日本初展示!水深1127mの深海に咲くナデシコ ナデシコクラゲEarleria purpurea~北里アクアリウムラボ・新江ノ島水族館・加茂水族館にて展示開始~北里大学



 2011年3月11日、東日本大震災により、岩手県大船渡市にある三陸キャンパスを主なキャンパスとしていた北里大学海洋生命科学部とその学生達は甚大な被害を受けました。震災により犠牲となられた方々に哀悼の意を捧げるとともに、支援の手を差し伸べてくださった方々、復興に尽力されている方々に感謝の意味を込めて、海洋生命科学部のミニ水族館「北里アクアリウムラボ」(神奈川県相模原市)、クラゲの飼育研究では世界トップクラスの新江ノ島水族館、鶴岡市立加茂水族館では、2021年4月6日から、日本初展示のナデシコクラゲEarleria purpureaの展示を開始しました。





 2011年3月11日、東日本大震災により、岩手県大船渡市にある三陸キャンパスを主なキャンパスとしていた北里大学海洋生命科学部とその学生達は甚大な被害を受けました。震災により犠牲となられた方々に哀悼の意を捧げるとともに、支援の手を差し伸べてくださった方々、復興に尽力されている方々に感謝の意味を込めて、海洋生命科学部のミニ水族館「北里アクアリウムラボ」(神奈川県相模原市)※、クラゲの飼育研究では世界トップクラスの新江ノ島水族館、鶴岡市立加茂水族館では、2021年4月6日から、日本初展示のナデシコクラゲEarleria purpureaの展示を開始しました。
 このナデシコクラゲのポリプ【注1】は、東日本大震災からほぼ1年後の2012年3月8日、岩手県山田町沖にて、海洋研究開発機構の研究船「かいれい」によるKR12-07航海、ROV「かいこう7000II」の第548潜航調査で水深1127mにあった海底ゴミ(空き缶:賞味期限1984年5月)から採取されたものです。海洋生命科学部三宅裕志准教授らの研究グループは、海底ゴミが生物の生息場所となり、さらに日本では見つかっていなかったナデシコクラゲのポリプが水深約1100mもの深海に生息していることを明らかにしました。

※「北里アクアリウムラボ」は、現在、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一般公開は行っておりません。


■概要
 ナデシコクラゲEarleria purpureaは、2011年に米国のモントレー湾水族館とモントレー湾水族館研究所が水深300〜550mでクラゲを多数採集して、そこから繁殖させることに成功し、2016年にモントレー湾水族館で展示されました。Earleria purpureaは標準和名がありませんが、クラゲの口唇がナデシコの花のようにみえることから、ここでナデシコクラゲ(仮称)とします。
 東日本大震災からほぼ1年後の2012年3月8日、岩手県山田町沖にて、海洋研究開発機構の研究船「かいれい」によるKR12-07航海、ROV「かいこう7000II」の第548潜航調査が行われました。北里大学海洋生命科学部三宅裕志准教授らの研究グループは、この航海の目的の1つであった深海底における海底ゴミの生態系への影響の研究のために、水深1127mに空き缶を発見し回収しました(賞味期限1984年5月)。どのような生物が付着しているのかを調べるために、水槽でしばらく空き缶にプランクトンを与えて飼育したところ、クラゲのポリプが増殖しました。このポリプからクラゲを育て形態観察し、さらに遺伝子解析したところ、日本では見つかっていなかったナデシコクラゲであることが分かりました。
 クラゲ類のポリプを自然界で見つけることは非常に難しいのですが、本研究で、ナデシコクラゲのポリプが水深1127mに生息していることが明らかになりました。また、水深1127mに生息していたポリプを研究室及び水族館で維持管理し、育てたクラゲを状態良く水族館で展示するのは、世界初だと思われます。さらに水深1127mに沈んだ海底ゴミがポリプの着底基質になっていることも明らかにしました。私たちの生活から出たゴミが、遠く離れた深海の生態系にも影響を与えているという事実が明らかになったのですが、逆に海底ゴミを回収して、飼育していると深海生物を増やすことができ、その生態を明らかに出来ることも分かりました。これらの成果は、米国の出版社のクラゲ特集号に掲載予定です。

 なお、この研究の一部は、公益財団法人さんりく基金(旧 財団法人三陸地域総合研究センター)助成金 2011年度調査研究事業(課題解決研究)によってなされました。


■用語解説
【注1】ポリプ
クラゲの一生には、クラゲの世代とポリプの世代の2つの世代があります。クラゲは有性生殖して、卵と精子からプラヌラ幼生ができます。プラヌラは岩などに付着してイソギンチャクのような形をしたポリプになります。ポリプは分裂を繰り返して増殖し、時期が来るとクラゲ芽をつくり、それがクラゲになって泳ぎ出します

▼問い合わせ先
≪研究に関すること≫
北里大学海洋生命科学部
環境生物学講座水圏生態学研究室
准教授 三宅裕志
〒252-0373 神奈川県相模原市南区北里1-15-1
TEL: 042-778-7905

≪報道に関すること≫
学校法人北里研究所
総務部広報課
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL: 03-5791-6422
e-mail: kohoh@kitasato-u.ac.jp

新江ノ島水族館
広報チーム 井上 ・ 山崎
〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1 
TEL: 0466-29-9963

鶴岡市立加茂水族館
飼育担当 佐藤 ・ 池田
〒997-1206 山形県鶴岡市今泉字大久保657-1
TEL: 0235-33-3036





【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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ホームページ
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