虐待や犯罪などを経験したことによるトラウマが与える影響を知り、トラウマを抱える人を社会で支えるトラウマインフォームドケア(TIC)を提唱する武庫川女子大学の大岡由佳准教授(心理・社会福祉学科)が、トラウマインフォームド(TI)サポーターを養成するオンライン講座を7月から無料でスタートしました。トラウマに特化した講座は全国でも例がありません。コロナ禍で別離等、様々な生きづらさを抱える人が増える中、トラウマの影響を理解し、配慮ある関わりができる社会へ、意識を変える一歩として期待されます。
大岡准教授によると、トラウマはPTSDより広義で、様々な逆境的体験によって生じます。子どもの問題行動や不適応の背景にも様々なトラウマがある場合が多く、周りの接し方によっては、子どもたちがさらなるトラウマを負う恐れがあります。このため、大岡教授は共同代表を務める一般社団法人 TICCを通して、被害者とその家族を支援につなげるコーディネート事業や、相談員を養成する研修、学校現場での教職員対象の研修等に取り組んできました。
オンライン講座はこうした事業をより広く、大規模に推進するために企画。1回約30分前後、6回の受講を通して、トラウマインフォームドの視点を持って人々に関わることができるTIサポーター(オンデマンド)と、対人支援職にある人がトラウマへの理解を深めるTIコーディネーター(オンラインと対面、ライブ講義)を養成します。
教材は大学院生や学生もナレーション等で参画して制作しました。犯罪被害、虐待、親しい人との死別など事例をもとに、当事者のインタビューやアニメで構成。トラウマを抱える人が見ても、安全に自分自身と向き合えるよう、配慮しています。
大岡准教授は「誰でもこころに深いケガを負うことがあります。講座を通してトラウマに対する気づきを共有し、トラウマを負っても人と人とのつながりの中で回復できる社会の実現につなげていきたい」と話します。武庫川女子大学の肥後有紀子准教授(情報メディア学科)や佐々木達也教授(経営学科)ら、学部学科を越えた教員の協力を得て、持続可能な公益活動としての広がりを目指します。
この取り組みは、JST-RISTEX「トラウマへの気づきを高める''人-地域-社会''によるケアシステムの構築」研究開発プロジェクトの「研究開発成果の定着に向けた支援制度」(2017~2022年)として実施しています。
プロジェクト紹介
https://www.jst.go.jp/ristex/pp/project/h29_1.html
TICC紹介
https://www.jtraumainformed-tic.com/
JST-RISTEX紹介
https://www.jst.go.jp/ristex/
▼本件に関する問い合わせ先
武庫川女子大学
広報室
住所:兵庫県西宮市池開町6-46
TEL:0798453533
メール:kohos@mukogawa-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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