題:耳をかたむけて)』が特別上映されることになっています。
中国では今年、『すずめの戸締まり』、『THE FIRST SLAM DUNK』、『天空の城ラピュタ』、『STAND BY ME ドラえもん2』などの日本のアニメ映画がいずれも興行収入1億元を突破するなど、日本映画が中国の映画市場に大きなインパクトを与えています。中でも『すずめの戸締まり』は中国の映画会社Road Pictures(路画影视传媒)が興行権を獲得し、アリババ・ピクチャーズがマーケティングプロモーションを担ったことで、封切初日の興行収入が中国で上映されたアニメ映画の新記録を塗り替え、最終的な興収は8億元を突破して恋愛映画部門で今年度最高の成績を上げたほか、同じく新海誠監督作品『君の名は。』が打ち立てた、日本映画の中国国内歴代興行成績5億7,500万元を上回る大ヒットとなりました。
『すずめの戸締り』のプロモーションでは、上映期間中にアリババ・デジタルメディア&エンターテインメント・グループ初のハイパーリアル・バーチャルアイドル「厘里(Leah)」が主人公の女子高校生 岩戸鈴芽に扮して映画との次元を超えた魅力的なコラボレーションを繰り広げ、中国国内だけでなく海外のネチズン(ネット市民)の間でも大きな話題となりました。この試みは、アリババ・ピクチャーズのエンターテインメントエコシステムを活用した画期的なマーケティング手法であり、国境を越えた映画プロモーションの成功事例です。
これまでアリババ・ピクチャーズは、様々なテーマを扱った海外の名作映画のマーケティングやプロモーションを多数手掛けており、2017年にAmblin Entertainmentと戦略提携して配給した米国映画『A Dog's Purpose(邦題:僕のワンダフル・ライフ)』は、ペットをテーマにした映画の中国市場における興行収入で歴代最高記録を樹立しました。
また、2019年のアカデミー賞で作品賞、脚本賞、助演男優賞など、主要3部門でオスカーを獲得した『Green Book(邦題:グリーンブック)』に出資し、アカデミー作品賞受賞作の製作に携わった世界初のインターネット映画・テレビ製作会社となりました。
当社は『グリーンブック』の共同製作者としてこの作品の市場価値を正確に予測しており、オスカー受賞後直ちに中国の映画市場に紹介しました。この映画の中で、主人公の2人が文化の違いを乗り越えて深い友情を育んでいく姿が多くの中国人観客の感動を呼び、さらにアリババ・ピクチャーズのマーケティング力と販売力が奏功したことで、『グリーンブック』は予想外の成功を遂げ、最終的に中国国内で4億7,800万元の興行収入を稼ぎ、中国の有力レビューサイト「Douban(豆瓣)」でも8.9という高スコアを獲得しています。
さらに、同年に中国電影集団が紹介したレバノンのアート映画『Capernaum(邦題:存在のない子供たち)』では、アリババ・ピクチャーズとRoad Picturesが感情的な共感にフィーチャーした独自のマーケティング戦略を取り入れました。この戦略では、家族がテーマの話題に関心を持つ中国の映画ファンにターゲットを絞り、綿密にスクリーニングしたプレビューを通じて口コミを広めるとともに、「Douyin」(中国版TikTok)などのソーシャルメディアプラットフォームを活用した話題作りやトレンド作りも仕掛けました。
戦略的スケジューリングや正確にターゲットを絞ったスクリーニング、マーケティングや配信のペース管理等の手法を駆使したRoad Picturesとアリババ・ピクチャーズは、このニッチな映画に中国の映画ファンの注目を集めることに成功。その結果、同時期に人気の『アベンジャーズ/エンドゲーム』が封切られたにもかかわらず、『Capernaum』は興行収入3億7,600万元を上げる大ヒットとなり、Doubanでも9.1という高評価を得ました。
アリババ・ピクチャーズは新作映画のプロモーションが得意なだけでなく、海外の名作映画を劇場の大スクリーンで再上映する取り組みも行っており、上映本数も拡大しつつあります。
2019年には、Hishow Entertainment とアリババ・ピクチャーズが共同でマーケティングとプロモーションを行ったイタリアの名作『The Legend of 1900(邦題:海の上のピアニスト)』を中国で再上映して1億4,300万元の興収を達成し、高画質の4Kデジタル修復版も中国の映画ファンから好評を博しました。また、2021年にはStar Alliance Moviesとアリババ・ピクチャーズが協力し、日本映画『Love Letter』の中国での劇場上映を22年ぶりに実現。中国のバレンタインデーにあたる5月20日に封切るなど、ロマンチックな映画を求める観客の要望に応えたことで、最終的に6,500万元を上回る興行収入を上げました。
