トウモロコシ大国アメリカ!食卓を裏から支える生産量世界一穀物、myfood.jp

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~myfood.jp 特集記事 Vol.11~

 アメリカ大使館農産物貿易事務所が運営する、アメリカの農産物・食材と食文化の情報サイト「myfood.jp」では、毎月テーマを選んでアメリカ文化や食材にまつわる情報を掲載しています。なかでも、人気コンテンツ「知る見る食べるアメリカ」では、美味しくて楽しくて、誰かに話したくなるアメリカを多角的にご紹介しています。


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●トウモロコシで育った豚にビックリ!
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 日米で締結された姉妹州県の第1号は、山梨県とアイオワ州です。
 1959年(昭和34年)9月の伊勢湾台風によって山梨県は甚大な被害を受けました。このニュースを聞いたアイオワ州のリチャード・トーマスは、地元の仲間たちに山梨の復興支援策を持ちかけます。太平洋戦争後、日本に駐在していた経験を持つリチャードと有志たちの尽力によって、翌年には35頭の豚と1.5トンの飼料用トウモロコシが山梨県に空輸されました。これを契機に山梨とアイオワは姉妹締結し、いまも続くその関係は半世紀を超えています。

 アイオワ州から山梨県へ豚たちが空を飛んだことは、単なる食糧支援で終わりませんでした。この一件によって、日本の畜産業が大きく変わったと言っても過言ではないのです。まず山梨県では届いた豚の大きさに驚きました。丸々と太った35頭は、いずれもそれまで見たことがないほど大きかったのです。一緒に届けられたのは飼料用のトウモロコシ。それまで日本の養豚では残飯が基本でした。でもトウモロコシを与えれば大きく育ち、肉質も甘み豊かで柔らかくなることを、目の前の豚が証明したのです。じつはこの時期、日本は経済成長に伴う生活水準の上昇により食肉需要が増加していました。ところが国内には飼料穀物を生産する土地は限られています。一方アメリカではコーンベルト地帯の肥沃な土壌と技術革新に支えられ安定した穀物生産が可能です。 海を超えてやって来た豚たちを見て、日本はアメリカからトウモロコシを輸入しようと決意します。この時から日本の食料は「国内生産」と「輸入」という両輪が互いに補いながら回転するという現在の形ができていきます。アメリカも穀物が重要な輸出品目になることを知って、その後の生産計画に大きく影響していきました。
 人を想う草の根レベルで始まった運動が、いつしか二つの国の食と農業の方向性にまで影響したのです。そうして結ばれた日本とアメリカの農産物パートナーシップは、両国間でもっとも深く古い絆の一つとなりました。

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●牛肉1キロの生産に消費されるトウモロコシは10キロ超!
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 豚とともに海を渡ったことで、トウモロコシの運命もまた大きく変わりました。1960年にアメリカ穀物協会が設立され、翌年には最初の海外事務所が日本に開設されています。トウモロコシを中心とした穀物を日本は本格的に輸入し、アメリカも全面対応したのです。アメリカのトウモロコシ生産量は、ここから飛躍的に増加していきました。
 2011年のトウモロコシ生産量は世界で約8億7000万トン。このうち約40%がアメリカ産です。日本は毎年約1600万トンのトウモロコシを輸入し、その90%をアメリカから受け入れています。
 年間8億7000万トンという生産量は、穀物で世界一です。いま世界の食糧事情を根幹で支えているのは世界三大穀物と呼ばれる小麦、米、トウモロコシですが、日本の食卓に欠かせない米や多くの料理に使われる小麦を抑えて、トウモロコシが世界で一番生産されているのはなぜでしょうか。そうです。山梨とアイオワの物語でも重要な役割を果たしたように、飼料としての需要が極めて高いからです。
 日本が輸入しているトウモロコシ約1600万トンのうち、約75%が飼料用として消費されています。これを少しわかりやすい例にしてみると、鳥肉1キロを生産するのに飼料用トウモロコシは2~3キロ消費されます。同じく豚肉1キロにはトウモロコシ5~6キロ、牛肉1キロにはなんと約10キロ以上のトウモロコシが消費されているのです。毎日の食事の中で、私たちはいつの間にか大量のアメリカ産トウモロコシを間接的に消費していることになりますね。

 世界的に見てもトウモロコシの消費用途は飼料用が多くを占め、食用は意外なほどにわずかです。具体的には飼料用が約65%前後、加工食品が30%前後で、直接の食用は約4%前後といわれています。メキシコのトルティーヤ、イタリアのポレンタ、東アフリカのウガリなど主食としてトウモロコシを消費する国はあるものの、それ以上に他の用途市場が急成長してしまったのです。つまりそれほどにトウモロコシは汎用性の高い穀物でした。

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●不作の時期にこそ、改めて感謝を
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 そもそもトウモロコシは15世紀末にコロンブスがアメリカ大陸から持ち帰ったことでヨーロッパに広がりました。それまでの穀物に比べて収穫量が圧倒的に多かったことから、増えるヨーロッパ人口を支える救世主的存在として歓迎されたのです。ちなみに日本で本格的に栽培されるようになったのは明治初期。アメリカから北海道へ渡っています。
 やがて畜産用飼料としての価値が高まったトウモロコシは、コーンスターチやコーン油といった加工食品原料としても注目されていきました。そして近年では地球環境にやさしいプラスチックや、再生可能な自然エネルギーであるバイオエタノールの原料としても非常に注目されています。
 手軽にたくさん収穫でき、おいしくて自然エネルギーにもなる。ここまで優れた穀物だと、もしこれが不足したら私たちの生活がどうなってしまうんだろうという不安も生まれますね。じつはこの不安がいま、実現の可能性を抱えて現在進行中です。
  2012年の初夏から、アメリカ中西部のコーンベルトと呼ばれる穀倉地帯を中心に歴史的な干ばつ被害が発生しました。被害は次第に深刻化して、2012年8月にはシカゴ商品取引所におけるトウモロコシの先物価格が何度も過去最高値を更新しています。先物取引(イメージ)アメリカのトウモロコシ輸出で最大の相手国は日本。トウモロコシの先物価格高騰により、今後は食肉や乳製品、卵とその関連商品などの価格上昇が予想されます。今後の情報に注意して、それぞれ冷静に対処する必要が求められそうです。


 穀物として世界でもっとも生産されているトウモロコシ。あるいはそのきっかけとなったかもしれない山梨とアイオワの物語から50年以上が経ちました。太平洋を渡った豚たちは、その後もトウモロコシを食べながら子孫を増やしていきます。35頭のうち、最後の1頭が世を去ったのは来日から9年後のことでした。その9年間に35頭は50万頭にまで増えたといいます。そして現在、日本で流通する豚のほとんどに35頭のDNAは受け継がれています。トウモロコシを食べた豚が、日本の食卓にとってどれほど魅力的であったかがここに証明されているといえるでしょう。

 今後の増加が確実視されている世界人口に対して、トウモロコシの存在感はさらに増していきそうです。不作のニュースが連日世界を駆け巡っている今こそ、これまで人知れず私たちの生活を支えてくれてきたトウモロコシたちに、改めて感謝してみる良い機会かもしれませんね。


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