明治大学史資料センター(所長:山泉進法学部教授)の下に設置された昭和歌謡史研究会分科会・日記研究会(代表:吉田悦志国際日本学部教授・副学長)では、未公開の「阿久悠日記」をめぐる共同研究を続けている。今後その研究成果を『大学史紀要』(同センター刊行)をはじめとする各種媒体に発表するとともに、この「文化的遺産」を次代に伝えるための方策を検討・発信していく予定。
日本を代表する作詞家・作家阿久悠(1937-2007、明治大学文学部1959年卒業)は、1981年から亡くなる2007年にかけて欠かさず日記をつけていた。阿久が生前「アンチ・ロマン日記」と称したこの日記は、日々の感情の動きに関する記述を最小限に留め、仕事の様子や各種のアイディアとならんで、阿久が接した日々の時事ニュース(世界情勢、気象、スポーツの結果、訃報記事等)を緻密に記述する特異な構成を取っている。時代を念頭に置いて作品づくりを行った阿久にとって、日記は阿久のアンテナにかかった情報を記述・分析する場であり、数々の作品の源泉でもあった。
遺族から託されて日記を保管する明治大学阿久悠記念館(同センター所管)では、27冊に及ぶ阿久悠日記を、稀代のヒットメーカーの著した「文化的遺産」と位置づけ、その検証のため同センター内に日記研究会を設置し、2014年末から解読作業を開始した。研究会のメンバーは吉田悦志国際日本学部教授(代表)、井上一夫(元岩波書店)、冨澤成實(政治経済学部教授)、深田太郎(株式会社阿久悠)、三田完(作家)、村松玄太(明治大学史資料センター。代表以外五十音順)。以降研究会を毎月継続し、日記を丹念に読みながら会員間で討論を重ねてきた。
このたび、26年あまりにわたる日記を一通り読み了え、この「文化的遺産」をめぐる研究成果の発信をはかるとともに、日記を歴史に埋もれさせず次代に引き継いでゆくべく、その活用を進めていく。
研究成果は同センター機関誌である『大学史紀要』をはじめとする各種媒体を通して順次発表する。日記そのものは当面非公開だが、日記の一部を活用して内外に発信できるよう、検討していく。
※当面日記の公開は予定していません。
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