日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)のスリップジョイント構造※1 を持つ鋼管を使用した電車線柱(以下、スリップジョイント電車線柱)が、一般社団法人日本電気協会、澁澤元治博士文化功労賞受賞記念事業委員会より、第67 回澁澤賞※2 を受賞しました。同賞は、電気の保安、信頼性向上に関わる顕著な業績を表彰する権威ある賞です。贈呈式は11 月17 日(木)に都内で行われ、共同開発先である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、公益財団法人鉄道総合技術研究所、株式会社興和工業所、ヨシモトポール株式会社の職員および社員が共同で受賞いたしました。
【受賞者:スリップジョイント構造を有する電車線柱の実用化グループ】
前列中央 (独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構 髙島 将、
後列左より (公財)鉄道総合技術研究所 常本 瑞樹、日本製鉄(株) 冨永 知徳、
(株)興和工業所 諸岡 俊彦、ヨシモトポール(株) 佐野 将基
今回の受賞は、耐震性に優れたスリップジョイント電車線柱に耐食性に優れた溶融亜鉛アルミニウム合金めっき※3 を施し、これを整備新幹線(北陸新幹線、北海道新幹線)の電車線柱に実用化したことへの業績が認められたものです。
従来、電車線柱にはコンクリート柱が多く用いられてきましたが、近年耐震性を高める観点からより軽量な鋼管柱が多く採用されています。しかしながら、北陸新幹線や北海道新幹線の一部区間においては、設計上、従来型の鋼管柱より更に高強度かつ高耐震性を有する電車線柱が必要となっていました。
スリップジョイント電車線柱は、下部鋼管柱と上部鋼管柱から構成され、テーパー形状を有する下部鋼管柱を、上部鋼管柱に差し込むことで用いられます(※1 の図参照)。これにより、上部鋼管柱のみを軽量化(薄肉化)することが可能となり、耐震性を向上させました。
加えて、四方を海に囲まれた我が国においては塩害への対策も重要な課題ですが、溶融亜鉛アルミニウム合金めっきを施すことが一つの解決策として挙がったものの、電車線柱を後めっきする際のめっき槽の制約により、めっき対象物の長さ制限が課題となっていました。スリップジョイント構造はこの制約を解消し、電車線柱への溶融亜鉛アルミニウム合金めっきの適用により耐食性の更なる向上を実現しました。
日本製鉄のスリップジョイント電車線柱は、すでに北陸新幹線(長野・金沢間)で484 本、北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)で206 本をご採用頂いており、実績を重ねています。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追及し、自然災害に対するインフラの強靭化、社会インフラの長寿命化に貢献していきます。
※1:スリップジョイント電車線柱の構造
※2:澁澤賞
一般社団法人日本電気協会HP をご参照ください。
https://www.denki.or.jp/award
※3:耐食性は通常の溶融亜鉛めっきの2~5 倍
以 上
お問い合わせ先:総務部広報センター 電話03-6867-2977