神奈川工科大学(神奈川県厚木市)は、2019年2月の「国立研究開発法人 情報通信研究機構」が主催する「さっぽろ雪まつり8K非圧縮映像伝送の実証実験」において、会場に設置した複数のカメラのライブ映像を無劣化のまま、端末の要求に従ってネットワーク上で瞬時に切り替えることで、テレビのチャネル切り替えよりも早く表示を行う実験に成功した。
神奈川工科大学は、2018年12月に放送がスタートした8K/4K放送に対して、超高精細映像品質を落とさず、素材伝送用に圧縮を用いず伝送・蓄積配信できるシステムの開発に、2014年から取り組んできた。
今年2月に行われたさっぽろ雪まつり実証実験(※1)においては、複数の8Kカメラのライブ映像を無劣化のまま、端末の要求に従いネットワーク上で瞬時に切り替えて、伝送・表示を行う実験に成功した。
通常、ネットワーク上で映像ソースを切り替えるために現状の技術をそのまま利用すると、切り替え要求から切り替わるまでに数100msから数秒も待たされる課題があったが、新規開発したソフトウェアパケットスイッチを伝送路上に設置することで、1映像フレーム(16ms)以内という映像切り替え表示が実現できる事を実証した。
この実証実験は、国立研究開発法人 情報通信研究機構、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所をはじめとする複数の関係組織との共同で、札幌-東京-大阪間の100Gbps広帯域国内回線を用いて、8K(7680×4320画素・ハイビジョンの16倍)超高精細ライブ非圧縮映像の8Kデュアルグリーン(8K-DG)フォーマット(24Gbps)を対象に、複数の8Kカメラの非圧縮映像をソフトウェアパケットスイッチで端末の要求に従い瞬時に切り替えて、伝送して表示を行う形で進めた。
今回開発したソフトウェアベースのパケットスイッチでは、1ストリームあたり24Gbpsの広帯域処理を実現し、通常のIPマルチキャスト技術を用いて、選択候補の8K超高精細ライブ映像のIPパケットデータの入力準備を行い、端末側からの要求に従い、選択された8K超高精細ライブ映像のIPパケットのデータ部を取り出し、出力するIPパケットのデータ部に置き換えて配信する事で、1映像フレーム以内の映像切り替え処理を実現した。
今後は今回の実証実験での結果を踏まえ、マルチメディア研究との連携による新たなメディア製作手法の確立にむけて研究開発を進めていく。
※1 映像配信網セキュリティをテーマに ''さっぽろ雪まつり'' 8K映像配信実験を実施
https://testbed.nict.go.jp/event/yukimatsuri2019-press.html
・本実証実験の実施にあたり、独立行政法人 情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター様、NTTテクノクロス株式会社様、NTT未来ねっと研究所様、北海道テレビ放送株式会社様、池上通信機株式会社様、富士フイルム株式会社様、株式会社PFU様、アストロデザイン株式会社様、アリスタネットワークスジャパン合同会社様、株式会社朋栄様、デジタルリサーチ株式会社様、ミハル通信株式会社様、ピュアロジック株式会社様、株式会社計測技術研究所様をはじめ関連組織の皆様のご協力をいただきました。
▼本件に関する問い合わせ先
神奈川工科大学 工学教育研究推進機構
〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
担当: 井藤 晴久
TEL: 046-291-3299
E-mail: ito.haruhisa@cco.kanagawa-it.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/