日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、第54回(2019年度)「機械振興賞」において、「鉄道用低騒音歯車装置の開発」で、機械振興協会会長賞を受賞しました。日本製鉄が本賞を受賞するのは、昨年の「高効率・軽量型永久磁石式リターダの開発」での受賞に続き、2年連続です。表彰式は、2020年2月19日に行われます。
「機械振興賞」は、機械工業における技術開発の一層の促進を図るため、優秀な研究開発およびその成果の実用化によって、機械工業技術の進歩・発展に著しく寄与したと認められる企業・大学・研究機関および研究開発担当者を表彰することにより、我が国機械工業の振興に資することを目的とした賞です。
受賞案件の概要につきましては、以下の通りです。
1.受賞の概要
(1)案件名 : 「鉄道用低騒音歯車装置の開発」
(2)受賞者 :
日本製鉄 交通産機品事業部 製鋼所 輪軸製造部駆動装置技術室 室長 木村 誠
日本製鉄 交通産機品事業部 製鋼所 輪軸製造部駆動装置技術室 南 秀樹
日本製鉄 交通産機品事業部 製鋼所 輪軸製造部駆動装置技術室 近藤 祥一
日本製鉄 交通産機品事業部 製鋼所 輪軸製造部輪軸冷間工場 髙原 孝史
日鉄テクノロジー(株) 尼崎事業所 数値解析ソリューション部 上席主幹 近藤 修
2.開発の背景
鉄道輸送は、エネルギー効率が高く、迅速かつ大量な輸送が可能であり、社会インフラとしての役割発揮が大きく期待されています。
こうした中で、新幹線を中心に輸送速度の向上ニーズに応えていくためには、安全性、環境規制と乗り心地改善に向けた車内外の低騒音化が必要不可欠でした。加えて、住宅地域に隣接した鉄道網では、沿線の居住環境改善に向けた車外騒音の低減が求められておりました。車外(床下)における騒音は歯車装置の騒音が大半を占めており、その低騒音化は強く望まれておりました。
3.受賞技術の内容
2013年に初めて量産化した最新の歯車装置の実現に向けては、新たな設計手法を確立するとともに、当該歯車を高精度かつ高効率で製造する技術を開発しました。
具体的には、小歯車と大歯車の実噛み合い率と接触率を踏まえた新たな手法に基づき、歯車噛み合い音の原因である振動起振力を従来品より1/6とする3次元での歯車設計手法を確立するとともに、加工機メーカーと共同でのソフト開発による高精度かつ高効率な歯面研削技術を開発しました。
図1:要因発生分析とその対策について
4.開発の効果
開発品は、従来品よりも最大20dbの騒音低減が図られており、次世代新幹線(時速360km化)や海外への日本の新幹線輸出に大きく貢献できるものと考えております。また、防音カバー等の車両防音対策や沿線の居住環境改善に向けた遮音壁・吸音壁の設置も不要となることに加え、鉄道台車の歯車装置の構造変更が不要であることも、お客様から評価頂いております。
日本製鉄は、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動(「産業と技術革新の基盤をつくろう」、「住み続けられるまちづくりを」)を通じて、これからも社会の発展に貢献して参ります。
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以 上