マイナーなテーマを取り上げた日本の名作『おくりびと』の再上映にあたっては、作品に取り上げられている社会問題や感情の機微を伝えるためのマーケティングキャンペーンとして、葬儀の専門家へのインタビューを始めとするショートビデオシリーズや、上映後の観客によるストーリーの共有、「天国とのメッセージのやり取り」などを若者に人気のDouyinなどのプラットフォームを通じて発信しました。
マーケティングに画期的な視点を取り入れたことで、『おくりびと』は、Douyinでの視聴回数が12億回を超え、2,600万人から「いいね」を獲得するなど素晴らしい成功を収め、業界の予想を超える2,600万元の興行収入を稼ぎました。
アリババ・ピクチャーズは、海外のドキュメンタリー映画のプロモーションにおいて、ターゲット層に応じて異なる手法を採用しています。
エクストリームスポーツを取り上げたドキュメンタリー映画『フリーソロ』では、アリババ・ピクチャーズは、TaobaoDianying(淘票票)やBeaconの持つ強力なプロモーション能力を活用してロッククライミングの世界でKOLの影響力を高めた結果、200以上のロッククライミングジムの会員が作品を劇場で鑑賞。初回上映期間中に肯定的なフィードバックや好意的な感想が得られたことで、この映画は一般の人々の好奇心も刺激し、最終的な観客動員数は100万人に達しました。
『フリーソロ』のプロモーションに際して当社は、中核となるオーディエンスの的確なターゲティングを行ったうえで、主人公の我慢強さや前向きな姿勢が現実の生活でいかに重要な意味を持つかという点を強調しました。こうしたアプローチをとることで、口コミで大いに話題が広がり、2019年に上映されたドキュメンタリー映画として2番目に高い3,640万元の興行収入を上げることができました。
アリババ・ピクチャーズは、従来の外国映画のマーケティング戦略とは異なり、単にハリウッドの大作に頼るのではなく、親しみやすいキャラクターや魅力的なストーリー展開が特徴の、質の高い映画の配給に力を入れています。多様なジャンルやテーマの映画を紹介することで、中国の映画館で鑑賞できるコンテンツの幅が広がり、観客の様々な好みに対応できるようになります。
従来のプロモーション手法では、ハリウッド大作以外の海外作品は、認知度が低いことやテーマがニッチであることを理由に、商業的な成功を収めるのは困難でした。しかしアリババ・ピクチャーズは、Taopiaopiao とBeaconが提供するデジタルプロモーション商品を活用することで、個々の映画に適した精度の高いマーケティング戦略を特定することが可能になり、その結果優れたコンテンツがより幅広い観客にリーチするとともに、人々から肯定的に受け入れられ、興行的成功にもつながるのです。
こうした成功例を始めとして、アリババ・ピクチャーズは、インターネットプロモーションなどの「新たなインフラ」で映画業界を活性化し、映画プロモーションの革新的な手法を常に模索し続けることで、中国の映画界にとってプラスになる変革をもたらそうとしています。今後、ますます多くの海外映画・テレビ会社がアリババ・ピクチャーズとの緊密な協力関係を求めるようになることは間違いありません。中国映画市場で興行収入の拡大を狙う企業にとって、影響力を持った重要なプレイヤーとして台頭してきたアリババ・ピクチャーズは、今後注目せざるを得ない存在であり、その動向を見過すことはできないでしょう。
アリババ・ピクチャーズについて
アリババ・ピクチャーズはバミューダで登記し香港株式市場メインボードに上場しているメディア会社で、インターネットを軸に、業界チェーン全体を網羅するエンターテインメントプラットフォームを提供しています。当社は、コンテンツ、テクノロジー、およびIPの商品化と商業化の3つをグループの中核事業とし、それぞれの分野で、①国内外における映画、ドラマシリーズを始めとするエンターテインメントコンテンツの製作および配信ならびにこれらの事業への投資、②チケット販売プラットフォーム、デジタルインテリジェンス事業を始めとするテクノロジー商品の開発等、エンターテインメント業界におけるデジタル化の推進、③コンテンツIP、IPの開発・運用等に関するプロフェッショナルサービスの提供、IP派生商品の製造・販売を手掛けています。
詳細については、
https://ir.alibabapictures.com/ をご覧ください。