第33 回日本製鉄音楽賞の受賞者は、以下の通り決定しましたので、お知らせいたします。
《フレッシュアーティスト賞》副賞300 万円
務川 慧悟 むかわ けいご(ピアノ)
【贈賞理由】
超難関コンクールであるロン=ティボー=クレスパン国際、エリザベート王妃国際で上位入賞し、拠点のフランスはもとよりヨーロッパでの高評価は文字通り国際的ピアニストの証。古楽器にも造詣が深く、探究心を楽しむ想像力から生まれる音楽は、聴く者の知的好奇心をくすぐる。精緻な音質と豊潤な音色は唯一無二のもので、益々楽しみな新鋭である。(上田弘子選考委員)
《特別賞》副賞100 万円
髙木 裕 たかぎ ゆう(ピアノプロデューサー、ピアノ技術者)
【贈賞理由】
近年ヴィンテージピアノの楽器としての魅力が見直されてきたが、その先駆者としてピアノ音楽業界に大きな影響を与えた。リスト、ブラームス、ラフマニノフ等が作曲家として活躍した時代の、そしてその後の巨匠達が使用した銘器の数々を、極力オリジナルのままに、今なお生きた楽器として当時の音をステージから伝えている。(江口玲選考委員)
なお、第33 回日本製鉄音楽賞の贈呈は、2023 年2 月22 日(水)に日本製鉄株式会社本社において行います。また、贈呈とは別に、受賞記念コンサートを、2023 年7 月に開催予定です。
『第33 回日本製鉄音楽賞 フレッシュアーティスト賞』
務川 慧悟 むかわ けいご(ピアノ)
生年月日:1993 年4 月9 日(29 歳)出身:愛知県東海市
東京藝術大学1年在学中の2012 年、第81 回日本音楽コンクール第1位受賞を機に本格的な演奏活動を始める。
2014 年パリ国立高等音楽院に審査員満場一致の首席で合格し渡仏。パリ国立高等音楽院、第2課程ピアノ科、室内楽科を修了し、第3課程ピアノ科(Diplôme d'artiste interprète)、同音楽院フォルテピアノ科に在籍。
2019 年ロン=ティボー=クレスパン国際コンクールにて第2位入賞。
2015 年エピナル国際ピアノコンクール(フランス)第2位。2016 年イル・ドゥ・フランス国際ピアノコンクール(フランス)第2位。コープ・ミュージック・アワード国際コンクール(イタリア)ピアノ部門第1位、各部門優勝者によるファイナルにて第2位、聴衆賞を受賞。2018 年秋に開催された第10 回浜松国際ピアノコンクールにおいて第5位を受賞。2021 年、エリザベート王妃国際音楽コンクール第3位。
2017 年シャネル・ピグマリオン・デイズのアーティストに選出され「ラヴェルピアノ作品全曲演奏」をテーマに6回のリサイタルを開催。
これまでに、日本各地、フランス、スイス、上海、ラトビア、イタリアにて演奏会を開催のほか、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、藝大フィルハーモニア、セントラル愛知交響楽団、愛知室内オーケストラ、中部フィルハーモニー交響楽団、NHK 名古屋青少年交響楽団、トリフォニーホール・ジュニア・オーケストラ、フランスにてロレーヌ国立管弦楽団と共演。室内楽においては、チェロの木越洋氏、長谷川陽子氏、ヴァイオリンの篠崎史紀氏、大谷康子氏、石田泰尚氏、等と共演。テレビ、ラジオでは、NHK-FM “リサイタル・ノヴァ” “ベストオブクラシック”、NHK-Eテレ “さらさらサラダ” “らららクラシック” 等に出演。
日本、ヨーロッパを拠点に幅広く演奏活動を行うと共に、『ピアノの本』において留学記、ヤマハHP にてコラムを連載するなど、多方面で活動している。
2012、13、14 年度ヤマハ音楽振興会音楽支援奨学生。2015 および16 年度公益財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生。2017 年度公益財団法人江副記念財団奨学生。
