自転車ヘルメット着用率は全国平均で11.2%。愛媛県が全国首位。13歳未満の着用率は63.1%
- 自転車ヘルメット委員会
- 2020年08月04日
- 10:00
~自転車ヘルメット着用についての全国実態調査を実施~
自転車ヘルメット委員会(※)ではこのたび自転車ヘルメットの着用状況や意識についての全国実態調査を実施しました。着用することにより自転車乗車中の死亡・重傷事故を減らすことのできるヘルメットですが、最近は多くの子どもが着用している一方、中学生以上大人での着用はごく一部にとどまっています。昨年433人が自転車乗車中の事故で亡くなり、そのほとんどはヘルメットをかぶっていませんでした(2019年警察庁データ)。
これまで都道府県別や性別年代別の着用率データが公表されたことはおそらくないと推察されるため、これを把握し公表することによりいろいろな場での議論を促し、少しでも多くの人がヘルメットを使って、死亡・重傷事故が減ることを願っています。コロナ禍の影響もあり、世界的に自転車活用が進められています。日本でも健康や環境を考え、3密を避けたいと思う人たちが、新たに自転車に乗り始めたり、従来以上に乗る回数や距離を増やしたりする傾向が出てきました。だからこそ、安全運転を徹底し、万一の場合に生命を守り、医療機関への負担を増やさないためにも、あらためてヘルメット着用の大切さを啓発する良いタイミングであると考えます。
本リリース資料は、自転車活用推進研究会ホームページに掲載⇒
https://www.cyclists.jp/helmet/
調査結果のポイント
本調査結果においては、ヘルメット着用者=いつもかぶる人+かぶることが多い人、と定義しました。
調査概要
1)自転車ヘルメットの都道府県別着用率
2% ヘルメット着用率 29%
愛媛県が全国首位で、これは2013年から県の条例で全ての年齢について自転車に乗る際にヘルメット着用の努力義務を定め、2015年には県立高校の生徒全員(約3万人)に無償で配布するなど行政や多くの機関が着用を推進してきた結果と考えられます。着用率上位は西日本の県が多く、東京圏(1都3県)や近畿地方は総じて低めの値です。今回の調査サンプル数では都道府県別の着用率について深掘りするのは難しいですが、その裏には、スポーツとして自転車に乗る人は着用率が高く、日常生活として近距離の自転車利用では低いといった傾向があると思われます。
2)13歳未満の着用率(全国ベース)
2008年の道路交通法改正により13歳未満にヘルメット着用の努力義務が定められ、このルールが浸透してきたことにより、13歳未満の着用率は63.1%と他の年代に比べてはるかに高い着用率となっています。しかし、このルールを知っている13歳未満の保護者は32%にとどまっています。このルールを知らなかった保護者がこれを知ると、その68%は着用させるよう意識が変わります。13歳未満について道路交通法での決まりでもあるので、目標は着用率100%と考え、このルールの周知徹底が非常に重要です。1~6歳(ほぼ未就学児に相当)に比べて7~12歳(ほぼ小学生に相当)の着用率は下がりますが、これは保護者から離れ独自の行動することが増え、自主的にはかぶりたくない子どもの傾向が表れたものと思われます。
道路交通法で13歳未満の着用努力義務があることを知っている人の割合は下記の通り。
子どもがヘルメット非着用でこの道路交通法ルールを知らなかった保護者がこのルールを知った場合
3)13~89歳の着用率(全国ベース)
4)自転車事故やヘルメットに関する事実について認知度や意識の変化
自転車乗車中の交通死亡事故やヘルメットの効用について知っている人の割合は下記グラフの通り ※7)参考データ参照※。これらの事実を知らなかった人がそれを知ると、20%ほどの人がヘルメットをかぶろうという意識に変わるため、あらゆる機会を通じて、これらの事実を周知することが重要です。
ヘルメット非着用の人の気持ちの変化
5)ヘルメット着用推進に向けての提言
6)自転車専門家からのコメント
内海 潤 氏(特定非営利活動法人 自転車活用推進研究会 事務局長)
クルマのシートベルト装着が義務化されてから死亡率が大きく下がったように、自転車事故で亡くなる方を減らすためにヘルメットも義務化すべきという考え方があります。実際にオーストラリアやニュージーランドでは義務化されましたが、それによって自転車利用者が約3割も減ってしまったので、自転車の利活用を推進する国々では義務化していません。家の鍵掛けと同様にリスク回避のため、あくまで本人の意志でかぶってもらいますが、警察庁のデータでは自転車事故死者の6割強が頭部損傷で亡くなっており、団長安田をはじめ「ヘルメットしていて助かった!」という方は大勢います。とりわけ将来のあるお子さんたちには親が責任を持ってかぶらせてください。今回の調査では愛媛県の装着率が全国で最も高いという結果になりましたが、確かに松山を訪れると老若男女が街なかでヘルメットをかぶって走っており納得感があります。今後は低い調査結果だった自治体が装着率アップを目標とするキャンペーンを展開するなど意識向上に活用してもらえると良いと思います。
