アース製薬株式会社 (本社:東京都千代田区、社長:川端克宜、以下 「アース製薬」) は、本年2月に公表したオープンイノベーション戦略の中核として、革新的技術『MA-T(マッチング・トランスフォーメーション)システム』による感染症対策の為のCSV事業を、日本・東南アジア地域を中心に展開します。また、『MA-Tシステム』の普及を加速するための業務用製品として化粧水「EARTH WELLNESS Aqua Create スキンソリューション」と、除菌・消臭剤「EARTH WELLNESS Aqua Create Deo」を2020年12月24日(木)から発売します。
■アース製薬の新たな取り組み『MA-Tシステム』 ~ 虫ケアから包括的な感染症対策へ ~
アース製薬は虫ケア用品のリーディングカンパニーとして、虫ケア用品の正しい知識と啓発に努め、虫を媒介とした感染症患者が一人でも減るように世界各地でさまざまな活動を進めてきました。※1
その経験と知見を活かし、日本発の革新的技術である『MA-Tシステム』の普及を通して、世界規模で喫緊の課題となっている感染症対策に貢献してまいります。
革新的な触媒技術『MA-Tシステム』の産業創造による経済効果や社会問題解決の可能性を探るべく、オープンイノベーションのプラットホームとして設立された日本MA-T工業会において、アース製薬のミッションは、MA-Tの社会的信用向上や広く社会に伝えることだと考えています。
■グローバルヘルス領域における挑戦 ~ 日本発の革新的技術『MA-Tシステム』を世界へ ~
アース製薬は、10月に発足されたWELCO Lab for Global Health(以下、WELCO Lab)に参画しています。WELCO Labは、グローバルヘルス(国際保健)領域における日本企業の連携を促進させるイニシアチブです。日本企業が有する革新的な技術の活用とセクターを超えたコラボレーションの活性化を促し、グローバルヘルス領域の課題解決に貢献する新たなソリューションの創出を目指しています。WELCO Labは、地球規模の国際保健課題である、感染症、栄養問題、生活習慣病など、低・中所得国における健康課題の解決に貢献する事を目標としています。
弊社は、オープンイノベーションで開発するMA-T技術を応用し、感染症予防のための新たなソリューションを2030年までに開発する予定です。日本のみならず、タイ、ベトナム、ミャンマーなどの低・中所得国2.2億人の人口を抱える東南アジア地域を対象に、ウイルス、微生物、多剤耐性菌等の感染拡大を抑制するため、国連や公的機関への調達事業を展開します。安価で簡便な施策を提供する事で、社会実装を目指します。本コミットメントにおける事業計画の詳細については、参考資料をご確認ください。※2
■国内における自治体との協力体制 ~ 災害時、パンデミックに備えた備蓄強化に向けて ~
『MA-Tシステム』を発揮する主原料は国産であるため、輸出禁止または制限を受ける心配はありません。また、高い安全性と優れた効果を両立する事から、今年8月に青森県今別町で行われた避難所実証検証でも採用され、訓練に参加した人たちからも高評価を得ました。
長期的な安定性も担保される事から、各自治体における備蓄を強化するため、このたび新発売する「EARTH WELLNESS Aqua Create スキンソリューション」では備蓄用の商品を展開します。
<業務用「EARTH WELLNESS」商品概要>
発売日: 2020年12月24日(木)
■ウィズコロナ時代の革新的技術『MA-Tシステム』とは
革新的技術『MA-Tシステム』の水溶液は、反応すべき菌やウイルスが存在する時にのみ、必要な時に必要な量だけ水性ラジカルを水の中で生成し、菌やウイルスを分解する「要時生成型亜塩素酸イオン水溶液」であることがわかっています。
99.985~99.995%が水であるため、既存の除菌液である塩素系消毒剤や高濃度アルコールと比較して安全性が高く、食器や調理器具など、口に触れるものにも安心して使えるという利点があります。引火の危険性もなく、調理中のキッチンでも安心して使用でき、手荒れの原因となったり、金属を腐食させたり、樹脂を変色させることもありません。
『MA-Tシステム』は、要時生成型亜塩素酸イオン水溶液を発見した株式会社エースネットと、株式会社dotAquaが共同開発し、大阪大学が分析・検証を行った除菌・消臭剤のシステムで、2015年に基本特許出願に至り、『MA-Tシステム』を採用する商品は多くの公共交通機関とそのトイレ、病院、ホテルでも利用されてきました。
