三井住友DSアセットマネジメント株式会社(代表取締役社長 兼 CEO:猿田隆)は、経済イベントや市場動向に関するマーケットレポートを日々発行しております。このたび、マーケットレポート「『香港自治法』と米中対立激化」を2020年7月21日に発行いたしましたので、お知らせいたします。
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トランプ大統領は7月14日、香港への統制を強化した中国に対する批判を一段と強め、中国に向けた制裁法案に署名しました。『香港自治法』の成立を受け、トランプ政権は香港の自治の侵害に関わった中国や香港当局者と取引をする金融機関に制裁を科せるようになります。こうした制裁措置は、米中対立激化を通じて世界経済へ甚大な打撃を与えかねないため、米政権が実際に発動するかが注目されます。
【ポイント1】トランプ大統領は『香港自治法』に署名
■トランプ大統領は7月14日、香港市民の権利を弾圧する中国当局者への制裁を可能にする『香港自治法』に署名し、成立させました。また、香港に対する貿易などの優遇措置を廃止する大統領令にも署名しました。これらは、6月末に施行された中国の「香港国家安全法」に対抗する措置と考えられます。
■『香港自治法』は、香港の自治を侵害した中国の当局者や金融機関に資産凍結などの制裁を科すことを可能にするものです。これにより個人や団体のドル資産を凍結し、中国の金融機関のドル取引を禁じることもできることになります。仮に制裁が発動された場合、中国の大手銀行は実質的にドルの取引ができなくなり、国際金融市場から締め出される恐れがあります。
【ポイント2】米中関係は一段と緊迫化
■トランプ大統領は香港への統制を強化する中国に対し、一段と厳しい態度で臨む姿勢を鮮明にしました。その背景には、11月の大統領選挙をにらんで対中強硬姿勢をアピールする狙いがあるとみられます。
■中国外務省は、トランプ大統領が『香港自治法』に署名したことに対して、激しく反発しました。「中国は必要な対応を取り、米国の関係者や組織に制裁を実施する」と強調し、対抗措置を取る考えを示しました。米中関係は一段と緊迫化しています。
【今後の展開】『香港自治法』はリスク要因だが、実際の運用は慎重に
■米中関係がさらに悪化し、制裁の応酬が繰り広げられれば、世界経済への打撃は避けられません。『香港自治法』により中国の大手銀行が国際金融市場から排除されれば、中国経済は大きなダメージを受ける可能性が高く、また、香港の金融市場の混乱が加われば、世界の金融市場にも動揺が広がる恐れがあります。そうなると米国経済も無事では済まないと考えられます。
■このため、11月に大統領選挙を控えるトランプ政権による『香港自治法』の実際の運用は、米国経済に影響が出ない範囲で、慎重に行われると思われます。
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