インスリン療法に対する経口の補助治療として1型糖尿病治療のアンメットニーズに対応
本資料はアストラゼネカ英国本社が2018年6月25日に発信したプレスリリースの一部を日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、成人1型糖尿病患者さんを対象としたDEPICT(DapagliflozinEvaluation inPatients WithInadequatelyControlledType1Diabetes)試験における、短期間および長期間の検証成績を、第78回米国糖尿病学会(ADA)年次総会で発表しました。今回の新しい発表データには、SGLT2阻害剤フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)を、インスリン療法への補助治療として52週間(DEPICT-1試験より)および24週間(DEPICT-2試験より)投与した際の、有効性および安全性を検証した結果と、両試験から得られた持続的血糖測定(CGM)データの統合解析結果が含まれています1,2,3。
DEPICT-1試験および日本人症例のデータを含むDEPICT-2試験において、ダパグリフロジン群はプラセボ群との比較で、1型糖尿病患者さんのHbA1c値および体重の低下と、血糖の目標値範囲内達成時間の延長を示しました1,2,3。
結果の詳細は以下の通りです。
- DEPICT-1試験(N=747):ダパグリフロジン5mgおよび10mgを52週間投与した時のプラセボ群とのHbA1cの変化量の差は、-0.33%(95%信頼区間[CI]:-0.49, -0.17)および-0.36%(95% CI:-0.53, -0.20)でした。また、体重の変化率のプラセボ群との差は、-2.95%(95% CI:-3.83, -2.06)および-4.54%(95% CI:-5.40, -3.66)でした。(レイトブレイキングポスター発表119-LB)1
- DEPICT-2試験(N=813):ダパグリフロジン5mgおよび10mgを24週間投与した時のプラセボ群とのHbA1c値の変化量の差は、-0.37%(95% CI:-0.49, -0.26)および-0.42%(95% CI:-0.53, -0.30)(ベースライン~8.4, p<0.0001)でした。また、体重の変化率のプラセボ群との差は、-3.21%(95% CI:-3.96, -2.45)および-3.74%(95% CI:-4.49, -2.99)(p<0.0001)でした。(口演発表213-OR)2
- DEPICT-1およびDEPICT-2試験の事後統合解析:ダパグリフロジン5mgおよび10mgを24週間投与したときのCGMを用いた間質液中血糖濃度の変化量は、プラセボと比較して-15.48 mg/dLおよび-18.90 mg/dLで、血糖日内変動のターゲットレンジを達成した時間は9.07%(時間にして2時間以上に相当)および10.67%(時間にして2時間30分に相当)延長しました。さらに平均血糖変動幅(MAGE)は、プラセボと比較して-13.36 mg/dLおよび-13.94 mg/dL減少し、食後血糖値はプラセボと比較して-8.55 mg/dLおよび-12.76mg/dL減少しました。低血糖(≤70 mg/dLまたは≤54 mg/dL)および夜間血糖値(≤70 mg/dL)においては、ダパグリフロジンとプラセボの間で顕著な相違はありませんでした。(レイトブレーキングポスター発表125-LB)3
重症低血糖の発現は、DEPICT-1試験52週間投与において10.5%および8.4% vs 11.5%(ダパグリフロジン5mg群、10mg群、プラセボ群の順、以下同様)、DEPICT-2試験24週間投与において6.3%および8.5% vs 7.7%でした。独立判定委員会により糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)であることが確実と判定された症例は、両試験を通じてプラセボ群と比較してダパグリフロジン群で数値上多く認められ、DEPICT-1試験52週間投与では4.0%および3.4% vs. 1.9%、DEPICT-2試験24週間投与では、2.6%および2.2% vs. 0%でした。多くのDKAイベントは軽症から中等症で、インスリンのうち忘れやインスリンポンプの不具合が主因でした1,2,3。
ダパグリフロジンは現在、欧州および日本において、成人1型糖尿病患者さんのインスリン治療への経口の補助治療として当局の審査段階にあります。
以上
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臨床開発プログラムDEPICTについて
DEPICTは、DEPICT-1 (NCT02268214)とDEPICT-2 (NCT02460978)の2つの臨床試験から構成されています。インスリン治療で血糖コントロールが不十分の患者さんを対象として、ダパグリフロジン5mgまたは10mgが血糖コントロールに及ぼす効果を評価する、24週間の無作為化二重盲検並行群間試験です。全症例が24週時およびその後の28週間延長時(合計52週時)で評価されます。
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)について
フォシーガは、成人2型糖尿病患者さんの血糖コントロールの改善を目的とした単剤療法および併用療法の適応を有するナトリウム・グルコース共輸送体2に作用するファーストインクラスの選択的阻害剤(SGLT2阻害剤)です。
アストラゼネカは、フォシーガの最大かつ最も広範な、患者さんを中心とした臨床プログラムを通じて、サイエンスの限界に挑戦し続けています。3万例近い患者さんが無作為化臨床試験に登録されるDapaCare臨床プログラムでは、複数国で実施したリアルワールドエビデンス研究(CVD-REAL研究)など、広範にわたる作用機序に関する試験含まれています。DapaCareおよび補完的な臨床研究によって、2型糖尿病患者さんのみならず1型糖尿病患者さん、心血管疾患の既往がある患者さん、心血管リスク因子を有する患者さん、あらゆるステージの腎疾患を有する患者さんなど、糖尿病患者さん全体のプロファイルに対するフォシーガのファーストインクラスのデータを構築し、患者さんのアウトカムの改善に必要なエビデンスを医療関係者に提供します。
DapaCare臨床プログラムでは、フォシーガを多様な患者集団において初めて検証されるSGLT2阻害剤として使用し、フォシーガを通じてサイエンスの限界に挑むという当社のコミットメントを象徴するプログラムです。心血管、代謝および腎疾患に伴う複数のリスク因子に対応する包括的な患者さんへのアプローチを追究します。
アストラゼネカの循環器・腎・代謝領域(CVRM)
について
循環器・代謝疾患領域は、アストラゼネカの主要治療領域であり、成長基盤です。そのポートフォリオに ZS(
Lokelma)が追加されたことをうけ、本治療領域名を循環器・腎・代謝(CVRM)領域としました。
心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追及し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、CVRM疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器及びその機能の再生の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)を フォローしてご覧ください。
- Dandona et al. Poster presented at the American Diabetes Association 78th Scientific Sessions. Long-Term Efficacy and Safety of Dapagliflozin in Patients with Inadequately Controlled Type-1 Diabetes: The DEPICT-1 Study (Late-breaking Poster 119-LB – Monday, June 25, 12:00 - 13:00 EDT).
- Mathieu et al.Oral presentation at the American Diabetes Association 78th Scientific Sessions.Efficacy and Safety of Dapagliflozin in Patients with Inadequately Controlled Type-1 Diabetes: DEPICT-2 Study (Oral 213-OR, Sunday, June 24, 14:15 - 16:15 EDT).
- Mathieu et al.Poster presented at the American Diabetes Association 78th Scientific Sessions.Glucose Variables in T1D Studies with Dapagliflozin: Pooled Analysis of Continuous Glucose Monitoring Data from DEPICT-1 and 2 (Late-breaking Poster 125-LB – Monday, June 25, 12:00 - 13:00 EDT).