PwC、第26回「世界CEO意識調査」の結果を発表 CEOの73%が世界の経済成長について過去12年間で最も悲観的な見通し

2023年1月17日
PwC Japanグループ


PwC、第26回「世界CEO意識調査」の結果を発表
CEOの73%が世界の経済成長について
過去12年間で最も悲観的な見通し


  • CEOの40%近くが、変革なしでは自社は10年後まで経済的に存続できないと回答
  • 世界的な脅威の上位にランクインしたのは、インフレ(40%)、マクロ経済の変動(31%)、地政学的対立(25%)。サイバーリスクと健康リスクは前年に比べランクダウン
  • CEOはコスト削減に取り組むが、60%は人員削減を計画せず、80%は報酬削減を予定していない。「大量離職」を踏まえ、従業員定着への取り組みを優先
  • フランス、ドイツ、英国のリーダーは、米国、ブラジル、インド、中国のリーダーに比べ世界経済の成長よりも国内経済の成長にあまり楽観的ではない見方
  • 需要の変化、規制の変更、労働力/スキルの不足、ディスラプションをもたらすテクノロジーが、長期的に業界の収益性にとっての大きな課題
  • CEOは今後12カ月間において気候リスクが自社のコスト面やサプライチェーンに影響を及ぼすと考えており、58%が温室効果ガス排出量削減や気候リスク軽減に向けた戦略を策定
※本プレスリリースは、2023年1月17日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します
https://www.pwc.com/gx/en/news-room/press-releases/2023/pwc-26th-ceo-survey.html

2022年10月から11月にかけてPwCが世界105カ国・地域のCEO 4,410名を対象に実施した「第26回世界CEO意識調査」によると、CEOの4分の3近く(73%)が世界の経済成長は今後12カ月間で減速すると考えています。CEOのこうした厳しい見通しは、12年前に世界の経済成長に関してこの質問を初めて行って以来最も悲観的な結果となっており、2021年および2022年にCEOの4分の3以上(76%および77%)が景気回復を予想した前向きな見方から大きく後退しました。

CEOの40%近くが10年後の自社の経済的存続の可能性を否定
困難な経済環境に加えて、CEOの40%近くは現在のビジネスのやり方を継続した場合、10年後に自社が経済的に存続可能であるとは考えていませんでした。この傾向は通信(46%)、製造業(43%)、ヘルスケア(42%)、テクノロジー(41%)など、広範なセクターで共通しています。自社の成長見通しに対するCEOの自信も昨年から大きく低下しており(26%低下)、58%の低下を記録した2008~2009年の金融危機時以降最大の低下幅となりました。

世界的にみると、経済成長に関する景況感は大きく異なっています。G7諸国では、いずれも現在進行中のエネルギー危機が大きな圧迫要因となっており、フランス、ドイツ、英国では世界経済の成長よりも国内の成長についてより悲観的な見通しとなっています(「自国の経済成長が減速する」に対して「世界経済が減速する」がそれぞれ70%対63%、94%対 82%、84%対71%)。
また、CEOは今後10年間で自社の業界において収益性に直接的な影響を及ぼす複数の問題が生じると考えています。収益性に影響を及ぼす要因としては、半数超(56%)が消費者の需要や嗜好の変化を挙げており、規制の変更(53%)、労働力/スキルの不足(52%)、ディスラプションをもたらすテクノロジー(49%)が続いています。

CEOの懸念事項の上位は、インフレ、マクロ経済の変動、地政学的対立
前回の調査ではサイバーリスクや健康リスクがCEOの懸念事項の上位を占めましたが、今回は経済の変動による影響を反映した選択肢がトップとなり、インフレ(40%)とマクロ経済の変動(31%)が短期的(今後12カ月間)および今後5年間においてCEOにのしかかるリスクとして挙げられました。これに続いて、CEOの25%が地政学的対立のリスクによる財務面への影響を懸念している一方、サイバーリスク(20%)と気候変動(14%)は相対的に順位を落としました。

ロシアによるウクライナ侵攻や世界の他の地域における地政学的紛争に関する懸念の高まりは、CEOが自社のビジネスモデルのあり方を再考するきっかけとなっており、地政学的対立から影響を受けている回答者のほぼ半数が、サイバーセキュリティやデータプライバシーへの投資拡大(48%)、サプライチェーンの見直し(46%)、現在の市場におけるプレゼンスの見直しや新規市場への進出(46%)、製品やサービスの多様化(41%)などにより、想定される広範囲に及ぶ混乱の軽減策をシナリオ策定や企業運営モデルに取り入れています。

CEOはコスト削減を実施、ただし人員や報酬の削減は計画せず
現在の経済情勢を受けて、CEOはコスト削減や売上拡大を考えています。CEOの52%が事業コストの削減を報告している一方、51%は価格引き上げを、48%が製品やサービスの多様化を挙げています。しかし、半数超(60%)は今後12カ月間における自社の人員規模の削減は計画していないと回答しています。CEOの大多数(80%)は人材を確保し、従業員の離職率を抑えるために、従業員の報酬削減を予定していないと回答しています。