7)参考データ
自転車乗用中の事故についての情報: 警察庁レポート 2015~2019年データ
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html
* 自転車乗用中死者で最も多い致命傷の部位は頭部で、全体の59%
* 自転車乗用中事故での致死率は、非着用が着用の2.4倍
* 自転車死亡事故の内、高齢者(65歳以上)が全体の79%(警察庁2019年データ、次リンクのP6) https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R1shibou_bunseki.pdf#search=%27%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BA%8B%E6%95%85+%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E4%B9%97%E8%BB%8A%E4%B8%AD+%E8%84%82%E8%82%AA+433%E4%BA%BA+2019%E5%B9%B4%27
※自転車ヘルメット委員会とは……
事務局である馬場誠がヘルメット着用啓発のため、自転車好きでヘルメット着用は必須と考える著名人、増田寛也(元総務大臣)・三浦雄一郎(プロスキーヤー)・疋田智(テレビプロデューサー)はじめ7人に呼び掛け、2015年に自転車ヘルメット委員会を発足させました。発足時に記者発表会を行い、その後、「自転車ヘルメットかぶろうアイデアコンテスト」を実施。上野警察署から依頼を受け台東区の自転車交通安全イベントにも参加しました。
馬場は2006~2016年に自転車業界で働き、世界的なスポーツ自転車メーカーである米国スペシャライズド社の日本法人や日本最大級のスポーツ自転車専門チェーンであるワイズロードを展開する株式会社ワイ・インターナショナルの代表を務め、現在はフリーとなり自転車関係のプロジェクトを主宰しています。
本調査の後援
一般財団法人 日本みち研究所 http://www.rirs.or.jp/
株式会社 日本パレード http://www.nippare.com/capor/
特定非営利活動法人 自転車活用推進研究会 https://www.cyclists.jp/
これまで都道府県別や性別年代別の着用率データが公表されたことはおそらくないと推察されるため、これを把握し公表することによりいろいろな場での議論を促し、少しでも多くの人がヘルメットを使って、死亡・重傷事故が減ることを願っています。コロナ禍の影響もあり、世界的に自転車活用が進められています。日本でも健康や環境を考え、3密を避けたいと思う人たちが、新たに自転車に乗り始めたり、従来以上に乗る回数や距離を増やしたりする傾向が出てきました。だからこそ、安全運転を徹底し、万一の場合に生命を守り、医療機関への負担を増やさないためにも、あらためてヘルメット着用の大切さを啓発する良いタイミングであると考えます。
本リリース資料は、自転車活用推進研究会ホームページに掲載⇒
https://www.cyclists.jp/helmet/
調査結果のポイント
- ほぼ1万人を対象に調査をした結果、自転車ヘルメットの着用率(着用している人の割合)は11.2%(1~89歳、全国平均)。愛媛県が全国首位(29%)、2位が長崎県(26%)、3位が鳥取県(18%)
- 道路交通法により保護者が着用させる努力義務のある13歳未満の着用率は63.1%。このルールを知っている保護者は32%にとどまる。子どもがヘルメット非着用でこのルールを知らなかった保護者がこれを知ると、その68%は着用させたいと意識が変わる。
- 13~89歳の着用率は7.2%。13~19歳男性が最も高く(20.3%)、70代女性が最も低い(2.1%)
- 自転車乗車中の死亡事故の半数以上で頭部損傷が死因であることを知っている人は36%。ヘルメットが死亡・重傷事故となるリスクを減らすことを知っている人は71%。ヘルメット非着用でこれらの事実を初めて知った人の20%ほどがヘルメットをかぶろうと意識が変わる。
本調査結果においては、ヘルメット着用者=いつもかぶる人+かぶることが多い人、と定義しました。