フランク・ブラレイ、上田晴子、ジャン・シュレム、パトリック・コーエン、横山幸雄、青柳晋の各氏に師事。
オフィシャル・ウェブサイト
https://keigomukawa.com
*1 エリザベート王妃国際コンクール:1951 年からベルギー首都ブリュッセルで4年ごとに開催。世界三大コンクールで最も歴史が古い。
*2 ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール:1943 年発足。フランス・パリで4年ごとに開催。
『第33 回日本製鉄音楽賞 特別賞』
髙木 裕 たかぎ ゆう(ピアノプロデューサー、ピアノ技術者)
生年月日:1952 年12 月16 日(70 歳)出身:三重県尾鷲市
ニューヨークにてスタインウェイ&サンズ本社の研究開発コンサルタント兼調律技術統括マネージャーであったウィリアム・ガーリック氏とフランツ・モア氏(ホロヴィッツ、ルービンシュタインの調律担当)に師事。コンサート・チューナーとして、著名アーティストのコンサートや、レコーディングを数多く手掛けている。1992 年にニューヨークのスタインウェイ本社コンサート部の形態を日本に導入し、自社所有コンサートグランドピアノにアーティストが望む調律を施してからステージに持ち込むスタイルを開始。これにより、現場にあるピアノで最大限の努力をしようとする昨今の形式から技術者とピアニストが理想とするコンサートやレコーディングが可能となり、すでに全国で7000 回を越えるステージを展開。日本唯一最大のコンサート&アーティスト部に成長した。
ピアニストを支える良きパートナーとして、常にピアノを最高の状態で保持・提供するという理想を追求している。
2004 年、洋泉社より『スタインウェイ戦争』(共著)、2010 年11 月、朝日新書より『調律師、至高の音をつくる』を出版、朝日新聞の天声人語に引用される。
2013 年、日経プレミア新書より『今のピアノでショパンは弾けない』、2019 年音楽之友社より『ホロヴィッツ・ピアノの秘密』を出版。
『音楽の友』誌に3年にわたって連載を執筆。テレビ朝日「徹子の部屋」「題名のない音楽会」などにゲ
スト出演。全国で講演、レクチャーコンサートなど多数に出演。
日本製鉄音楽賞 Nippon Steel Music Awards
日本製鉄音楽賞(旧称・新日鉄音楽賞、2012(平成24)年10 月より新日鉄住金音楽賞、2019 年4 月1 日より現行に改称)は、1990(平成2)年に旧新日鉄創立20 周年と、同社が提供してきた「新日鉄コンサート」放送35 周年を記念して設けられた音楽賞です。この賞を通して、日本の音楽文化の発展と、将来を期待される音楽家の方々の一層の活躍を支援することを目的としています。
【賞の概要】
フレッシュアーティスト賞[賞状/副賞300 万円]
将来を期待される優れたアーティストを対象とした賞。
選考方針としては、技術のみにかたよらず、音楽性、将来性を重視し、広い範囲から選出。その年の最優秀者を決定し、賞を贈る。
特別賞[賞状/副賞100 万円]
クラシック音楽をベースにした活動を行っている個人を対象とした賞。
幅広いジャンルのなかから、演奏会を支えるなど音楽文化の発展に大きな貢献を果たした方に対して、賞を贈る。
【選考委員】
寺西 基之(音楽評論家)
上田 弘子(音楽評論家)
山野 雄大(音楽評論家)
江口 玲 (ピアニスト・東京藝術大学教授)
山崎 伸子(チェリスト・桐朋学園大学特任教授・東京藝術大学名誉教授)
日本製鉄株式会社
日本製鉄音楽賞運営事務局(公益財団法人日本製鉄文化財団 受託事業)
〒102-0094東京都千代田区紀尾井町6 番5 号
電話03-5276-4500(代表)FAX03-5276-4527