工学院大学(学長:伊藤 慎一郎、所在地:東京都新宿区/八王子市)の学生グループ「WA-K.pro」(ワークプロ)は、八王子キャンパス内のテニスコート用レストハウスを設計しました。大学1年生と2年生が基本設計を担当し、地元企業が多摩産の木材と伝統的な木造建築の工法を手掛け、4月9日に引き渡し式が行われました。
建築学部の1~2年生を中心としたグループWA-K.pro「K×Kプロジェクト」は、八王子キャンパス内に点在する老朽化した倉庫を地元多摩産の木材を使用した木造建築に建て替える活動を続けています。今回完成したレストハウスは4棟目です。
リニューアルに際し、テニスコートを利用する保健体育科の教員より、通気性と日陰の確保が要望としてあがりました。学生たちは限られたコストの中でリクエストに応えるため、壁面を極力減らし、シンプルな形状にまとめ、建築面積を増やしました。広い休憩スペースからコート内の様子を伺うことができ、南側にルーバーを設けることで直達日射を抑制しつつも通風を堅持し、道路からの視線をカットしています。倉庫部分は、左右横開き扉にして間口を広くしたことで、用具の出し入れがしやすくなり、利便性が向上しました。
同プロジェクトでは以前、構内で木材を運んで組み上げる、土壁の材料となる土を練るなどの作業も学生が手掛けていましたが、コロナ禍のため、今回は基本設計と模型作りを通して追掛大栓継ぎ、竿車知継ぎ、鎌継ぎをはじめとする伝統的な木造建築での工法を学びました。
得られたものは、建物を建てる知識だけではありません。学生たちは、今年1月に東京都檜原村で林業および製材所の現場を見学。そこから木材が大学構内に持ち込まれ、レストハウスが組みあがる過程を目の当たりにしました。手入れの行き届いた人工林に足を運び、林業における人手不足、廉価な輸入木材の存在、輸送におけるガソリン値上がりの影響など、過程にある問題を肌で感じたことで社会的課題を自分事と捉え、建築を通して解決できる方法を考えるきっかけになりました。
活動を進めるにあたり、同大学は、2016年に株式会社結設計室(代表取締役:関谷真一、 所在地:東京都八王子市)、株式会社東京チェンソーズ(代表取締役:青木亮輔、所在地:東京都西多摩郡)と10年間の木材購入協定を締結しています。この活動を通して木材や林業を知る人材が増えることで、各地で地元材使用の促進と、関連する社会問題の解決を三者は目指しています。今後も地元多摩産の木材を構内で継続的に使用し、地産地消のものづくりと、長期的なスパンで近隣企業との産学連携を図ります。
■レストハウス詳細
・面 積:52.41立方メートル(幅9.10m、奥行き5.75m、高さ3.26m)
うち休憩スペース:44.70立方メートル、倉庫:7.71立方メートル
・工 法:伝統的木造木組み 追掛大栓継ぎ、竿車知継ぎ、鎌継ぎ
・壁面材:スギ(檜原産、八王子産)
・屋 根:ガルバリュウム鋼板 縦はぜ葺き
・工 期:2022年1月10日~3月20日
・携わった学生数:のべ30名
■関係企業紹介
・株式会社 吉匠建築工藝
東京都八王子市、
https://www.yoshisho.com/company/
東京の寺社建築や文化財・古民家修復などを手掛ける。皇居で行われた「即位の礼」に関する施設建築にも携わった、国内屈指の伝統的木造建築のプロ。レストハウス施工では、伝統的木造建築の工法を学生に指導。
・株式会社 東京チェンソーズ
東京都西多摩郡檜原村、
https://tokyo-chainsaws.jp/
森林の管理、素材販売、木製製品の企画販売を手掛ける。林業の状況を広く社会に発信することで、社会との関わりを意識している。レストハウス施工では、木材の調達と、林業見学会での会場提供・説明を実施。
・株式会社 結設計室
東京都八王子市、
http://yuisetukeisitu.sakura.ne.jp/
自然と自然素材をいかしたシンプルな設計を手掛ける。「長崎県木造住宅コンクール」最優秀賞、「大地に還る住宅」優秀賞などの受賞歴あり。代表の関谷氏は、工学院大学等で教鞭をとった経験から、現在の建築教育にも精通。レストハウス施工では、設計指導と上記企業との連携を担当。
▼本件に関する問い合わせ先
工学院大学 総合企画部広報課
堀口・廣田・森川
住所:〒163-8677 東京都新宿区西新宿1-24-2
TEL:03-3340-1498
メール:gakuen_koho@sc.kogakuin.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/