調査概要
- 調査時期: 2020年7月
- 調査地域: 全国47都道府県
- 調査対象: 月に1日以上自転車に乗る15~79歳。各都道府県で100人以上、全国で5,229人。ただし、ヘルメットの着用率については、調査対象者本人と、月に1日以上自転車に乗る1~89歳の同居家族全員を対象とし、全国で9,971人のデータ。子どもが自転車に乗せてもらう場合も「自転車に乗る」に含める。
- 調査方法: インターネット調査
- 調査主体: 自転車ヘルメット委員会
- 調査実施機関: 株式会社インテージ
1)自転車ヘルメットの都道府県別着用率
N=9,971人
- 1位 愛媛 29%2位 長崎 26%
- 3位 鳥取 18%
- 4位 長野・山口 17%
- 6位 群馬 16%
- 7位 沖縄・岐阜・山形 15%
- 10位 佐賀・静岡・栃木 14%
- 13位 茨城・鹿児島・熊本・島根 13%
- 17位 徳島・富山・山梨 12%
- 20位 愛知・石川・大分・岡山・福井 11%
- 25位 秋田・岩手・高知・滋賀・東京・福岡・福島・宮城 10%
- 33位 香川・神奈川・新潟・三重 9%
- 37位 兵庫 8%
- 38位 大阪・京都・埼玉・千葉・広島 6%
- 43位 青森・奈良・宮崎 5%
- 46位 和歌山 4%
- 47位 北海道 2%
- 全国平均 11.2%
2% ヘルメット着用率 29%
愛媛県が全国首位で、これは2013年から県の条例で全ての年齢について自転車に乗る際にヘルメット着用の努力義務を定め、2015年には県立高校の生徒全員(約3万人)に無償で配布するなど行政や多くの機関が着用を推進してきた結果と考えられます。着用率上位は西日本の県が多く、東京圏(1都3県)や近畿地方は総じて低めの値です。今回の調査サンプル数では都道府県別の着用率について深掘りするのは難しいですが、その裏には、スポーツとして自転車に乗る人は着用率が高く、日常生活として近距離の自転車利用では低いといった傾向があると思われます。
2)13歳未満の着用率(全国ベース)
N=710人
- 1~6歳 男児68.4% 女児66.0% 合計67.3%
- 7~12歳 男児61.5% 女児61.1% 合計61.3%
- 合計(1~12歳) 男児63.5% 女児62.6% 合計63.1%
2008年の道路交通法改正により13歳未満にヘルメット着用の努力義務が定められ、このルールが浸透してきたことにより、13歳未満の着用率は63.1%と他の年代に比べてはるかに高い着用率となっています。しかし、このルールを知っている13歳未満の保護者は32%にとどまっています。このルールを知らなかった保護者がこれを知ると、その68%は着用させるよう意識が変わります。13歳未満について道路交通法での決まりでもあるので、目標は着用率100%と考え、このルールの周知徹底が非常に重要です。1~6歳(ほぼ未就学児に相当)に比べて7~12歳(ほぼ小学生に相当)の着用率は下がりますが、これは保護者から離れ独自の行動することが増え、自主的にはかぶりたくない子どもの傾向が表れたものと思われます。
道路交通法で13歳未満の着用努力義務があることを知っている人の割合は下記の通り。
子どもがヘルメット非着用でこの道路交通法ルールを知らなかった保護者がこのルールを知った場合
3)13~89歳の着用率(全国ベース)
N=9,261人
- 13~19歳 男性20.3% 女性17.1% 合計18.8%
- 20~29歳 男性11.5% 女性5.9% 合計9.1%
- 30~39歳 男性8.8% 女性6.6% 合計7.9%
- 40~49歳 男性7.6% 女性4.0% 合計5.9%
- 50~59歳 男性7.6% 女性2.6% 合計5.1%
- 60~69歳 男性8.4% 女性2.7% 合計5.5%
- 70~79歳 男性5.9% 女性2.1% 合計4.2%
- 80~89歳 男性5.1% 女性4.3% 合計4.8%
- 合計(13~89歳)男性9.2% 女性4.9% 合計7.2%
4)自転車事故やヘルメットに関する事実について認知度や意識の変化
自転車乗車中の交通死亡事故やヘルメットの効用について知っている人の割合は下記グラフの通り ※7)参考データ参照※。これらの事実を知らなかった人がそれを知ると、20%ほどの人がヘルメットをかぶろうという意識に変わるため、あらゆる機会を通じて、これらの事実を周知することが重要です。
ヘルメット非着用の人の気持ちの変化
5)ヘルメット着用推進に向けての提言
- A)行政や学校などいろいろな組織また個人があらゆる機会を通じ下記情報を周知する。
- ア)道路交通法に保護者に対し13歳未満の着用努力義務がある(罰則なし)。着用率100%を目指す
