【東京薬科大学】難治性血液がん、骨髄異形成症候群(MDS)の発症機序を解明 ~ミトコンドリア異常を標的とした新規治療薬の開発に期待~



【ポイント】
■ ミトコンドリアの過剰な断片化がMDS病態発症の原因となることを世界で初めてつきとめた
■ 超高齢社会で増加する血液がん、MDSの複雑な病態の発症機序はこれまで不明であった
■ 本研究成果をミトコンドリア異常に着目したMDSの新規治療薬の開発につなげていく




【 概 要 】
 骨髄異形成症候群(MDS)は、血液をつくるもとになる造血幹細胞に異常がおきて発症する病気です。60歳以上の血液がんの中で最も頻度が高く、超高齢社会と言われるわが国においてその発症の増加が問題となっています。
 今回、東京薬科大学 生命科学部 腫瘍医科学研究室の原田浩徳 教授、林嘉宏 准教授らの研究グループは、がん・感染症センター都立駒込病院、シンシナティ小児病院医療センターとの共同研究により、MDS患者さんの血液細胞で過剰なミトコンドリアの断片化が生じていることを世界で初めて発見しました。MDSモデルマウスや患者さんの細胞を用いた詳しい解析により、遺伝子異常のパターンに関わらず、ミトコンドリアの過剰な断片化がMDS病態発症の引き金となることが明らかになりました。さらに、ミトコンドリアの断片化を抑えることで、血球減少や異形成、過剰な炎症などMDSを特徴づける様々な異常所見が改善されることが示されました。
 MDSでは、正常な血液をつくることができなくなり、貧血や出血傾向、感染症などの症状があらわれます。一部の患者さんでは、血液細胞の成熟がストップして未熟な細胞が増殖する急性白血病への移行がみられます。これまでにMDSの発症に関わる様々な遺伝子異常が発見されましたが、MDSという病気がどのようにして起こるのかについてはよくわかっていませんでした。ミトコンドリアは細胞のエネルギー源として重要な役割を担う細胞内小器官の一つですが、その異常が細胞の分化や成熟に影響したり、炎症や細胞死のきっかけになったりすることが知られています。本研究の成果により、MDS病態の発症におけるミトコンドリア異常の中心的な役割が明らかとなりました。今後、ミトコンドリアの異常を標的としたMDSに対する新規治療薬の開発が期待されます。
 本研究成果は、2021年8月30日に、国際学術誌Cancer Discoveryのオンライン版に掲載されました。

【発表雑誌】
・雑誌名:Cancer Discovery
・論文名:Mitochondrial Fragmentation Triggers Ineffective Hematopoiesis in Myelodysplastic Syndromes
・著者:Yasushige Aoyagi, Yoshihiro Hayashi*, Yuka Harada, Kwangmin Choi, Natsumi Matsunuma, Daichi Sadato, Yuki Maemoto, Akihiro Ito, Shigeru Yanagi, Daniel T. Starczynowski, and Hironori Harada
・掲載日:2021年8月30日(米国東部標準時 10:00 AM) Online ahead of print
・Doi:10.1158/2159-8290.CD-21-0032


【大学公式ホームページ】
・難治性血液がん、骨髄異形成症候群(MDS)の発症機序を解明 ~ミトコンドリア異常を標的とした新規治療薬の開発に期待~|プレスリリース
 https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/newstopics/2021/0830_4628.html

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【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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