愛知大学東亜同文書院大学記念センター(愛知県豊橋市)には、前身の東亜同文書院大学や孫文の革命運動を支えた山田良政・純三郎兄弟、愛知大学創立者の本間喜一らに関する貴重な史資料が収蔵されている。その内容も、書籍・文書・書簡・掛軸・写真・図表など5000点以上にのぼり、中でも約600点におよぶ孫文関連の史資料の数は国内随一を誇る。収蔵史資料の一部は館内展示室で一般公開しており、開館時間であれば誰でも自由に見学することができる。
文化庁から国の登録有形文化財に指定されている愛知大学記念館(陸軍第十五師団司令部として、明治41年に完成)には、同大の前身となる「東亜同文書院」の研究と関連史資料の展示を行う「東亜同文書院大学記念センター」が設置されている。
東亜同文書院(後に大學)は、1901年(明治34)東亜同文会(会長:近衞篤麿貴族院議長)によって中国の上海に創立された。日中提携の人材養成を目的とし、戦前海外に設けられた日本の高等教育機関としては、最も古い歴史を持つ。中国・アジア重視の国際人を養成し、ここから日中関係に貢献する多くの人材が育った。
1945年(昭和20)の終戦により、東亜同文書院大学は半世紀にわたる歴史の幕を閉じたが、翌1946年(昭和21)、最後の学長となった本間喜一(愛知大学第2・4代学長)ら13名の同校教職員が参集。書院生をはじめとする海外諸校(台北帝国大学、京城帝国大学など)からの引き揚げ学徒たちを収容する大学の新設を決意し、同年11月15日、「世界文化と平和に寄与すべき新日本の建設に適する国際的教養と視野を持つ人材の育成」を建学の主旨に掲げて、愛知県豊橋市の支援を受けて愛知大学が創立された。このような経緯から、愛知大学にとって東亜同文書院大学はその前身ともいうべき存在といえる。
東亜同文書院大学記念センターには、同書院関係資料や、孫文・辛亥革命と山田良政・純三郎関係資料、創立者本間喜一関連資料を展示している。中でも、書院設立者である近衛篤麿(第3代貴族院議長)、根津一(東亜同文書院初代・3代院長)の書のほか、書院で作成された中国語教科書『華語萃編』、中国でから東南アジアにわたって展開された「大調査旅行」関係資料は、当時の中国を知る貴重な史資料である。
2006年度には、同センターの研究プロジェクト「愛知大学東亜同文書院大学記念センターの情報公開と東亜同文書院をめぐる総合的研究の推進プロジェクト」(研究代表者藤田佳久教授)が、文部科学省の平成18年度私立大学学術研究高度化推進事業(オープン・リサーチ・センター整備事業)に選定された。同プロジェクトは、「本学の書院研究の成果公開と未整理史資料のデータベース化」、「公開情報・データベースにもとづく展示施設の整備充実」などを中心に、あわせて研究の進展を目的としている。5カ年の計画で、シンポジウムや公開講座の開催、および全国5カ所での学術資料・研究成果の展示をはじめ、愛知大学の若手研究者の育成も目指している。
また、2012年には文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択され、現在「東亜同文書院を軸とした近代日中関係史の新たな構築」プロジェクトを展開中(2017年度までの5年間)。
※オープン・リサーチ・センター整備事業
私立大学の大学院・研究所の中から、多様な人材を受け入れ、研究と、若手研究者や高度専門職業人などの人材養成とを併せて行ったり、研究成果等の幅広い公開を行うなど、オープンな体制の下でプロジェクトを推進する研究組織を「オープン・リサーチ・センター」に選定し、総合的かつ重点的に支援を行う。(文部科学省)
■利用案内
【開館日・時間】 毎週火曜日~土曜日 10:00~16:00
【休館日】 毎週月曜日・日曜日、祝日、創立記念日、夏期・冬期休暇期間
【入場料】 無料
●愛知大学東亜同文書院大学記念センターHP
http://www.aichi-u.ac.jp/orc/index.html
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・登録有形文化財に指定された愛知大学記念館 -- 東亜同文書院大学記念センターには孫文にまつわる国内随一の史料館も(2015/08/20)
http://www.u-presscenter.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=8336
▼本件に関する問い合わせ先
愛知大学広報課
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E-mail: koho@aichi-u.ac.jp
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