- イ)自転車死亡事故の大半で頭部損傷が死因であり、ヘルメットは死亡・重傷を減らす有効な手段である
- ウ)自転車死亡事故の大多数は高齢者であるため、ヘルメット着用を積極的に進める
- B)道路交通法や各都道府県の条例で(愛媛県のように)全年齢についてヘルメット着用の努力義務を定める
- C)ヘルメットを正しく着用することの周知徹底。特に子どもに多く見られるように、頭にサイズが合っていない・おでこが丸出し・あごストラップを正しく留めていないなどの場合はヘルメット着用の効果が半減もしくはゼロとなり得る
- D)車が時速40km以上で走る車道で自転車に乗る際には特にヘルメット着用が必須。自転車がいくら完璧に走っていても車に突っ込まれたら避けられない
6)自転車専門家からのコメント
内海 潤 氏(特定非営利活動法人 自転車活用推進研究会 事務局長)
クルマのシートベルト装着が義務化されてから死亡率が大きく下がったように、自転車事故で亡くなる方を減らすためにヘルメットも義務化すべきという考え方があります。実際にオーストラリアやニュージーランドでは義務化されましたが、それによって自転車利用者が約3割も減ってしまったので、自転車の利活用を推進する国々では義務化していません。家の鍵掛けと同様にリスク回避のため、あくまで本人の意志でかぶってもらいますが、警察庁のデータでは自転車事故死者の6割強が頭部損傷で亡くなっており、団長安田をはじめ「ヘルメットしていて助かった!」という方は大勢います。とりわけ将来のあるお子さんたちには親が責任を持ってかぶらせてください。今回の調査では愛媛県の装着率が全国で最も高いという結果になりましたが、確かに松山を訪れると老若男女が街なかでヘルメットをかぶって走っており納得感があります。今後は低い調査結果だった自治体が装着率アップを目標とするキャンペーンを展開するなど意識向上に活用してもらえると良いと思います。
7)参考データ
自転車乗用中の事故についての情報: 警察庁レポート 2015~2019年データ
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html
* 自転車乗用中死者で最も多い致命傷の部位は頭部で、全体の59%
* 自転車乗用中事故での致死率は、非着用が着用の2.4倍
* 自転車死亡事故の内、高齢者(65歳以上)が全体の79%(警察庁2019年データ、次リンクのP6) https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R1shibou_bunseki.pdf#search=%27%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BA%8B%E6%95%85+%E8%87%AA%E8%BB%A2%E8%BB%8A%E4%B9%97%E8%BB%8A%E4%B8%AD+%E8%84%82%E8%82%AA+433%E4%BA%BA+2019%E5%B9%B4%27
※自転車ヘルメット委員会とは……
事務局である馬場誠がヘルメット着用啓発のため、自転車好きでヘルメット着用は必須と考える著名人、増田寛也(元総務大臣)・三浦雄一郎(プロスキーヤー)・疋田智(テレビプロデューサー)はじめ7人に呼び掛け、2015年に自転車ヘルメット委員会を発足させました。発足時に記者発表会を行い、その後、「自転車ヘルメットかぶろうアイデアコンテスト」を実施。上野警察署から依頼を受け台東区の自転車交通安全イベントにも参加しました。
馬場は2006~2016年に自転車業界で働き、世界的なスポーツ自転車メーカーである米国スペシャライズド社の日本法人や日本最大級のスポーツ自転車専門チェーンであるワイズロードを展開する株式会社ワイ・インターナショナルの代表を務め、現在はフリーとなり自転車関係のプロジェクトを主宰しています。
本調査の後援
一般財団法人 日本みち研究所 http://www.rirs.or.jp/
株式会社 日本パレード http://www.nippare.com/capor/
特定非営利活動法人 自転車活用推進研究会 https://www.cyclists.jp/
- 本件に関するお問合わせ先
-
自転車ヘルメット委員会 事務局 馬場 誠
st-baba@kd6.so-net.ne.jp
この企業の情報
- 組織名
- 自転車ヘルメット委員会
- ホームページ
- https://www.cyclists.jp/helmet/
- 代表者
- 馬場 誠
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