PwCグローバル会長のボブ・モリッツ(Bob Moritz)は、次のように述べています。

「不安定な経済、数十年来の物価高、地政学的対立を受けて、CEOの悲観的な見方はこの10年あまりの中で最も強まっています。その結果として、世界のCEOは自社の事業モデルを見直し、コストを削減しています。しかし、こうした圧力にもかかわらず、CEOは『大量離職』の流れを受けて人材確保に目を向け、引き続き自社の従業員を最重要視しています。世界は絶え間ないペースで変化を続けており、組織や人々、そしてこの地球が直面しているリスクはますます高まる一方でしょう。組織が現在成功するだけでなく今後数年間において生き残っていくためには、短期的なリスクの軽減と長期的な成果を伴う経営上の需要という2つの責務のバランスを慎重にとらなければなりません。なぜなら、変革しない企業は存続しえないからです」

気候リスクへの対応は企業にとってますます優先度の高い課題に
気候リスクは他のグローバルリスクと比較して、今後12カ月間における短期的なリスクとしてそれほど大きく注目されなかった一方、CEOは気候リスクがコスト面(50%)、サプライチェーン(42%)、物理的な資産(24%)への影響(ある程度の影響から極めて大きな影響まで)を続けていると想定しています。

とりわけ中国のCEOは気候リスクの影響を受けると感じており、65%がコスト面、71% がサプライチェーン、56% が物理的な資産への影響の可能性を予測しています。気候変動が企業や社会に長期的な影響を与えるとの認識から、CEOの多くは自社の温室効果ガス排出量削減(65%)に加えて、気候変動に配慮した新たな製品やプロセスの開発(61%)、データに基づいた全社レベルでの排出量削減と気候リスク軽減に向けた戦略策定(58%)といった取り組みをすでに実施済み、あるいは実施中であることが明らかになっています。

現在、何らかの形でカーボンプライシングを実施している国が増えているものの、回答者の多く(54%)は意思決定の際にインターナル・カーボン・プライシングを取り入れることを依然として計画しておらず、3分の1超(36%)が自社の物理的な資産や従業員を気候リスクがもたらす影響から守る取り組みを実施する予定がありません。

長期的な価値を生み出すには引き続き信頼と変革が重要
CEOは、長期的に社会的価値を生み出すには、信頼を築いて持続的な成果を上げるために幅広いステークホルダーと協力する必要があると認識しています。今回の調査からは、企業が非営利団体と連携する場合、持続可能な開発(54%)、DE&I(多様性、公平性、インクルージョン)(49%)、教育(49%)を目的としていることが明らかになりました。

組織が短期的および長期的に存続していくには、自社の人材や技術変革にも投資し、従業員に活力を与えなければなりません。技術面では、約4分の3(76%)の組織がプロセスやシステムの自動化、重点分野における人材のスキル向上の仕組みを導入(72%)、クラウドやAI・その他の先端技術の導入(69%)に投資していると回答しました。

しかし、多くのCEOは組織が直面する一段と複雑なリスクに取り組むにあたり、組織の権限移譲や起業家精神にとって重要な前提条件(企業価値との整合性、リーダー層による反対意見や議論の奨励など)が自社に備わっているかどうかを疑問視しています。たとえば、自社のリーダー層がしばしば、あるいは通常、CEOに頼ることなくその部門の戦略的な決定を行うと回答したCEOは23%に過ぎません。さらに、自社のリーダー層が小規模な失敗をしばしば/通常許容すると回答したCEOは46%に留まりました。それに比べると前向きな傾向として、9割近く(85%)の回答者が、従業員の行動がしばしばあるいは通常、自社の価値観や方向性に沿って行動していると述べています。

短期的な視点での要求事項と長期的な変革との狭間で、CEOは将来を見据えた事業戦略の検討と推進(47%)よりも、現在の業績向上(53%)に大きく時間を割いていると回答しています。CEOは自身のスケジュールを見直すことができれば、将来のためにより多くの時間を割く(57%)と述べています。

ボブ・モリッツは、次のように総括しています。

「組織や社会が今日直面しているリスクは、単独かつ孤立した状況では対応することができません。したがって、自社、社会、そして地球のために、CEOはそのようなリスクを効果的に軽減し、信頼を構築して長期的な価値を生み出すべく、幅広く官民両セクターのステークホルダーとの連携を引き続き継続していかなければなりません」

以上

<調査について>
「第26回世界CEO意識調査」<オリジナルレポート(英語)https://www.pwc.com/gx/en/issues/c-suite-insights/ceo-survey-2023.html >は、2022年10月から11月にかけて実施し、4,410名のCEOから回答を得ました。本調査におけるグローバルおよび地域の数値は、調査対象国・地域の世界の名目GDPに占める割合に基づいて加重されており、全主要国・地域でのCEOの見解が公平に反映されるように算出されています。業界別および国別の数値は4,410名のCEOの全サンプルの加重していないデータに基づいています。インタビューは世界3地域(北米、西欧、アジア太平洋)のCEOに対し実施しました。調査結果の全文はPwCのウェブサイトにてご覧いただけます。インタビューについては https://strategy-business.com/mindoftheceo でご覧いただけます。

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組織名
PwC Japanグループ
ホームページ
https://www.pwc.com/jp/ja/
代表者
木村 浩一郎
資本金
1,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0004 東京都千代田区大手町1‐1‐1大手町パークビルディング
連絡先
03-6212-6810

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