図1: MA-Tシステムメカニズムについて
図2: 従来の除菌剤との比較
※1 感染症予防のための取り組み事例
■感染症予防に取り組む背景
世界の32億人がマラリアに、128カ国の39億人、世界人口の約50%がデング熱にかかるリスクがあると発表されています。(2018, WHO, UNICEF)●毎分1人の5歳未満の子どもがマラリアで命を失っています。
●WHOは2019年、地球規模で注力すべき10の健康危機課題に蚊媒介感染症であるデング熱疾患を掲げました。
●近年の物流や人々の移動のグローバル化に伴い、熱帯地域の感染症も全世界へのリスク拡大が進んでいます。人の往来が増える大規模イベントでも、日本への輸入感染を含めた蚊媒介感染症のリスクが高まると懸念されています。
出典:https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/dengue-and-severe-dengue
【虫ケアステーション】
蚊媒介感染症は、人が集まる時、人の移動が多い時、海外への往来が増える時にリスクが高まります。アース製薬では2018年から虫ケア啓発活動として「虫ケアステーション」をスタートしました。「虫ケアステーション」は、蚊媒介感染症のリスクを紹介し、虫よけ剤による予防と正しい使い方を提案するための弊社オリジナルのブースです。当ブースでは、「サラテクト」を実際に用いながら虫よけ剤の正しい使い方を伝え、夏の虫ケア啓発を行います。蚊媒介感染症対策の啓発は重要な使命であり、少しでも被害の減少に貢献できるよう、今後さらに「虫ケアステーション」による啓発活動を拡大していきます。
【小学校出前授業】
「虫ケア啓発活動の一環での虫対策」と題し、実際に小学校に出向いて授業を行っています。身近な蚊をはじめ、さまざまな害虫の生態について説明し、学校の野外活動や日常生活での虫ケアを子どもたちに知ってもらうことが目的です。今後もこの活動を通して、子どもたちの学習意欲をかきたて、虫ケアについて考えるきっかけづくりの場を提供していきます。
※2 MA-Tに関する事業計画
グローバルな感染症対策として、MA-Tを国連調達などにより社会実装すべく、次のような計画で事業を進める予定です。
Phase 1:
感染症予防に関する検証や事業推進を目的としたアカデミアや民間企業団体とアライアンス体制を構築します。例えば、工業会、関連学会の設立などが挙げられます。
Phase 2:
除菌剤のより効果的な使用に必要な科学的実証を推進します。
具体的には、
(1)防護具着脱時の除菌剤の有効性検証
(2)皮膚、粘膜に対する除菌剤の安全性検証
(3)ポリマー表面の抗菌処理の有効性検証
(4)除菌剤噴霧の有効性・安全性検証
などです。
Phase 3:
Phase 2の科学的実証をもとに、製品の開発と製品供給体制の構築を進めます。具体策として、開発生産流通インフラをもつ企業との事業提携を検討します。
Phase 4:
東南アジアの行政当局や国連等の公的な会議体への提言活動を、Phase 1で関係を構築した工業会や学会と連携して実施し、行政の感染症対策のガイドライン作りや他のエリアの発展途上国を視野に入れた国連調達を実現していきます。
<パートナーとの連携方針>
MA-Tを通じた地球、社会、人々のウェルネスへの貢献という理念を共有する企業との連携の中で、主にヘルスケアと環境課題に関連する事業領域では共通のKPIを設定し、かつ協力して達成度評価を行います。具体的には環境・人権・労働・腐敗防止に対し配慮した事業を実践し、KPIに基づいた進捗モニタリング・評価を継続的に実施します。加えて、産官学の連携を組織化するために中心的な役割を担っていきます。
<薬剤耐性対策への貢献>
MA-Tはラジカル発生機構という、非薬理学的なメカニズムによる除菌・消毒剤であるため、医療用抗菌薬に対する補完的な使用が可能で、多剤耐性菌の発生リスクの抑制が期待されます。除菌・消毒薬の適切な使用に関する理解が、医薬品使用者、施設管理者、保健・医療関係者に浸透するよう教育活動を並行して実施します。
<各パートナーとの役割分担>
・日本の国立大学:感染対策の効果の科学的な実証、薬事承認に向けた協働
・アース製薬:前臨床研究 臨床研究に必要な薬剤サンプルの提供 薬事戦略立案
・製薬企業(未定):消毒薬の国内治験、国内販売、海外先進国での開発
・工業会:国連調達に向けた政府、国連向け提言
<参考文献、引用文献、関連リンク>
(注)国際特許公開番号 WO/2018/230743 A1