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桃源郷から持ち帰る、手のひらサイズの「富士山のお菓子」 4,860円(テイクアウトの場合)
「小楽園 TEA SALON & BOUTIQUE」の「山菓子 富士山(春)」
標高3,776mの雄大で美しい日本の象徴「富士山」。その存在も、かたや天空の神々からすれば「小さくてかわいらしいもの」なのかもしれません。
桃源郷の土産物屋をコンセプトとする和洋菓子店「小楽園(しょうらくえん)」では、人ならざる者の視点で食すお菓子が人気です。端的に言えばフォトジェニック、でも紐解くと神社やお寺のように奥深い……そんな新たなジャパニーズスイーツを味わいます。
ようこそ桃源郷へ。通行人がこぞって中を覗く、桃色の館
ここは人里離れた秘境の地……ではなく、東京・代々木上原駅または代々木八幡駅から徒歩5分。
「おもてなし人形」が鎮座する異世界への入り口があります。
一面桃色の店内はまさに「桃源郷」。馴染みのある日本の昔話を再現したような世界観はどこか懐かしく、不思議と落ち着いた感覚を覚えます。
魔法で小さくして閉じ込められてしまったのでしょうか。
ショーケースに並ぶのは山、山、山。
実はこれら全て、チョコレートで作られたお菓子なんです。
日本の春の味「富士山」
「富士山」をひとつ、テイクアウトします。
令和版琳派(りんぱ)のごとく煌びやかなケースを開けると……。
凛々しい「富士山」が登場しました。
高さ10cmにも満たない手のひらサイズですが、その威厳は健在。
リアルな稜線は、実際の地形データを元に型どられているそうです。
気になる味は、桜と抹茶が奏でるトラディショナルフレーバー。
山頂には苺と桜の塩漬けのガナッシュ。春の訪れを甘酸っぱく告げます。
その下に、抹茶のスポンジケーキ、小豆、桜の葉のガナッシュ。そして「富士山」の地元・静岡の抹茶を使ったクランチチョコレートなど、さまざまな食感・素材を地層のように重ねています。特に桜の風味が効いているので、全体が洋菓子版・桜餅のようなハーモニーです。
ホワイトチョコレートのコーティングも、食感のよいアクセントに。
取材中、海外の方への手土産として購入する方も訪れました。新たなジャパニーズスイーツとして紹介するのかもしれません。
店内にはイートインスペースもあります。
桃源郷の世界にどっぷり浸かりながら食すのも素敵な時間になりそうです。
「異世界のおもてなし」をカタチに
「小楽園」を手がける、株式会社KLOKA(クローカ)のアートディレクター矢島沙夜子さん。グラフィックやプロダクトのデザイン、映像制作などをする傍ら「小楽園」の店主も務めています。
「小さな頃から日本のおとぎ話や昔話に出てくる“おもてなし”にすごく興味がありました。浦島太郎は竜宮城でどんなごちそうを食べたんだろう……とか、いろいろ想像していたんです」(矢島さん)
そんな湧き出る異世界への興味をエネルギーに、唯一無二のクリエイティブを生み出してきた矢島さん。
毎年開催していたバレンタインイベントがルーツとなり、「小楽園」が誕生したそうです。
「10年近く、体験型のバレンタインイベントをやっていました。“チョコレートの銀河”や、『小楽園』の原型となったからくり人形がおもてなしをするお屋敷“スモールユートピア”など、毎年異なるテーマを設けて世界観を作り上げていったんです。でも、一過性で終わるのがもったいなくて。なにか長く育てていく形でできないかなと思って、お店をオープンしました」(矢島さん)
神様になった気分で「山」を食べる
桃源郷のお菓子として、なぜ「山を小さくしたスイーツ」が出てきたのでしょう?
「人間の美しい世界を、上から神が見ている情景が浮かんできました。山が小さいのは神からの視点で、それを食べるというのも“神々の楽しみ”なんじゃないと。あと山って見る分には綺麗で穏やかですけど、油断したら生きて帰れないような山だって沢山ありますし、一歩足を踏み入れれば、厳かで神聖で時に恐ろしい。それを手のひらに乗るサイズにしてしまうことにも、わくわくする部分があります」
そんな山菓子の製造工程では、地域の特産品を使うのがこだわりです。例えば「山菓子 利尻山(冬)」には、オホーツク海の塩や、利尻昆布の粉を隠し味に使用しています。
日本の知られざる魅力にスポットライトを当てる
「日本はシンプルでミニマルなデザインが評価されがちですが、日光東照宮やデコトラのような装飾過剰で派手な面も魅力だと思っています。『小楽園』ではそういった、まだ広く認知されきっていない日本の様式や、逆に海外の様式でも「どこか日本らしい(=『小楽園』らしい)」と感じるようなものを融合させたりして、“ちょっとピントのずれた日本感”を楽しんでもらえたらと思っています」(矢島さん)
店内を見渡すと、欄間や日本人形など日本古来の美術品とともに、ヨーロッパ建築調のアーチ、中国の山水画、インドから仕入れた衝立など異文化要素が調和しています。
「山菓子も、実はできるだけ有名じゃない、百名山にもならないような山を見せていきたいんです。聞いたことがないけど美しい山って、たくさんあるんですよ」(矢島さん)
最終的には、日本の全ての山をお菓子にすることを目指している「小楽園」。
次はどんな山がショーケースに納められるのでしょう。
その幽玄で摩訶不思議な世界観を、おとぎ話の登場人物になった気分で味わってみては。
Words:Yui Ichihara
Photos:Tsunenori Yamashita
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小楽園(しょうらくえん)TEA SALON & BOUTIQUE
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https://www.shorakuen.com/
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東京都渋谷区元代々木町10-9
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定休日:火曜日・不定休
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営業時間:12:00~19:00
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参考コスト
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山菓子 富士山(春) 4,860円
※テイクアウトの場合の価格。
※イートインの場合は価格が異なります。
※お店のホームページからも通販購入可能です(送料別途)。
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参考コスト合計金額 4,860円
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取材日: 2023年3月8日
<ストーリーに関するご留意事項>
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